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zoom RSS 共同連の『就労継続支援事業への提言について』について part3

<<   作成日時 : 2006/03/02 07:07   >>

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前回の続きを始める前に

2月に行われるはずの都道府県の担当課長向けの会議でさまざまな基準になる数値が提示されるはずだったが、厚生労働省も間にあって準備できなかったようで、2月にはその会議は行われなかった。ここに、いかに拙速に自立支援法が施行されようとしているのかということを見ることができる。そして、昨日、3月1日にやっと行われたたようだが、どのような内容で提示されたのか、まだ見ていない。ここに福祉工場の未来を決めるような内容が含まれている可能性は少なくないのだが、今後、その資料を見て検討していきたい。

というわけで、前回に引き続き、共同連の『就労継続支援事業への提言について』という文書を転載し、それへのコメントを書く。今回は
2.人数について
3.応益負担について

を引用した。「3.応益負担について」のコメントに入る前提の部分で長くなってしまったので、ここについての本格的なコメントは次回に続く。(予定)



==以下、「就労継続支援事業への提言について」から項目ごとの引用==
http://www.gambatta.net/kyoudou/image/teigen0502.pdf のPDFファイルから



2.人数について
 当初の要支援障害者雇用事業の際には補助の対象ではない営業職員などの非障害者と障害者を併せて20名という提示がなされた。
この新事業が継続的に経済自立し、障害者に対し労働法規を守った働き方を保障するためには、従来のような障害者を集めて訓練するという発想に立ったものではとうてい成功はおぼつかない。そこで、昨年障害ある人、ない人が「共に働く」という視点で、最低、障害者5名とそれと同数の非障害者5名という提言をかつて行ったわけである。
 「非障害者と併せて」という提示の仕方は、その意味からして高く評価しうるものであるが、それでも20名という数字は余りにも多すぎる数字である。以下の理由で現提案を見直し、もっと少ない数での事業展開を可能とするべきである。
 @ 併せて20名といっても、結果的には支援職員を含めても障害者数の方が多くならざるをえず、平均的に見て能力の高い身体障害者の場合を除いて経済的自立が極めて困難にならざるをえないことは現在の福祉工場の実態をみれば明らかである。
 @ 20名に対する賃金保障を行うとするならば、相当の売上を確保できるような仕事が不可欠となる。大企業に支えられた特例子会社ならいざしらず、自ら地域の中に仕事起こしをし、事業展開を成功させようとするならば規模は小さいほどスタートが切りやすい。その基盤の上で拡大をめざすしかない。
上記にふまえるならば、現提案を半分、つまり支援職員を除いて、非障害者と障害者を併せて10名という規模が現実的な仕切りであると考える。

==『提言について 2』引用ここまで==

  この中にある「非障害者と障害者を併せて20名という提示」が今回成立した法律やその後の政省令の中で生かされているかまだ確認していないので保留。今回の自立支援法でそんな規定が本当に含まれているのか、とても疑問。調べる必要があるだろう。
  ともあれ、人数が少なくても認められるべきというのは、その通りだと思う。ここについては、、特にコメントはない。


