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zoom RSS 障害学とは??その2

<<   作成日時 : 2006/07/22 19:59   >>

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障害学とは??
http://tu-ta.at.webry.info/200607/article_17.html
で、いくつかの定義の引用をした。
その続き。

いろいろ見ていたら、以前、「障害学への招待」の長めの引用をしていたのを発見したので、以下に。
最後にふたたびコメント

====
 「障害学への招待」(明石書店)から定義やその対象にかかわる部分を抜き出してみました。ぼくの目に付いたのはこれくらいです。
==以下、引用==
…。障害学(ディスアビリティスタディーズ)とは簡単に言えば、障害、障害者を社会、文化の視点から考え直し、従来の医療、リハビリテーション、社会福祉、特殊教育といった「枠」から障害、障害者を解放する試みである。3p

障害学とは何か
 障害学、ディスアビリティスタディーズとは、障害を分析の切り口として確立する学問、思想、知の運動である。それは従来の医療、社会福祉の視点から障害、障害者をとらえるものではない。個人のインペアメント(損傷)の治療を至上命題とする医療、「障害者すなわち障害者福祉の対象」という枠組みからの脱却を目指す試みである。そして、障害独自の視点の確立を指向し、文化としての障害、障害者として生きる価値に着目する。
 障害学にとって重要なのは、社会が障害者に対して設けている障壁、そしてこれまで否定的に受けとめられることが多かった障害の経験の肯定的な側面に目をむけることである。障害者が持つ独自の価値・文化を探る視点を確立することである。11p-12p

 これまであくまで研究される側、「対象」だった障害者自身が障害学の推進には中心的な役割を果たすことが不可欠である。…障害分野において障害者は非障害者である専門家の支配下にあるという意味でポストコロニアル(引用者註:脱植民地化)の取組みである。
 障害学は障害者の生の断片を切り取ってそれを消費するのでなく、その全体性を射程に入れ、参加と統合の断念や、排除の受け入れを納得するための内閉主義や孤立主義ではなく、共生や交流をいっそう促す力となるような障害者文化の育み方について考えをめぐらせなければならない。p74

…様々な課題が、この障害学には求められるだろうが、優生学の根底にある…のような価値観を真正面から批判的に吟味することも、その課題の一つに数えられるべきだろう。「障害学とは、障害を社会から撲滅するための学問だろう」といった、しかし、ありえないわけではない誤解を退けるためにも、それは必要だろう。…名だたる優生学者が当時においても後天的と判断する余地のあった障害や疾患を、強引に遺伝という範疇に組み込み、これらの…人々に対して、不妊手術等の抹消的措置を適用したという事実は、優生学の根底にある、障害全般や治癒不能な疾患一般に対する敵意と不寛容を如実に示していると言えないだろうか。障害学には、一方でこうした敵意と不寛容がいかにして生まれ、正当化されてきたのかを見きわめ、他方で、これらに対抗しうる価値観を模索するという二重の作業が課せられている。
==引用ここまで==

 価値志向の学問と明確に位置付けていいのではないかと前回、書いた。評価はいろいろあると思うが、ぼくはそう考えたい。

また、野崎さんの博士論文序章「障害者の生の肯定と「留保なき生の肯定」http://d.hatena.ne.jp/x0000000000/20060722/p1#seemore
にある「生の肯定」という問題の立て方も障害学の重要な観点ではないか。それはサブシステンス志向ともつながる。そういう意味では脱「開発主義」の志向性と親和性があるとも言える。

 それを、ものごとを考えるときの重要な価値軸の一つにしたい。そこから、ものごとを考え、問題を立てることが可能なのではないか。「環境問題」というようなことを考えていく上でも、それは大きな助けになるはずだ。

例えば、
「水俣病は終わらない」東京集会に参加
http://tu-ta.at.webry.info/200606/article_17.html
に書いた、患者さんの「こんなカタワにされてしまった」という発言に見られる加害が特定できる障害を否定的に見ていくといった課題がある。それをどう見ていくかを考えるとき、この「生の肯定」という問題の立て方で見えてくるものがあるのではないかと思う。

このブログ記事にトラックバックをもらった。そこには以下のようなことが書いてある。
===
先日のエントリーでご紹介した『天の魚』についても、実は同じような問題がある。語り手の老人は、水俣病に冒された息子のことを「役せん(役に立たない)身体にちなってしもた」と嘆き、胎児性患者の孫について、「このじじばばより先に、杢の方に早よお迎えのきてくれらした方が有難かこつでございますと」と言うのだ。

その嘆き、その思いの深さは、もちろんこれ自体はフィクションなのだけれど、しかしひとつの「真実」だと思う。けれどそれをことばに即してだけとらえれば、「障害」を得ること「障害」を持って生まれたことに「マイナスの価値を貼り付ける」ことに、たしかに、なる。

だからといって、このセリフを削ってしまえばいいということにはならない。むしろ、この言葉を生かしながら、「マイナスの価値」でないものをどう伝えるか、伝えることができるのか、を考えていくべきなのだろう。
===
*涼風庵徒然* 水俣病についてどう語るか
http://windycotage.blog66.fc2.com/blog-entry-19.html

このセリフは『苦海浄土』のことばそのままらしい。また、この記事の中で原田正純さんの観点が紹介されている。


原田正純さんは
===
胎盤は胎児を毒物から護ってきたはずなのに、近年開発された化学物質はそれを通り抜け、胎児の育つ環境を汚染してしまう。ただ、一部で言われるような、「こういう子が生まれてしまうから、そうならないために環境保護を」という言い方はおかしいと思う。この子たちのいのちの価値が低いわけではなく、生まれてはならない子であるというわけではない。
===
というようなことを化学史学会のシンポジウムで話されたそうだ。
http://tennoio.blog67.fc2.com/blog-entry-7.html
その見方ともつながってくる。


障害学を「障害を切り口とする知の運動」と位置付けて、生産力主義・効率主義という価値が中心に置かれた近代を超える価値をそこに見出していきたい。それは「生の肯定」という問題の立て方と直接的に結びついてくるのではないか。

近代の価値の蔓延がもたらした地球の危機を、格差や不平等をなくす方向で抜け出す価値を見出していくときの重要な観点にそれはなりえるのではないかと思うわけだ。

そんな大風呂敷をもう少しちゃんと広げてみたいと思う。

(2014年11月15日、最後の数行を微妙に改変)

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
TBありがとうございました。
とっても、共感します。このあたり、私自身ももう少しきちんと整理せねばなあといつも思っています。
いしばし
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2006/07/24 18:09

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