今日、考えたこと

アクセスカウンタ

zoom RSS 小倉さんの「歴史的主体について?WSFをめぐる争点の整理」について(2)

<<   作成日時 : 2007/05/11 07:04   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

感想の(1)を書いてから、ずいぶん時間が経ってしまった。前に書いたのを読み返しても、何が書きたかったのか自分でもわからなかったりして。

ぼくにはとても読みにくかったこの小倉さんの文章(ぼくの感想はもっと読みにくいけど)の概観をまず書いてみる。

(1)では、現状のWSFが抱えている危機を「支配の弁証法」というキーワードで説明する。
(2)では「現在の新自由主義的なグローバリゼーションとしての資本主義を転換させる歴史的主体をどのように描き出すかという問題」がテーマになる。ここではWSFのバマコ・アピールを例に「主体」の想定が成功していないと書く。
(3)も、(2)に続いて「主体」が俎上にあげられる。ここでは「『個人』を要素とする集合として主体を論じること」を否定し、主体は個人や個人を要素とする社会集団として説明できるものではな「構造的な存在」だとする。そして、この(3)の結語では「こうした議論から再度バマコ・アピールの構想する歴史的主体の創造をみたとき。その主体は平板な現象の羅列の域をでていないことがはっきりするだろう。」とする。
(4)Boaventura de Sousa Santosの分析の紹介を軸にWSFを西欧=近代中心の解釈を超えることの重要性を主張する。


読み始めて1ヶ月かけて、(4)を読み終えて、なんとなく小倉さんが言いたかったことが見えてきた。

小倉さんは「主体に名前と定義を与えること」に価値を見出しているように思えるのだが、この主体に名前と定義を与えることは本当に必要なことなのだろうか。
あるいはサントスにならって言えば、「歴史的主体という概念を拒否し」たとしても、「こうした新しい社会運動の試みがかかえる問題として…、この運動が正しい方向性をとるためには新しい社会理論や新しい分析概念が必要である」と考えるのかどうか。

 そのような形で全体像を提示しようとすること自体が「西欧=近代」的な思考ではないかという疑念にかられる。さらに言えば、何が「西欧=近代的な思考」なのか。ぼくたち、否、ぼくは本当にそこから自由な思考が可能なのか、そんな気がしてくる。

というような??を含みつつも、この小倉さんの問題提起は刺激に充ちている。とりわけ(4)は面白かった。

ぼくは「西欧=近代的な思考」からはなかなか自由になれないと思いつつも、WSFという新しい形態が可視化した「ラディカルに民主主義的なユートピア」というアイデアは面白いヒントになりえるんじゃないかと思う。



==
以下、(2)に関してのクリップ、最後にメモを少し。


==クリップ==

歴史的主体について?WSFをめぐる争点の整理(2)
▼主体と構造
===
閉ざされた自由の空間をめぐる問題とともに、WSFの争点となっているのが、現在の新自由主義的なグローバリゼーションとしての資本主義を転換させる歴史的主体をどのように描き出すかという問題である。WSFはその原則憲章において多様性を重視することを宣言し、もはや変革の主体を労働者階級(あるいは労働者階級としてのアイデンティティをもつ民衆)に求めることはできないとした。その結果として、NGOから社会運動まで、多様な組織・運動としてたちあらわれる「反システム運動」から、もうひとつの世界を建設するに足る主体をどのように見出すのか、という新しい問題に直面することになった。
==