==以下、『提言について 3』から引用==

3.応益負担について
  これまで福祉工場は利用料という概念すら存在していなかった。そもそも福祉工場は最初から措置制度ではなく一種の契約制度であり、事業費補助として補助金が出されていた。福祉工場は一つの企業でもあり雇用関係をもって働く場であって、補助金を受けているからといって利用料という考えは全く存していなかった。支援費制度の時代にあっても全く同様であった。それが今回突如として障害者の利用料負担の対象になってしまった。
  支援費財源問題に端を発し、居宅生活支援費を裁量的経費から義務的経費にするには、財務当局の了解をとるために個別給付、認定制度、応益負担が一体のものとして不可欠であるとの論理がまかり通っている。介護保険と同様のシステムを導入するために義務的経費化は格好の理屈であったようだ。
  でも、そもそも介護部分を介護保険と一体化するため個別給付、認定制度、応益負担は不可欠なものであったとしても障害者福祉全体を同様にしなければならない理屈はない。訓練等給付(当初は自立支援給付といっていたものが、何故か訓練等給付などと今更に訓練を持ち出すのか理解に苦しむ)の所までなぜそうするのか。訪問介護をめぐって財源問題は生じたのであり、その中の移動介護を個別給付からはずし市町村主体の地域生活支援事業にまわすのならば、尚更のこと就労等に関する事業に財源不足問題など起こりようがないのである。
  しかし、とにかく障害者福祉サービスを国が責任を持って対処するものについては介護給付(=介護保険制度)と同一にしなければ気が済まないということでしかない。そのことによって雇用関係をもって働く場に利用料負担を持ち込むことで就労の拡がりを押さえることになってしまうことを思えばどちらが良策なのであろうか。

 いくつかの選択肢をみてみよう。

一つは就労に関する事業を雇用政策、つまり職業安定局に全面的に移すことである。しか
しそれでは財源がついて行かない。今でも少ない旧労働省関係の障害者雇用財源に旧厚生省の障害者福祉財源がまわされない限り、これは実現性がない(事業者の側からすればそうしてほしいものだが、残念ながら簡単にはそうならない) 。

二つ目には、個別給付の事業ではない地域生活支援事業に移すことである。しかしこれも
残念なことにはこの事業には国からの補助金支援はあるものの基本的には市町村主体の事業であり、今でも市町村は多くの小規模作業所を抱え、自治体助成だけではどうにも展望が開けず、例えば小規模通所授産施設の様な国からの支援を期待していたのである。それがまた市町村主体に戻ることになれば多くの補助金は期待できず一事業の規模や量は限定されざるを得ない(障害者の側からすれば、国の補助金と市町村の財源によってしっかりした制度をつくればいうことはないのだが) 。

三つ目は、この事業についてのみ応益負担は発生させないという方法である。しかしこれ
も共通の制度におかれている以上、ここだけのわがままは通らない。仮に労使協定によって応益負担を免除する道が築かれるとするならばその分事業者の収入は1割分減額されることになる。障害者が負担するか、事業者が負担するかという違いでしかない(障害者の側からすれば、その分が減額されても事業運営が困らない程多額の支援費が設定されるならば、それも可能だが、そんなこともあり得ない話である) 。

そこで四つ目に賃金収入に対して多額の控除設定を行うという方法も考えられる。しかし
年金ももらえない障害者の場合は一定の有効性をもつが年金収入があればそれだけで一定の利用率負担が発生することを思えばそれは何の策にもならない。

してみると最後に残るのは従来のような事業費補助(ハコ払い)という方法をそのまま残
すことである。そのことによって旧来の福祉的就労の場が継続的な雇用関係をもった就労の場に転換することができるのならば、その益はそれこそ大きいものがある。しかし既に新法の枠組みを決められており、一事業の位置づけを変えることは困難である。

―――
障害者の就労=賃金に対して所得税が課される+利用料が生じる
※利用料負担(1.5万円〜4.02万円上限)をなくすには、
@福祉政策から雇用政策に移す→財源がない

