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zoom RSS 「ハンセン病療養所における胎児等標本」問題の署名をきっかけに考えさせられたこと

<<   作成日時 : 2006/01/10 01:38   >>

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以下に4つの文章を転載する。
1、ハンセン病「胎児標本」問題と取り組む市民の会 からの賛同要請
2、上記へのぼくからのコメント
3、この問題に関する匿名の知人の感想(これが今回のメイン)
4、この知人の感想へのぼくのコメント

1月6日のブログの記事で、「ハンセン病療養所における胎児等標本に関する要望書」を転載し、末尾にもうひとつ同様の趣旨の署名があること、そしてそれが紹介されているブログもリンクしておいた。そこでこれについて、コメントがあると書いた。
1月6日に転載したのと同様の主旨の署名だが、微妙に文面は違う。(はじめ、ぼくは同じ物かと勘違いした。)この署名の文面(連絡先などは省略、リンク先を参照のこと)を以下に転載し、同時にぼくがこの署名の連絡先の人に送ったコメントも転載する。(もし、転載が可能な回答がいただければ、それも後日紹介する予定。)

この問題に関心をよせている知人に上記を紹介するメールを出したところ、とても興味深いレスポンスが帰ってきたので、それを次に転載し、それについてのぼくのコメントも最後に転載する。



==以下、賛同要請の転載==

ハンセン病「胎児標本」問題と取り組む市民の会 からの賛同要請です。
 
 日本でとられたハンセン病絶滅政策は徹底した隔離だけでなく、次世代の子どもをつくらせない、強制断種、強制堕胎もありました。その強制堕胎させられた赤ちゃんの一部はホルマリン漬標本として数十年にわたって保存され、現存数114体が確認されています。
 厚生労働省が提起した今年度中の焼却、埋葬(合祀)、供養、慰霊について、ていねいに当事者の意向をうかがい、歴史の検証をする必要があるのではないかと考えた市民が集って以下の要望書をつくりました。
 1月中とされている一部の療養所の「焼却」をまず、中断するように年明けすぐに、厚生労働省に申し入れたいと考えています。
最終集約は2月10日と設定していますが厚労省との交渉にあわせて1月9日までにいただけるとありがたいです。(もちろんその後もOK)

要望書の趣旨に賛同いただける個人/団体は、ぜひお名前を連ねてください。



■ハンセン病療養所の「胎児標本」の取り扱いについての要望書■

厚生労働大臣 川崎 二郎 様

 貴省の2005年11月18日付けの文書「胎児標本の取り扱いについて」は、国立ハンセン病療養所各施設に、「胎児標本」を今年度中に 「焼却、埋葬(合祀)、供養、慰霊を行うこととする」方針(案)を提起しています。そして、「胎児標本の存否については、各施設から一律に知らせることはせず、焼却前に、入所者等の求めに応じて、自らの胎児の標本の存否を確認する機会を一定期間(1か月程度)設けることと する」とのべられています。

 私たちは、この通知を知って急遽「ハンセン病胎児標本問題と取り組む市民の会」を結成した有志です。私たちは、ハンセン病療養所で生活している方々との交わりの中で、強制堕胎を施され、胎児が「胎児標本」とされた当事者の方々の経験を傾聴する機会を得て、「胎児標本」に露呈している人権の侵害、毀損に身も凍る思いを抱き、長い年月の間、ハンセン病問題に無知、無関心であった自らの責任の重さを自覚しました。

 今回の方針案は、本来もっとも先に行うべき当事者の尊厳の回復を欠いています。存命の当事者に対しては一人一人に謝罪し、意向を尋ね、その意向に沿った措置が執られるべきです。老齢その他の理由で意向を伺うことが困難な方にもできる限り手だてを尽くして人権の主体として尊厳が発揮できるよう努力すべきです。

 方針案は、胎児標本を当事者に「一律に知らせることはせず」、「焼却前に、入所者等の求めに応じて、自らの胎児の標本の存否を確認する機会を」与えることとしています。更には、「ご存命の親が知らされることの精神的負担が大きいことを配慮した案」であると注記しています。

しかし、このような精神的負担の忖度は、人権を侵害された当事者を尊厳ある主体として尊重するのではなく、客体にし、代弁し、人権をふたたび侵害する扱い方であると言わざるを得ません。身元が判明している胎児の遺族に、加害者である国の側から知らせないことは、無言の圧力として作用し、名乗り出ることのできない親の胎児は、その出自さえ奪われて葬られることになります。この問題は女性の人権に深くかかわることでもあり、方針案はその前提に遡って根本的に見直すべきであります。


