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zoom RSS 「北朝鮮へのエクソダス」読書メモ

<<   作成日時 : 2007/06/30 04:52   >>

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ここで読み終わる前に少しだけ紹介したこの本。読み終えた。

 反天連のAさんはPP研の集まりで、誉めたつもりだろうが「テッサさんの本にしてはとても読みやすい本」と、本人の前で紹介していた。確かに読みやすい。誰にでも興味が湧くように書かれている。テッサさん自身は「”学術論文”と称される文章を書くことの多い研究者のひとりとして、自著の中でこれほど自らの体験を語ったことはなかった。こんな書き方にひどく居心地の悪い思いもした。」と書いている。
 日本で生活することに、日常的にほとんどなんの違和感も感じていない人間(ぼくを含めて)が読むべき物語がここにある。


先日、引用した紀伊国屋のデータ、
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日本、北朝鮮、韓国、米国、ソ連、中国、そして赤十字―。
冷戦下、それぞれの思惑が絡みあい、「帰国事業」は始まり、歴史は隠蔽された。
東京、ジュネーブ、平壌、済州島、大村、新潟…と世界を旅しながら、息をのむ展開で、帰国の「物語」を読み解いていく。
日本と北朝鮮の関係に今も影を落とし続ける歴史の真相が明らかになる。
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 この文章は本の帯(裏側)にある。
 出版社側の文章だろうが、「息をのむ展開」っていうのは、ちょっと違和感がある。主に最近公開された膨大な新しい資料や関係者へのインタビューに、テッサさんの思いが適切に散りばめられて、「帰国事業」とは何だったのか、そこから何が見えてくるのか、ということが淡々と綴られている。息をのむような展開がないわけではない。しかし、ぼくの印象はそういうセンセーションなものをできるだけ抑えた語り口だ。テッサさんの、ひとりひとりの人が生きることを大切にする暖かい視点が、新たに公開された膨大な資料を読み解くなかで浮かんでくる。

 本の帯(表側)には、すごく大きな文字で斜めに「驚愕の新事実!!」とあり、その横に「そもそも日本政府、官僚、日本赤十字の動きから始まった――。」と書いてある。確かに「その通り」とも言えるかもしれないが、歴史をあまり知らないぼくにはそれが「驚愕の新事実!!」とは思えなかった。
 そう、さっきも書いたように、「驚愕の新事実!!」というようなセンセーションな書き方はされていない。ありそうな話だけれどもやっぱりそうだったのか、というような事実が資料をもとに淡々と綴られているので、そんな風にはなかなか感じないのだが、書かれていることは確かに「驚愕の新事実!!」なのかもしれないが。


以下、抜書き
===
 帰国の悲劇の責めを正確にどう配分すべきかについては、議論は永遠に尽きないだろう。だが、もっとも大切なのは、その遺産としっかり対峙し、二度と同じことをおこさせないことだと思う。多くの力がひとつになって帰国運動が形成された――もっとも顕著なのは、日本と北朝鮮の政府、両国の赤十字、総連、日本の野党とメディア、国際赤十字委員会、そしてソビエト連邦とアメリカ合衆国の政府。このすべてが誤りを正す責任をともに負っている。
 しかし、この本で新たに機密解除になった文書から迫ってきた物語は、そもそも日本の官僚、自民党の政治家、日本赤十字の動きから始まったのだった。
 誤りを正す責任とプロセスを引きうけることも、必ずや同じ場所から始まるべきだろう。329〜330p

====
 帰国物語と帰国者たちの運命について学ぶなかで、対話の必要性をわたしは以前にもまして確信するようになった――北朝鮮と韓国の、北朝鮮とアメリカの、北朝鮮と日本の対話である。
 そうした対話や経済的接触はすでに始まっていて、北朝鮮をとりまくイデオロギーの壁に亀裂を生じさせている。しかし、北朝鮮がふたたび孤立への道に向かうようなことになれば、そして地域的緊張が高まれば、それは帰国者たちの、ひいては北朝鮮に住む人たちすべての、貧困と苦痛をさらに長引かせる結果になる。
 現体制が暴力によって倒されるようなことにでもなれば、その結果は飢餓と死と混沌だけだろう。他国に力ずくでデモクラシーを押しつける試みがいかに危険であるか、イラクの惨状が如実に示している。対話、交流、漸次的な開放のプロセスこそが、それがいかに緩慢でいかに困難であっても、よりよい未来への希望という小さな光を投げかけてくれるのだ。
 (略)

 ここに書かれている物語では、登場するすべての国の政府がそろって面目ない姿をさらしている。自己を正当化して互いに相手を責めてもなんの役にもたたない。しかし、帰国物語の新たな面が明らかになるにつれて、もしかしたら多くの国の人たちがともに努力する機会が生まれ、多くの国がいっしょになってもたらした過ちを正す力となるかもしれない。さらに、総連がメディアに悪鬼のように扱われている昨今の政治状況で、本書がそれに油を注ぐようなことにならないことを、むしろ、帰国事業に関する討論は総連が未来に向かって新たな道を行くためにも、過去と現在の総連関係者が過去を再吟味するきっかけになることを切に願っている。338〜339p
==

 ・・・オーストラリアの友人に・・・「でも、そんな悲しい話のことを書いていて気が滅入らない?」と訊ねられた。この質問についてわたしはじっくり考えた。帰国に関する文書を読んだり、インタビューに応じてくださった人たちの話に耳を傾けたりしていると、確かに深い悲しみにかられることはよくあった。でも、気が滅入る? この研究をしていて気が滅入ったことなど一度もなかった。その友人の問いかけに、それがなぜなのか考えさせられたのだ。
 その答えは――その過程で李洋秀(イヤンス)、<谷口ひろ子>、<山田久美子>、<チョヨンホ>をはじめとする人たちに会えたから、話を聞けたから、となるだろう。じっさいに北朝鮮へ渡った人も、李洋秀のように結局日本にとどまり、そこに生きることのあらゆる苦難に対峙した人も、帰国体験をくぐり抜けた人たちはすべて驚くような、感動的な物語を生きてきた。貧困、差別、心身両面の苦痛に挫けずに生き延びただけでなく、そうしたつらい体験をくぐり抜けてなお尊厳とユーモアと他者への思いやりを失わずにいられる人たちが存在することを身をもって教えてくださった。340p

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ともあれ、もっと注目されるべき本だと思う。




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