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zoom RSS 『地球が生き残るための条件』読書ノート その1

<<   作成日時 : 2007/03/19 23:12   >>

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 大切な本だと思うが、かなり読みにくい日本語。そんあこともあって、ちゃんと読んでいない。もう10年近く前に著者のひとりであるザックスが日本に来て、そのついでにPP研でも話してくれたときに紹介されたこの本のことがずーっと気になっていた。かなり以前に購入していたが、斜めに読んだままになっていた。『君あり、故に我あり』の読書ノートもかなり肝心な最後の2章を残して書きかけだが、これも何回か続けて抜書きしてみたいと思う。先日見せてもらったシューマッハ・カレッジのパンフレットによると、今年ザックスはそこで講師をやるらしい。



 この読書ノート、1回目はとりあえずイントロと総論。

 「はじめに」を大幅に省略して、ぼくなりに改変すると、こんなことが書いてある。
===
 国内では格差社会、あるいは高齢化社会へどのように対応するかということが声高に語られている。年金をどうする。財政赤字はどうなる。労働はどうなければならないのか。
 これらすべてに答えを出さなければならないのだが、地球環境問題と、地球全体での公正な関係の実現を求める主張が一致しないかぎり、どんな答えも無意味だ。まさにこのことが「先進国」に欠落している。
 「先進国」と貧困国の間に公正な関係がなければ、地球環境問題は解決しない。簡単な例で紹介すると、世界のCO2発生量のうち、生物資源で吸収できるのは130〜140億t。これが木や化石燃料を燃焼させて大気中に放出できる量。人口が61億だとすると、一人当たりの排出権は2.3t。中国は2t、エジプトとブラジルでは1.5t。(このあたりの数値について、本は96年に書かれていることを留意)  米国では20t、ドイツは12t、日本は9t。消費量の差はもちろん、CO2だけではない。
 つまり、「先進国」(過剰国)では、ライフスタイルを変えることなどで、これを半端じゃなく大幅に削減させなければならない。
 で、この本の内容は
1〜3章が持続可能性の方法論的・量的視点からの検討
4章が未来シナリオ
5章がその実現可能性の検証。


データベースでのこの本の内容紹介
==
内容(「BOOK」データベースより)
ドイツの環境シンクタンク・ヴッパタール研究所による、ヨーロッパで「定番」の環境書。

内容(「MARC」データベースより)
南北問題と地球環境に重点を置いて目標を設定し、未来に持続可能な地球にするためのシナリオを具体的に描く。多くの例示によって真の脱工業化社会の経済様式を示す、ヨーロッパで定番の環境書。
==

とある。訳者あとがきによると、原著は96年にドイツで発行された『未来可能なドイツ(原著タイトルはドイツ語)』、そして同じ年に英語版の『北を緑化する(Greening the North)』も参考にしている。ドイツ語版は453ページで、ドイツに固有の問題の分析を大幅に削除した英語版は250ページだったので、日本語版ではさらに削ってある。だから、詳しく知りたい人はそっちをあたるべき、と書いてある。

目次は
第1章 地球環境問題を考える共通基準は何か
 (持続可能な発展環境空間―エコロジーと公正 ほか)
第2章 どのように目標を設定するか
 (汚染を減らす―リスク抑制目標採取量を減らす―リスク予防目標 ほか)
第3章 どれくらい環境を消費しているか
 (環境消費の構造北は南に環境空間を求めている)
第4章 未来可能な社会のシナリオを描く
 (時間と空間を適正なものにする;グリーンマーケットを構築する ほか)
第5章 未来可能な社会のシナリオは実現できるか
 (社会的公正経済的にみて実現できるか ほか)

いろいろ興味深く具体的なことも書かれているので、気になった部分はこれから抜書きしたい。



このブックタイトルで検索して、以下のメルマガを発見。今日はこれを引用して終わりにしよう。

松尾 眞
京都精華大学 環境と政治 メルマガ「小泉純一郎を斬る!」 バックナンバー 第40号
http://www.kyoto-seika.ac.jp/matsuo/magazine/backnumber/40.html

ちょっと引用しておこう。
===
・・・1月に邦訳『地球文明の未来学』が出たヴォルフガング・ザックスの著作である(新評論刊)。彼はドイツ・ヴッパタール気候・エネルギー・環境研究所の研究員だが、『脱「開発」の時代――現代社会を解読するキイワード辞典』(晶文社)の著者として有名である。また、私がこのマガジンでも紹介した『地球が生き残るための条件』の共著者でもある(因みに、今回の『地球文明の未来学』は訳文もこなれていて、非常に読みやすいが、『地球が生き残るための条件』は誤訳や不適切な訳が多数見られ、正確な理解には邦訳の元になっている英語版の参照が不可欠である)。
ザックスの論点を全面的に紹介するには私の準備が足りないが、今回のテーマとの関係で大事だと思う点を3点ばかり紹介しておきたい。

第1点は、ザックスが1949年のトルーマン大統領就任議会演説に遡って「開発」という概念を検証していることである。一言で言えば、この時以来、南の諸国・諸地域が「低開発」とう概念で一括りにされ、「北」による管理(−搾取・収奪)の対象とされたことである。そして、ザックスの「開発」概念の検証は、「南」の「開発・発展」が実現されるどころか、逆に、1980年代あたりを境に「北」の戦後高度成長の行きづまり、資本蓄積の隘路を打開するものとしてのグローバリゼーションが進み、それが「南」を貧困のどん底に叩き込んでいくという、じつに今日的な問題の解明につながっていると、私は読んだ。

第2点は、グローバリゼーションの本質的な特質である「時間と空間の圧縮」が、「サステイナビリティ」と本質的に矛盾関係にあることを鋭く解明していることである。

第3点は、第2の点と密接な関係にあるが、「地球環境管理」という発想、概念の主流化の危険性を鋭く突き出し、批判している点である。宇宙船から撮影された「暗闇の宇宙の中に浮かぶ青い地球」という姿の映像は、環境保護運動の発展に重要な支点を与えると同時に、「地球を管理する」という発想法をも生み出した、とザックスは言う。われわれはしばしば、地球環境の危機をめぐって、たとえば熱帯雨林の減少等の“現実”を「宇宙観測衛星によって観察された映像」という形で目にする。だが、ザックスは、それが宇宙から撮影された映像・写真ではなく、衛星から送られてくるデジタル信号のデータを解析し、それを画像処理した「つくられた像」に他ならないことをあきらかにする。地球環境、地球生態系のすべてを「デジタル・データで解明し、管理することができる」という「科学万能神話」とそれに基づいた「地球管理思考」が、「地球環境保全」の名の下で力を増しているのである(こうした動向について、ザックスが、その根元を近代啓蒙思想に求める議論については、私はいささか疑問なしとしないが)。

「南」を「低開発」の概念で一括りにし、「時間と空間の圧縮」の中で、グローバリゼーションをすすめ、ついには宇宙と地球を管理するという発想にまで行き着く。ここには一つの一貫した流れがあると言えよう。これらをトータルに把握、批判する視点が必要なのである。

以上に述べたことを別の視点から考えてみると、つぎのようなことも言えるのではないだろうか。ザックスは「近代」総体を問題にする視点を提示しているが(──そして、それは必要不可欠な視点であるが)、私は少なくとも第二次大戦後の戦後世界についての全面的な総括がいま、厳しく求められているのではないかと考えるのである(ザックスの「開発」概念の検証はその一環となる)。私自身がここ10年ほどの間に考え、論じてきたことの反省にもつながるのであるが、われわれはあまりにも性急に「冷戦の終焉」を語り、冷戦時代を忘却の彼方に追いやり、戦後(史)の十分な総括を抜きに1990年代以降、21世紀初頭の今日に至る過程でつぎつぎと生起する「新しい事態」にのみ目を奪われ、近視眼的な「思考」を繰り返してきたのではないだろうか。…

==引用ここまで==

 とりあえず、なんだか読みにくいと思ってたことを補強する意見を引用したかったのだが、ザックスについての記述と、そこからつながる部分がちょっと興味深かったので、長めに引用してみた。

この先で記述している「エコロジズムを主張する人々のかなりの部分が、環境破壊の根元を近代啓蒙思想に求め、『資本の論理』の対象化を曖昧化、ないし否定してきた事実を、私は否めないと思う。」とかも興味深い。ぼくはエコロジストが『資本の論理』こそが問題だと言っている例はいくつもあると思うし、それを曖昧にしてることはあっても、否定するのはめずらしいんじゃないかと思うが、このことに注目してみてみるのは面白いんじゃないかと思う。


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