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この間、ギャンブル依存症(病的賭博)関係の本をいくつか読んできた。けっこう大きく広がっている問題であるにもかかわらず、あまり知られていなかったり、公的なサポートがほとんどない実体を少しだけ知る。 このギャンブル依存症、多くの場合、お金の問題として発覚する。家族の生活費を使ってしまったり、多重債務だったり、会社のお金を使ったり。 借金を生み出した原因が依存症である場合に、そのことを多くの人が知らないために、傷口を広げていく。 借金をどうしたらいいのか、というところだけに目を向けて返済の手助けをすると依存症は進行する。しかし、依存症のことを知らないほとんどの人は、本人に説教し、反省させたり、念書を書かせたりした上で、借金の肩代わり、あるいは多重債務の救済機関の手助けを求める。それで一時的にギャンブルがおさまっても、ほとんどの場合、本人のギャンブルはよりひどい形で再発する。本人が再び、三度、問題を繰り返し、その後で家族やまわりの人間はこれは変だと初めて気がつく。あるいは最後まで気がつかない場合もあるかもしれない。 ギャンブル依存症という原因がわかってさえいれば、最初に本人が借金の問題を抱えて助けを求めてきたときに、借金返済の手助けではなく、依存症からの回復のプログラムにつなけることができたはずであるのに、その問題があまりにも知られていないために、家族はその問題にひきずり回され、混乱させられ、傷ついていく。 例えば、ギャンブル依存症では借金返済の手助けをする人はイネイブラーと呼ばれる。可能にする人という意味だ。アルコール依存では飲酒が引き起こした問題の処理を手伝う人がイネイブラーになる。そのことがまた本人の飲酒を可能にするというわけだ。 また、依存症が疑われるということが理解できても、それに対処できる機関があまりにも少ないという指摘もできるだろう。 うつと診断され、リタリンが長期間処方されていたという例もある。(それが本当にうつだとしても、その処方は問題あると思われる。これだけリタリンが問題になっても、その問題に無自覚な精神科医が存在しているということだ。)このような処方がギャンブル依存だけでなく、別の依存症も引き起こす。 病的賭博を説明する4つのモデルが先日も読書メモを書いた「『依存症』の理解」に掲載されている論文で紹介されている。 病的賭博とは、なにか (ルーグル、ロリーン著)から 1、悪いこと――道徳的モデル 世の中で一般的な見方(スティグマを反映(汚名)している)で、それは「悪い」とか「罪深い」とみるもの。治療よりも刑事罰などで対応 2、生理化学的に引き起こされる病気――生物医学的モデル この見方からすると、病的賭博は、診断可能な一連の症状からなる病気。したがって、病的賭博は、生理化学によって説明できるし、投薬による治療も可能 3、環境から誤って学習した結果――行動・学習モデル このモデルは、病的賭博を、問題を惹き起こすような環境から誤って学んだ、機能不全的な行動とみる。この環境とは虐待とか、依存症の家族の存在など。誤った学習とはギャンブルで勝って切り抜けられるという理解とか、問題の対処の仕方の不適切な学習。治療は、主に特定の行動の修正と、より効果的な対処法の学習に重点を置く。 4、生物、心理、社会、倫理すべてを念頭に置いて――コンシリエンス(統合的モデル) コンシリエンス(consilience)とは、ウィルソン(Wilson 1998)が用いた言葉。人間性を理解するために生物遺伝的、文化、社会科学、倫理学、宗教学、それに芸術の統合あるいは関連性を強調したモデル。この著者はこのモデルが病的賭博の理解のために有効と書き、詳しく説明している。 生物的要因 遺伝学の研究によると、病的賭博には複数の遺伝子が関係していて、それが感情や衝動、報酬系を制御する脳内の化学物質、すなわち神経伝達物質の機能を制御しているというもの。(否定する報告もある。) PETやMRIの分析から、注意や組織化と関わる脳の機能の問題が認められるという研究も。 心理的要因 この分野での研究は、性格や非合理的な思考に焦点をあわせたもの。病的賭博にはまる二つの類型があり、一つは自己中心的で欲求不満にがまんできなくて、忍耐が苦手で、要求の高い類型。競争的で、カードやスポーツ、競馬といった技が必要な賭博を好み、ギャンブラーのステレオタイプに当てはまるアクション型。もうひとつは、慢性的にうつ状態であり、無力感や希望のなさに苛まれ、賭博を逃避とみなす類型。ビデオ・ポーカーやスロット・マシーンを好む(日本のパチスロは少し違うかも)。非合理的な思考に関しては、つきを呼ぶための呪術(勝ったときのジャケットを着るとか)や、賭博の結末(無作為に生じる出来事)を制御できると信じている。 社会的要因 社会的要因に関しての研究は少ないものの、・・・(この本のこの説明はいまひとつ。説明者本人が医学モデルにとらわれすぎているように思える。) 霊的な要因 「ここで霊性というのは、その人の崇高な信条や価値観のこと。ハイヤー・パワー(自分より偉大な力)や道徳的な行為を信じることは、その人の人生に重要な意味や目的を与えるものであり、その人がどう生きていくかの道標にもなる。12ステップの自助グループでは、霊性を回復の中核と捉えているが、専門的な治療の場で、霊性に注目するようになったのは、ごく最近のことであり、今後の研究が期待される分野」 この本では上記のような説明があるが、もう一つしっくりこない。ここで書かれている「霊的な」いう日本語、ぼくの感覚では「スピリチュアル」と書いたほうがぴったりするが、それがけでなく、スピリチュアリティのようなものをサイエンスの中に無理やり位置づけようとするのはどうなんだろう。 これらの統合というので思い出したのはサティシュ・クマールの土(ソイル)、心(ソウル)、社会(ソサエティ)。社会の構造を問題にする社会運動と、その問題を考えるときに、人はこんなふうに人を抑圧したりしないで心豊かに生きていくことが可能なはずだという思えるその根っこの部分、それをスピリチュアリティと呼んでいいと思う、その両方が必要なんだろう。それと同じように社会の側面からとスピリチュアルな側面の両方から病的賭博にアプローチしていく回復プログラムがありえるのではないかと思う。 生物的要因については、ぼくはよくわからないから、なかなかコメントできない。しかし、この部分がなくても回復のプログラムは作れるのではないかと素人の直感で考えてしまう。 この下にある「人気blogランキングへ」というのをクリックしてください。 人気blogランキングへ クリックしてくれた人数のランキングです。クリックするとランキングのサイトに飛び、うんざりするような排外主義ブログのタイトルの山を見ることになります。こんなランキングに登録するバカバカしさを感じないわけでもないんですが、・・・ でも、クリックしてもらえるとうれしかったりもします。 人気blogランキングへ |
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