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zoom RSS 「障害者自立支援法案」を持ち上げる京極氏の本

<<   作成日時 : 2006/07/06 03:53   >>

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去年、5月に障害学のMLに投稿した読書ノートを再録。

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京極氏の本について

自立支援法に関する以下の3冊の書籍を手に入れてながめてみた。
1、障害者自立支援法と応益負担 著:障害者生活支援システム研究会 2005年5月
2、障害者福祉制度改革なにが問題か 著:峰島厚・白沢仁・多田薫 2005年5月
3、介護保険改革と障害者グランドデザイン 著:京極高宣 2005年3月

 ここで、とりわけ何かコメントしたいと思ったのは、この3冊目。

 社会事業大学の学長で国の各種審議会や研究会の座長をやっているこの京極氏の経歴をぼくは、この本に書いてある以上のことは知らない。このMLではすこぶる評判の悪いこの自立支援法の道筋を作った社会保障審議会障害者部会の座長が何を考えているのか知りたくて、この本を手にすることにした。まず、この本の「はじめに」には以下のようなことが書いてある。これを読んだだけで、もうムカムカしてきた。

==引用開始==
・・「障害者自立支援法案」・・・。それは・・・、障害者福祉に関する21世紀初めに開花する革命的な福祉立法として、後世に評価されるに違いないものである。
 しかしながら、現状では、マスコミや障害者団体等でも必ずしもこうした十分な理解が得られていない。誤解や偏見に基づく批判キャンペーンがかなり目につく。そこで、私は介護保険制度の発案から立法化、施行化などで、古くからかかわってきた立場から、また同時に現在の社会保障審議会障害者部会長として、今日の「障害者自立支援法案」が生まれるまで長くかかわりをもってきた立場から、この際どうしても私個人としても緊急発言しなければならないと考えた。そこで、これまでその都度、新しい社会保障の考え方を下敷きにして執筆してきた当該問題に関する時評や論文をまとめた次第である。
 ・・・
==「はじめに」から抜粋、ここまで==


 十分な理解がないから、批判されているという。しかし、この間出されている批判を京極氏は理解していないのか、理解していても無視しているとしか考えられない。上記の意図で書かれた本として、出されている批判に、どれだけ、答えているかとざっと内容に目を通したのだが、厚生労働省の趣旨説明の繰り返し以上のものを読み取ることはできない。例えば、

==以下、引用==
 また、利用者負担に関して、従来の支援費制度は、措置制度と同様に応能負担の原則で低所得者にはきわめて有利であったが、利用者の一割負担を原則として、応能負担の考え方を一部導入することになる。しかし、応益負担が困難な低所得者に対しては、上限を定めて高額費用負担を減免する制度を充実させながら、特別に給付を必要とする者に配慮した制度をきめ細かく導入することなどを図っている。(86p)
==
(自立支援法案の改革のねらいを厚生労働省の説明から引用した後に)
 さらに注目に値する点は「障害者自立支援法案」には、重度障害をもつ人々が危惧しているような過度な利用者負担を避けるきめ細かな配慮がなされており、例えば重度障害者包括支援、重度訪問介護、強度行動障害個別援護などが新たに用意されていることである。
 以上のねらいをもつ「障害者自立支援法案」は戦後障害者福祉の歩みで最も革命的な役割を21世紀において演ずることは疑いない。(87p)
==引用ここまで==

 この「応益負担制度」、(厚生労働省のように批判に反応して、「定率負担」と言い換えないところは評価できると思うが)の低所得者配慮の減免措置について、この措置があっても地域の障害者は従来のサービスが使えなくなる、自立生活の維持が困難になると批判されていることへの理解がまったくない。この本が発行された3月の段階には既に具体的な批判が出されていたにもかかわらず、それへ反論はない。また、ぼくの勉強不足か、ここに書かれている「重度障害者包括支援、重度訪問介護、強度行動障害個別援護」などの施策がどのように準備されているのか知らないが、これらがあるから、「重度障害者は安心だ」という声を今まで聞いたことはない。(ここについては、これらの制度がどのように説明されているか、どなたか教えてください)

 また。社会保障審議会障害者部会の議論が以下のように紹介されているところに、筆者の明確な立場性を見る。
==
 私が座長をしている社会保障審議会障害者部会、厚生労働省のグランドデザイン案に審議委員はおおむね賛成であり、長年の悲願であった三障害共通の「障害者自立支援法」の制度化には原則的に前向きである。(4p)
==
 ここでは福島さんが審議会で提出した応益負担への根本的な批判が無視されている。この応益負担こそが、法案批判の中核をなしていることを京極氏が知らないわけはない。にもかかわらず、この無視である。ここに京極氏とこの法案への危惧を表明する障害当事者の絶望的な距離を感じる。
 そして、当然のように、この間出されている、法案の拙速さへの批判などにも一切触れていないし、この法案では三障害の範疇に入らない人がでてくる問題への言及もない。この問題に関しては、福祉新聞の社説で障害者基本計画の骨子案を「法の谷間にある問題解決への姿勢が見えてこない」などと批判されたことへの反論として、その問題はちゃんと盛り込まれているのに、この批判には「唖然とさせられる」と書いている(70p)。しかし、この自立支援法においても、法の谷間の問題が無視されたことは、この時点での福祉新聞の批判が正しかったことを証明しているように思われる。
 ただ、この本が書かれた意義があるとすれば、彼がこのような形でまとめることで、この「自立支援法案」の背景の根拠の薄さを認識すること、そしてそれへの反論を容易にしていることだろう。
 京極氏は、これこそが21世紀に向けた「新しい社会保障の考え方」であり、自立支援法は「革命的な福祉立法」であるという。彼は「しっかりした所得保障に応じた定率負担をする考え方に転換するのは当然のこと」(86p)と書くのだが、その一方で支援費の財源がない、障害者が介護保険を使えるようにすることに関して長期的に考える余裕などないと中西さんの「当事者主権」を批判する。(176p)
 仮に、しっかりした所得保障さえあれば、ぼくは利用者が負担をして選ぶという考え方はないわけではないと思う。しかし、しっかりした所得保障の展望がどこにあるというのだろう。それがない現状で、負担を求められているわけだ。
 障害者が社会生活を送る上で基本的なサービスへ税負担をすることへ理解が得られないので、自己負担が必要という論理がある。その論理を肯定した上で、どのように「しっかりした所得保障」を望めるのかぼくには理解できない。
 
==

 つらつらと書いてきたのだけれど、ぼくには、いま書いた程度のことしか書けないので、説得力のある包括的な京極氏批判をどなたかにお願いしたいところです。
 北野さんはこのMLに入ってましたっけ?福祉新聞の論壇に掲載された彼の新基本計画批判を京極氏が「実証的でないイデオロギッシュなもので批判するに値しない」と書きながら、(この本では2pにわたって)批判している文章をこの本にも掲載されているので、ぜひ、京極氏への再反論と自立支援法批判をかぶせて、書いてもらえるとうれしいです。
 
 もっと他に書くことはあるのに、と思いながらここまで書いてしまいました。
京極氏について、「ただの御用学者じゃないか、なにもむきになって反論しなくても」という向き合い方もそんなに間違ってはいないようにも思えてきた。これを徒労と呼ぶのだろうか?


====

転載ここまで


 




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