マルチチュード…(中略)…。ノマド、サバルタン、プレカリアートなど様々な名称が大衆的な異義申し立て運動のたびに提起されててきた。これらの指し示す主体なるものはある共通性をもっている。それは、変革の主体としての位置をあたえられてきた労働者階級(生産的労働にたずさわる正規雇用の労働者)から排除された残余の部分をむしろ主体の中心に据えようとする試みである。
==
主体は確実に存在するのだが、この主体に名前と定義を与えることができないままという事態が起きてきた。
==
「バマコ・アピール」は、WSFの歴史のなかで、ひとつの重要な路線転換を提起した文書であると受け取られ、多くの論議を呼び起こした。論点はその内容の是非とともに、アピールの内容を決定するプロセスが限られた知識人たちの討議によるものであったことにたいする疑義を重要な争点のひとつに含んでいた。このアピールは、従属理論の提唱者の一人でもあるサミール・アミン、フランソワ・ウタールらが起草し、バマコの世界社会フォーラムの前日にもたれたバンドン会議から50周年を記念した会議での討議をふまえて発表された。このバマコ・アピールは、WSFを多様な参加者による自由な空間としてではなく、より明確に資本主義の体制を転換させる運動として、首尾一貫した方針をもつ政治運動へと転換させることを提案した。
==
八つの原則と10の行動提起からなるアピールとしてはかなり長文のこのバマコ・アピールの冒頭の部分で、このアピールは「新しい民衆的歴史的な主体の登場に寄与することを目的」とし「民衆から生まれる多様で多元的で歴史的な主体が実在のものとなるためには、社会的政治的な諸勢力を動かすことのできるオルタナティブを規定し、これを押し進めることが必要である。」と述べているように、新たな主体は、単なる自由な討議空間を様々な参加者による自主的な会合の寄せ集めとして企画するだけでは登場しえないと指摘し、主体の形成には社会的政治的な諸勢力の運動を導くことが可能なようなオルタナティブの規定が必要だということ、つまり、かつてであれば前衛党の綱領にあたるような何らかのグランドセオリーの必要が主張されたのである。
===
しかしこの多様性に基づく主体の想定は必ずしも成功していない。その理由は、ふたつの点から指摘できる。第一に、主体のリストが長くなればなるほど主体としての条件を完全に満たす主体は不可能な存在に追いやられるというジレンマである。農民は重要な変革の担い手であっても、輸出加工区の多国籍企業の下請け工場で働く労働者ではないし、先進国の男性の労働者は南の国の女性と同じ存在であることは不可能である。だれひとりとして主体の条件を完全に満たす者はいない。他方で、主体としての条件を十分に満たせない部分的な主体は、その部分性から世界全体を説明する立場には立ちえない。その結果、各々の主体は断片的に自らの経験に基づく世界を持ち寄ることはできても、普遍的な新しい社会像に結実することはできない。こうしてこの延々と続く部分的な主体のリストは、世界についての理解を総合し「もうひとつの世界」を説き明かすことのできる存在を、この不完全な主体を超越して与えられなければ、現にある世界を覆すこと、歴史の創造にはつなげることはできないという前衛主義的なシナリオをもたらす危険性をはらんでいる。前衛党は不完全な諸々の主体に対して、現にある世界の矛盾を指摘し、来るべき世界を指し示す完全な主体の位置を占めようとしてきた。しかしこれは単なる神話でしかないことは改めていうまでもなかろう。
===


==以下、メモ==

 実はこのメモはいま書いているのだけれども、これを読み終わったのは少し前。というわけで、内容を忘れ始めている。ここにクリップしたことだけを頼りに書いているので、ただでさえ多い誤読がもっと多くなっているかもしれないというのをあらかじめ断って、以下。

 小倉さんは(現在の新自由主義的なグローバリゼーションとしての資本主義を転換させる歴史的な)「主体は確実に存在する」と書く。存在してほしいとぼくも思うが、小倉さん自身はその主体の存在をどう名づけ、どう説明するのだろう。現状でそれを定義したり、名前をつけたりすることは可能なのだろうか。
 ひるがえって、主体が存在するというような説明が必要なのはどうしてだろう。確かに世界各地にさまざまな闘争があり、その主体は存在している。それをまとめて説明するような名称や定義が本当に必要なのかどうか、ぼくには確信がもてない。

 先日来日したサティシュ・クマールはこんな風に言っていた。現状のこの流れは、タイタニックが氷河に向かって進んで沈んだように、自ら破滅へ向かうそのコースを変えることはできない。しかし、その破滅を恐れることはない。それが破滅することこそがわたしたちが望んでいたことではないか。その日が訪れたら、ストリートにでて踊ろうと。サティシュが強調していたのはだから、救命ボートを準備しようということだった。
 この発想を借りて考えてみる。小倉さんの言うところの「主体」として、その破滅に向けた準備ができなければ、新自由主義的なグローバリゼーションとしての資本主義が破滅を迎えても、後に来るものがもっと酷いものになる可能性もあるだろう。

 この課題はホロウェイの
CHANGE THE WORLD WITHOUT TAKING POWER
The Meaning of Revolution Today
にもつながりそう。この話も、もっと書こうと思ったのだけど、
これ以上書いてる時間がなくなったので、とりあえず今日はここまで。

 


この下にある「人気blogランキングへ」というのをクリックしてください。
人気blogランキングへ

クリックしてくれた人数のランキングです。クリックするとランキングのサイトに飛び、うんざりするような排外主義ブログのタイトルの山を見ることになります。こんなランキングに登録するバカバカしさを感じないわけでもないんですが、・・・
でも、クリックしてもらえるとうれしかったりもします。

人気blogランキングへ


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文

トップ頁の右上に広告が入るようになっちゃいました。それがいやな人はさらに追加してお金を払いなさいとのこと。というわけで、この広告クリックしないでください(なんて、けなげな抵抗)。==============ブログ内ウェブ検索

ブログ内 を検索
小倉さんの「歴史的主体について?WSFをめぐる争点の整理」について(2) 今日、考えたこと/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる