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zoom RSS 「麦の穂をゆらす風」を見てきた

<<   作成日時 : 2007/01/09 07:14   >>

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 遅ればせながら、「麦の穂をゆらす風」を見てきた。連れを誘って行ったのだが、彼女はそれからずーっと機嫌が悪い。確かにこの映画、作品自体に希望は見えない。笑って楽しみたいときにはまったく不向きな映画だ。
 しかし、それは世界の現実と照らし合わせて考えさせるとても強い力を持っているということでもある。外国軍による占領、レジスタンスへのすさまじい暴力、そして、その暴力が抵抗の暴力を生む。その暴力は深く内部にまで浸透する。レジスタンス内部の暴力は大きな矛盾を孕みながら、被害・加害、両方の当事者をこれでもかというほどに苦しめる。
 暴力を美化しないということにとても気を使ったと脚本家はインタビューに答えている。「特に映画の中だと、こういうこと(抵抗の暴力:括弧内は引用者)を美化してしまうのは実に簡単にできてしまう」と。
 抵抗・革命の暴力・武力についてはサパティスタのマルコスが語り、それを援用して太田昌国さんもキューバの非武装化の夢想を語るが、そこをどう克服していくのかということは歴史の中ではまだ「見果てぬ夢」の域をでることはできない。ケン・ローチはだれも克服できていないこの問題をこの映画の中で可視化することに成功していると思う。
 しかし、それを克服する方法は暗示することさえできない。彼はインタビューの中で「悲しいことに、正義という立場を得るにはそうした激烈なやりとりを通らなくてはならないわけです。」と応える。しかし、そうした激烈なやりとりはもうさんざん歴史が経験している。そうしたやりとりを完全になくすことはできないかもしれない。しかし、減らす方策はあるはずだし、探し続けたいと思う。


 またケン・ローチはパンフレットの中でこんな風に書いている。
==
(1920年から22年までのアイルランドはきわめて重要な歴史のひとこまで)
この時期のアイルランドを知ることで、独立に向けての長年の闘争が、なぜ成功した瞬間に挫折に転じたのかを知ることができます。
(中略)
そこには歴史上、何度も繰り返されてきたパターンが見えます。利害の異なる者達が共通の迫害者を前に手を携えて立ち上がるけれど、こうした支配勢力による不正な操作(英国がアイルランドに行ったような:括弧内は引用者)によって、やがて異なる利害が浮上してくる。現在で言えばイラクにこうしたパターンが起きていると思います。・・・
==

おそらく、ケン・ローチがこれを書いた後、イラクの状況は彼が書いたとおりに激化し、ますますひどくなっている。フセインの処刑の報に際してブッシュが民主主義の前進を語る、こんなグロテスクな冗談にもならない悲惨な逆説が堂々とニュースで流される。日本の翼賛マスコミもさすがにイラクの現状の悲惨さをあわせてコメントせざるをえない。しかし、誰の目にも明らかになりつつあるこの不当な占領状態に日本政府が加担していることがあわせて報道されることはない。



パンフレットの訳語に関して、attac江東のブログでは別のところが触れられていたが、ぼくが気になったのはインタビューの最後の項目。
==
Q 映画の配給に関して
ポール・ラヴァティ(脚本)
「ありがたくもアメリカで配給させていただきましたら、ご覧になったみなさんにはブッシュさんに一筆メッセージを送って、共和主義者に関するすばらしい映画を見た、と伝えていただければと思います」。

==

リパブリカンを共和主義者という風に訳すかどうか、悩ましいところだろうなぁと思う。「リパブリカン(共和主義者・共和党支持者)」という風にしたら、分かりやすくはなるけど、ちょっとくどくなる。、



そういえば、革命のための処刑というのはブレヒトにも似たような戯曲があったと思う。確か学生時代に黒テントの人たちが赤いキャバレーとかいう名前でやってたのを見たようなおぼろげな記憶がある。「処置、および処置について」とかいうタイトルだったか。



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タイトル (本文) ブログ名/日時
「麦の穂をゆらす風」:結局最後まで思い出せずじまい
監督:ケン・ローチ 出演:キリアン・マーフィ イギリス/アイルランド/ドイツ/イタリア/スペイン2006年 1920年、アイルランドの小さな町を舞台に英国からの ...続きを見る
ひねくれ者と呼んでくれ
2007/01/14 11:46
おじさんシネマ(麦の穂をゆらす風)
キネマ旬報のベスト10が発表された。 去年は、硫黄島の2作が独占していたみたいだけど。 もうひとつ、戦争の悲惨さを描いて、そして、内戦の実態を描いた映画。 5位にはいっている。 「麦の穂をゆらす風」アイルランド紛争を描いたこの映画。 胸を深くえぐる。 いったい何をもたらしたのか・・・・。 どこで折り合いをつければいいのか? 今、世界のあちこちでおきている内戦に通じるものがある。 物語は、デミアンと兄テディの兄弟を中心に描かれてゆく。 複雑なアイルランドの歴史。 そして... ...続きを見る
おじさん日記By宙虫
2007/03/05 00:11
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2007/05/27 00:02

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
TBありがとうございました。

|暴力を美化しないということにとても気を使った

まさしく!これこそが映画に限らず表現の場において困難なことであると思います。
残念ながらそのこと自体に無自覚な表現者が多いのですが……。
さわやか革命
URL
2007/01/14 12:14

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