 私たちは次のように要望します。
(1)  今年度中という短い期限を限って、「胎児標本」を焼却し、埋葬、供養、慰霊を行う方針の撤回を求めます。

(2) 標本の詳しい調査、当事者への聞き取りなどによる強制堕胎の実態の把握を通じて隔離政策の歴史の検証と反省を深めること、そして今後のため医療倫理、生命倫理などの見地からの総括を、焼却に先んじて行うことを求めます。それが本当の意味の供養、慰霊、追悼になると考えます。

 ハンセン病療養所は90年という年月、国の隔離政策によって市民社会から切り離され、そこで生きる人びとは「不可視の存在」として位置づけられてきました。園内での人権啓発はおろそかにされ、女性当事者は人権やいのちの主体として自分の主張をのべることもはばかられるままに置かれてきました。その人びとから人権を奪い、抑圧に荷担してきた私たち市民もまたその社会的責任を負わなければなりません。 
 私たちは その責任の一端を果たすこととしてこの要望をいたします。

==要望書の転載ここまで==


==上記についてのぼくからの問い合わせ==

この署名の方針は、胎児標本が存在していることを知らない人については、本人の現在の状況にかかわらず知ってもらうべきで、機械的にそのようにするということでしょうか?

確かに原則的には本人に知らせるべきで、それを原則にして、これからどうして欲しいのかという対策が立てられるべきだとは思います。そういう意味で、現在行われようとしている方針は誤っていると私も思います。

しかし、もしその存在を知らない当事者がいたとしたら、それを知らされるショックもはかりしれないと思います。
だから、単純に「一律に」というふうにはいかないのではないかと思うのです。

しかし、「本人がそのことを知りたいかどうか、誰がどのように判断したらいいのか」、この問題はとても悩ましい問題ですね。そのことを思いあぐねています。

確かに原則は本人にとすべきでしょう。だからといって、きっぱり割切ってしまっていいのかどうか、 「ていねいに当事者の意向をうかがい、歴史の検証をする必要がある」という署名の趣旨はそのとおりだと思うのですが、「一律に知らせることはせず」という方針にも一理あるような気がしてしまうのです。

この要請の文章は「一律に知らせることはせず」ということ自体を否定しているように読めたので、そのあたりが気になるのです。

「じゃあ、誰が判断するのか」ということに、ぼくも答えは出せません。

確かに主体は強いはずで、事実を聞いても、はねかえすことができるはずだと思いたいのですが、そうもいかない現実もありそうな気もします。

と、同じことを繰り返し書いてもしょうがないので、ここまでにしますが、私が考えていることの概要は理解していただけたでしょうか。

(略)

この逡巡をできればオープンにしたいので、返信については転載可とか不可の部分があれば、その旨も教えていただければうれしいです。お忙しいとは思いますが、もし、よろしければ、よろしくお願いします。

===最初のぼくのコメントここまで===

==今日のメインの知人のコメント==
 この問題は長くていねいに書けばキリがない、長く書いてもスッキリするわけではない問題なのですが・・・。

 私がこの要望書(を出しているような動き)に関して、難しいなあとため息をついてしまうのは、簡単にいってしまえば、療養所の中(特に外向きの運動などしてこなかった一般の入所者)と外(運動)との「温度差」が大きすぎるということです。外から研究者や、運動家としてみると、確かに要望書のようなことがいえるだろう。しかし療養所の中のいろいろな声(あるいはそれが語られないという事情)を知ったら、はたしてあのように書けるか? と思わざるをえないところもあります。
 
 「温度差」なんて曖昧なことを説得力をもって書くことはできないんですが。
 療養所を毎年訪ねる中で(最近では12月27日に行ってきました)私なりに感じてきたことや、「運動」によって編集されたわけではない「当事者の声」の断片から知ってきたこととして、当事者の中でも「強制断種や中絶」を被害として認識している人が実はそう多くはない(「強制ではなかった」「被害とは思わない」というかたちで認識している、あるいは記憶の底にうずめていて決して話そうとは思わないか、忘れてしまっている)ということがあると思います。(少なくとも、被害・人権侵害として認識していていて、かつ語れる人は少数で、裁判の段階でもう語ってしまっているのではないかというのが私の推測です。今から「真相究明」委員会をたちあげることを望まない当事者が圧倒的に多いだろうというのが私の直感です。)
 それにはいろんな理由・背景があると考えられますが・・・。
 当事者自身がどのようにそうした経験を意味付けてきたのか、ということをていねいに把握しなければならないし、それを無視してとにかく「真相」を聞き出そうとすることは、まずもって拒絶されるだろうと思います。

