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zoom RSS 『「障害者自立支援法」時代を生き抜くために』 斜め読み読書メモ

<<   作成日時 : 2006/03/17 04:13   >>

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「障害者自立支援法」時代を生き抜くために
メンタルヘルス・ライブラリーN

岡崎伸郎+岩尾俊一郎●編
http://www.hihyosya.co.jp/books/ISBN4-8265-0436-5.html
批評社 
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この書籍を購入して斜め読み。とりあえず読書メモを残しておく。

上記のアドレスや立岩さんのサイトに「まえがき」として紹介してある文章は「あとがき」の間違い。そして、1行あけて続いている文章は帯の文章。

Webサイトで「まえがき」として紹介してある実は「あとがき」の結語部分の文章転載
==
障害者自立支援法時代とは、「弱者をボロ負け組に叩き込む」意図を持って政策が選択される時代である。厚生労働省は今後も引き続き、障害者だけではなく、高齢者を含め、医療・福祉・年金・介護など社会保障制度全体の改変を志しているため、その政策の矛先は「ボロ勝ち組」を除くこの社会の大多数に対して向けられている。今後4年間政権選択が不可能であるなら、ここはじっくりと、われわれはどのような福祉社会を目指していくのか、その実現のために必要な政策、経済基盤はどのようなものかといった大枠の検討を今後の課題としていきたい。
==「あとがき」から転載ここまで==
「弱者をボロ負け組に叩き込む」という表現は内田樹のブログの昨年の9・11選挙評価から援用したと、その前の方に書いてある。

帯の文章は以下
==
この国の将来にわたる精神科医療・保健・福祉政策の根本問題を様々な視点から検証する。少子高齢化時代の到来により、介護保険制度の破綻が現実のものとなりつつある。国は財源確保のために、障害者福祉の税から保険への転換による介護保険制度との統合をめざして、「郵政解散」で一旦廃案となった「障害者自立支援法」を復活、成立させ、「改革」路線を走り出した。
様々な問題点を抱えながらスタートした障害者福祉政策の新体制をあらゆる視点から浮き彫りにした関係者必読の文献。

==帯の文章ここまで==


必読かどうかはわからないが、興味深い内容がいくつか。
その中でも、岡部さんの以下の評価にハッとした。

===
・・・介護保険制度との統合問題を経て障害者自立支援法の成立にいたるこの数年、支援費制度開始前は盛んに宣伝されたいた「利用者の自己決定・主体性の尊重」の言葉は、いつのまにか政策側の言説からは消え、社会福祉基礎構造改革は、中央官庁のコントロールと自主財源の確保の両立という連立方程式の解を、社会保険を共通のプラットホームとし、「医療と福祉の連携」のもとに、事業体及び専門職が強いケアのイニシアティブをもつ地域福祉の実現をめざす「日本型コミュニティケア」とでもいうようものに求めているようにみえる。
 つまり、障害者自立支援法の問題は、いわゆる「財源問題」だけではない。障害の種別を超えて自律/自立を求める障害当事者にとって、これまで求めてきたこと/作ってきたことを確認するとともに、状況を踏まえつつ、現在の制度政策動向に対抗し、「ケアの自律」とそのための「ひとりひとりの必要を満たすに足る給付の獲得」の実現を可能とするオルタナティブの検討と提示が必要とされているのではないだろうか。
140〜1p
===

 この言い回しはぼくのような単純な人間にはけっこう難解だが、この『「財源問題」だけではない。』というところがポイントだ。今回の自立支援法をめぐる事態、確かに支援費の財源の問題がきっかけであり、それを梃子にして、「自主財源」の確保のために介護保険の拡大をめざす厚生労働省が将来の介護保険との統合をにらんで、一気に成立させた法律というのが基本線だと思う。
 しかし、岡部さんはそこだけに目を奪われるのではなく、「障害者の自律/自立を求める」という観点からのオルタナティブの検討と提示の必要があるのだと主張する。それが具体的にはパーソナルアシスタンス/ダイレクトペイメントの提案になるわけだ。

 その実現に向けた具体的な留意点が三点挙げられている(146〜7p)。要約すると、以下のようになる。
1、しかるべきボリュームをもった自主財源及びその調整機構としての基金(特別会計)の創設
2、支給(金額)決定のシステムを「第三者判定モデル」ではなく、「交渉決定モデル」とすること
3、障害者自立支援法とは別に、パーソナルアシスタンス/ダイレクトペイメントの根拠法を作り、しかもしれは、給付のエンタイトルメントが明記された権利法として構成されること


これに続けて、この3つを実現するの道は平坦ではないと書かれている。そして、この第4節の末尾は以下のように結ばれている。
===
・・・。・・・その先に目されている介護保険制度との統合にむけてのタイムリミットを考えれば、残された時間は少なく、選択肢も限られている、ということも事実ではないだろうか。
===

 確かに残された時間は限られている。実際問題、選択肢は限られているようにも思える。問題は、上記の3つの非常に高いハードルを含むパーソナルアシスタンス/ダイレクトペイメントの制度を現実にどのように、この限られた選択肢との中のひとつとして、残していけるのかということではないか。現在はどう考えても「絵に描いた餅」でしかないこの制度をどのように実現させるのか。岡部さんも書いているように、これは自立支援法とは「180度異なった方向性」を持つ提案だ。それが必要だという論理は提起されている。しかし、実現に向けた足がかりがあるようには思えない。このままでは「夢の制度」に終わってしまう可能性が高いのではないか。現在の与党と厚生労働省は間違いなく、この案に冷淡な態度をみせるだろう。介護保険との統合が具体的な俎上に上がるまでに政権交代が起こる可能性は非常に低い。万が一、そういうことがあったとしても、このパーソナルアシスタンス/ダイレクトペイメントの制度をちゃんとオルタナティブとして、提示できるかどうかも心もとないようにも思える。
 そのように厳しい状況の中で、これをどう具体化するのかというスケッチはなかなか見えてこない。確かに必要な制度だと思う。しかし、これはマイノリティに必要な制度だ。それを具体化するどのような戦略/戦術がありえるのか。そこに踏み込まなければ、絵に描いた餅・夢の制度に終わってしまう。どのように、そこに踏み込めるかが問われている。


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『「障害者自立支援法」時代を生き抜くために』 読書メモへの岡部さんからのレスポンス
http://tu-ta.at.webry.info/200603/article_5.html で書いた読書メモを障害学MLに投稿し、著者の岡部さんからレスポンスをもらった。 岡部さんに確認したら、ブログに転載することを快く了解してもらったので、以下に障害学MLでの岡部さんからのレスポンスに続くやりとりを転載。 ...続きを見る
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