A地域生活支援事業(市町村主体)に移す→事業費が大きく減る

Bこの事業のみ応益負担を発生させない→事業所への収入がその分減る

Cそのために賃金控除制度をつくる→年金収入のある人には意味をなさない

D事業費補助制度を継続する→唯一の道であるが、現実的には難しい
―――

  あくまで個別給付によるこの障害者自立支援法の全体枠が動かせないものであるとするならば、給付の仕方において事業所への給付を保障し、そのことで前記Bの方法をとった上で事業所収入減の影響を軽減する必要がある。こうすれば障害者は納税者として賃金を受け取りつつ、過大な利用料を支払うという応益負担から免除される。
  絶対に事業者への給付額がその分減らされるということであってはならない。そうすれば事業経営そのものが困難となり、結局、障害者への給与として跳ね返ってこざるをえない。障害者の1割負担を免除した場合はその分を補給金として出すか、個別給付額算定の際の施設ごとの評価の中にその分を加算するような仕組みをつくることである。
  就労移行支援事業は1〜2年という期間限定で一般就労に結びつくからと給付額を手厚くという考えは、障害者にとっては応益負担額が大きくなるだけのことであるし、事業側にとっても障害者を変えて事業自体を継続するならば、期間の限定は特別意味のあることではない。この厳しい経済情勢下、より重い障害者の雇用を継続的に行う事業にこそ、それなりの補助は必要である。
  ましてや非雇用型が新たに設置されるならば、それと比してより事業継続へのための給付は手厚くあるべきである。


==『提言について 3』の引用ここまで==

 この「3.応益負担について」の文章は長く、論点はいくつもある。
  まず、考え方として、どうして仕事をしに行くのにお金を払わなければならないのか、それはおかしいということ、そここそが明確にされなければならない。そして、そのことを考えていく上でネックになってくるのが年金制度(所得保障制度)とのからみだと思う。この問題に手をつけない限り、障害者の就労援助の問題を根本的に改革することはできない。トータルな所得保障の問題として、年金と就労継続支援における賃金の問題が提起される必要がある。
  最初の記事にも書いたが、ここで就労援助のありかたについて、かなりの量を用いて論じながら、そのことについてのコメントがほとんどないのが残念だ。はたして、年金と賃金を一元化することがいいのかどうか、北欧において行われているらしい所得保障と賃金の一元化の前例などを含めて、更なる資料や調査が必要だろう。また、障害者だからこそかかるコストがあるなら、単純に賃金体系に一元化することも問題があるかもしれない。更に、厚生年金と国民年金における障害手当ての差の問題や労災補償との連関の問題もある。確かに、年金による所得保障と就労支援による所得保障は日本では現在までずーっと違う枠組みの上で行われてきたもので、この制度に手を入れることの困難はとても大きいことは容易に予想できる。しかし、おおまかに言えば、税を使って所得保障を行うということでは、同一の土俵にある問題として、考えられる必要があるはずだ。年金保険料を払っていることを単純に税を使っているという風に表現することに問題もあるだろう。年金の種類によって、拠出金額が異なるという問題もある。(そういう面からも年金の一元化は必要とも言える。)この問題は制度としての整合性と理論的な整合性、両面から検討されなければならない課題だと思う。

  また、この問題が気になるのは、障害年金という形で一定の所得保障を受けているものと受けていないものの同一の賃金体系を考えたいという、継続的な就労支援を運営する側の問題でもある。同じ工場で働きながら、障害者の賃金が低いのは、年金を受給している障害者とそうでないものを同一の賃金体系にしていくと、受給していないものの生活が厳しいものにならざるを得ないという現実的な背景もある。障害に関わって、社会生活を送ることに、障害者個人がコストを支払うという制度の中で、障害者特有のコストがあるとすれば、そこについては一定の配慮も必要だろうが、同一価値労働同一賃金という観点からも、障害者年金による所得保障と継続就労支援による所得保障の一元化は問われているように思える。

  障害者とともに働く現場の中で、「同一価値労働同一賃金」という考え方を持ち出すのを奇異に感じる人もいるかもしれない。たしかに、このような職場で、それは制限をつけて考える必要のある概念だと思う。しかし、この問題も解決する方法があるのではないかと考えている。私が働く職場では、木下武男氏の「日本人の賃金」(集英社新書)という本に書かれている考え方をもとに、数年前、賃金是正を行った。その基本的な考え方は、生活保障部分+仕事給という二階建ての賃金だ。この考え方を適用して、年金と生活保障部分をリンクさせることによって、限定つきではあるが、「同一価値労働同一賃金」という考え方を実現することが可能になっていくのではないかと思う。

 



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