 そしてまた、「強制断種や中絶」を経験することがなかった入所者もまた、実はたくさんいる。端的にいうと「パートナーを得ることがなかった」人。療養所の男女比はいびつです(男性が圧倒的に多い)。そのため、断種や中絶を「夫婦もの」にしか関係ないこととして、そのことを最大の人権侵害の一つのように語られることに違和感をもつ男性は少なくないということも聞きました。(なお、いびつな男女比は逆に、女性に対しては「常に」パートナーがいることを強制されるしくみでもありました。) 

 乱暴な言い方ですが、「もう遅すぎる」ということも考えてしまいます。
 記憶力、考えを変えるような柔軟性、衝撃に耐える力、といったことを、平均年齢80歳の人たちに求めていいのか? しかも、ずっと長い間この問題を知らずにいた「外」の人間たちの手によってそんなことができるのか?

(そもそも実際、痴呆が出てる人、高齢特有の疾病の人も多いですし。)

 入所者のなかで、女性の声があまり聞こえてこないのは確かです。
 彼女らの生きた年代でふつうだった規範、情報から遮断された環境・・・といったことを考えると・・・。フェミニスト的にどう、優生思想がどう、ということを「外」の人間が話してどうにかなるような余地はほとんどないというか。
 (すみません、支離滅裂な日本語で。)

 私の考えはまとまらず、宙をさまよっています。
 胎児標本うんぬん以前に、この問題でこれ以上「当事者」をつっつきまわす(言葉は悪いですが)ことにどれほどの意味があるのか、外の人間の自己満足ではないのか、という気持ちがぬぐいきれません。

 私のリアリティ(偏っているかもしれないけど)からすると、「一律に」事実を知らせるだとか、論外です。「ていねいに当事者の意向をうかがう」こともものすごく困難だと思う。誰が担うのか。誰がフォローするのか。誰もできないというケースがほとんどではないのか。そんな感じです。

 いずれも漠然とした「感じ」でしかないんですけども。

 一方で、運動は大事だとも考える私は、矛盾するようですが、要望書(転載者注:上に転載したものではなく1月6日に転載したもの)に賛同する旨のメールを事務局に送っています。いろいろあるけど、知ってもらうことが先だとも思って。(それによって、直接当事者に暴力的なことが起こるとは考えられませんし。)

 すみません。うまくかけないのですが、こんな感じです。
 やはり、なんといっても療養所にいる人は70〜90代なんですよ。
 20年早ければ、全然話は違ってきたと思っています。

==知人のコメントここまで==

==それについてのぼくのコメント==
さっそくの返信ありがとう。

**さんの考えてること、すごく大切なことがたくさん含まれてるように思います。いろいろな運動にかかわる人間としては、かかわらない人との温度差の問題は療養所だけの問題じゃなくて、よく考えなくちゃいけない課題なんだないだろうなぁと。

例えば、ぼくはかなり前ですが、職場の同僚のCPの女性に「『障害者はかわいそうではない』っていうけど、私はかわいそうだわ」と強く抗議されたこともあります。過度の一般化はよくないと思うし、ハンセン病特有の問題も含んでいると思うので軽軽しくは言えないでしょうが、一般的な側面と、ハンセン病特有の問題の側面、両方で考えてみるべき課題は多いように思います。

==転載終わり==






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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
トラックバック、ありがとうございました。本当に難しい問題ですね。
 さまざまな情報を発信する側として、いつも考えさせられている問題とも、共通のものを感じます。
労働情報・浅井真由美
2006/01/10 13:56


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トプログ
2006/01/10 18:16
「島歌の奇跡」を掲載しました。トラバしたつもりなのですが・・・?
労働情報・浅井真由美
2006/01/18 01:29
最初の「1時24分」の文、間違いです。ごめんなさい、消していただけます? 
まるで「ブログ荒らし」ですね。
お詫びします。
労働情報・浅井真由美
2006/01/18 01:32

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