今日、考えたこと

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zoom RSS ハンセン病胎児標本問題 tu-taの疑義への返信

<<   作成日時 : 2006/01/30 23:51   >>

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署名の文面についての疑義にとてもていねいな返信をもらいました。

どうもありがとうございました。以下に転載させていただきます。

===

tu-taさんの質問について考えたこと

2006年1月27日

まず始めにこの会を発足することになったのは、〔困惑、苦悶している当人たちの存在〕でした。

私は昨年4月から、自治会の了解を得て、13の国立療養所を聞き書きのために廻っています。その途中、某園で偶然出会った女性の体験談を傾聴しました。その方は、3年前、「胎児標本」になっていたご自分のお子さんを自力で園側からひき取ってきました。内容の詳細は公にする事はできません。しかし、事の運びの是非、道理、倫理、どれをとっても社会一般道徳の原則や医療規範に当てはまらない状況下での受渡しがなされました。

・ 出産時、死亡していた、と認めること
・ 費用は、自己負担
・ 理由が判らないのに、胎児の解剖がおこなわれた
・ 知ったのは、園の職員がその人の名前が貼ってあった瓶を見て、告げ口した事から本人がそれを訴えると、前例がないのを理由に園長の対応は難渋し戸惑い、また隠蔽された上でのやり取りは抑圧を生み、当事者は責任の置き場をご自分に向けました。且つ男性代表者との対話では生理、精神面に十分な配慮が足りず、随分苦しまれたようでした。その子を父親の墓に埋葬された今は落ち着き、日常の生活を楽しんでいます。

そして、この方の後、現在も進行形で「胎児標本」にされているとおもわれる4人の遺族の方々と関わっています。私は、運動家、学者、宗教家、フェミニスト、医療者ではありませんので専門的な方法は用いていません。ですからtu-taさんの知人の方が言われているような「温度差」とか、「運動」によって編集された言葉などという意識は持ち合わせておらず、その人達が話してくれるままを受けとめてから、私の思いを語ります。私は、身体的対話をいつも試みています。相手もこちらもたえず変化をしています。高齢だから変わらないなんて…毎日考えは、変わっています。そのままそっとしておけば,変わらないかもしれませんが。そのままにしておいて、というならそっとしておくのが良いでしょう。そのような人にもお会いしまた。

けれど、少なくともふれられたくない原因が何処にあるのかということは考えなければならないのではないでしょうか。
この問題の現場、ハンセン病療養所の歴史的背景に、「組織と個人の関係」を照らし合わせる必要があります。組織に不満があっても「国立」であることの立場を擦り込まれてきた人々は、意見を持つどころか自主的服従を美徳とされます。家族や身内がいないのだから、日々、日常を生きるには、世話になっている国や園長の態度いかんというところに風見鳥(規範、倫理)が働きます 当時、この場所で普通だった規範に生きてきた方をまわりがつつきまわすな。というご意見について、この場合「普遍的規範」が「特殊規範」を超えて求められていると考えます。なぜなら療養所という場の設定に過ちがあったことが史実に刻まれた以上、そこでつくられた当時の規範も歪められており是正されなければなりません。また、差別の構造は二重にも三重にも絡んでいます。らい予防法改正(廃止ではなく)の自治会運動は、全患協(全て男性)や政治運動とも絡んで実績を残しています。後、国賠訴訟で始めて女性が三人立ち上がり、それで人権被害の訴えは終わりませんでした。女性差別の下に在日朝鮮、韓国人差別があり次に子供,障害児(口のきけなかった未感染児童は全く教育を受けていませんでした)そして胎児、嬰児が置かれています。まだ表層部分に浮き出た声の方が大きいのです。今回お二人は、在日の方です。聞こうとするものが不在であれば、誰も語ろうとはしません。こちらから姿勢を作るのです。
   沈黙するその人に寄り添いながら…

  「おのずから」黙らされているのか、
         「みずから」黙っているのか

言いかえれば、他者との関係性の中で客体にされてはいないか。個人としての個性の上に主体として立ち、黙るのを選択したのか。ということをまわりが見極めることが大切ではないでしょうか。 もし前者、黙っている原因が本人に起因するのでなければ取り除く必要があるとおもいます。外部から与えられたものを本人、1人の力で解きほぐすことは難しいでしょう。それを誰がするのか…・。「家族や身内がいないのだからその人に触れてはならない」といえるでしょうか。個人倫理をこえて社会倫理が働くことは、危機介入の時は優先されると私は考えます。「当事者の意向を伺う」という前提にこのような段階を設け、「丁寧」という儀式、形式論ではなく幾重もの心の配慮は、「方法」として成立されなければならず、それらのことは専門家、時間、予算との兼ね合い、必然的に対策部の設置が要求されるでしょう。
 そして、特に知ってもらいたいことに、当時から現在の「療養所の状況」があります。それを理解せずに、「胎児標本」問題を堕胎の視点だけで〔告知云々〕と議論するのには無理があると思われます。
 胎児が標本にされているのは、当時でも現在形で、周知の事実として語られていました。ずさんな管理の為、本人が見つけてしまうケースもあります。また、子供達の実習授業で、標本室の見学もなされていました。(園の強制です。どんな意味があったと考えますか?) 療養所では標本は、私たちが思うほど特異な言語ではなく、病、妊娠、堕胎、断種…死、解剖、標本というように用いられていました。
 そして11年前に法の廃止がありそれから5年後の国賠訴訟の際に、社会に向けてこれらの事実が明らかにされ始めたのです。が園側は、隠蔽工作を図り標本を隠しました。そして検証委員会ができ徹底的調査が行なわれ、昨年三月最終報告書が厚生労働省あてに提出されたのです。そこで「胎児標本」問題が浮き彫りにされました。
 療養所の方々はその歴史のなかで、大きく三段階に分けてこの事と向き合っています。取り上げられた節目ごとに、園内放送を通し、また療養所新聞、月間誌を介して好むと好まざるにしても、窺い知ること(知らされた)は出来たのでした。このような過程をふまえ今日に至るまで、療養所の人々にとって「胎児標本」は特殊なことではありながらも日常の片隅に置かれていました。何年もの間、堕胎を体験されたすべて方にとって、我が子が「標本」にされてはいないかと案ずる当事者だったのです。

 昨年12月、某園では放送によって、<焼却するにあたって、一人ずつも可能だからその存否を自ら確認できるよう1ヶ月以内に申しでるように>と告げられました。しかし、もし園にそれを申し入れて標本がなかった時に、その方にとっては<自分は堕胎した>という公な告白にもなってしまうのです。個人焼却し遺骨の引き取りを望んでいてもそれが出来ない構造が、始めにありきです。実際、何件も問い合わせがありました。

 以上の事実を踏まえ、市民の会が立ち上がりました。私個人としては、当事者の代弁は望んでいません。社会に向かって本人たちが発言できる場所造りまたは、橋渡しの役割を考えています。              
 答えになりましたか?

「裸…とは着るものがないという意味だけではありません。人間の尊厳を失ったものは裸です。」   マザーテレサの言葉から

 「胎児標本」にされている子らは裸のまま、瓶の底に沈められて60年の歳月を過ごしてきました。国家政策によって強制堕胎された命の一方で、私たちはハンセン病者のいない安寧な社会をつくりました。それは、あるべき命の価値を否定し、らい予防法で共生の可能性を被いかくした偽装社会でありました。

 親は我が子に服を着せ命をいとおしむならば、私たちはその子の「尊厳」を取り戻すため市民として何が出来るでしょうか?

                                      
     孫 和代

==転載ここまで==



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