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zoom RSS 「農山村再生の課題」(世界2008年8月号)について

<<   作成日時 : 2008/08/14 15:41   >>

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表題は先月号の世界の記事、書いたのは小田切徳美さん(面識はない人)。
雑誌の紹介によると、明治大学農学部教授。サブタイトルは
==
いわゆる「限界集落」問題を超えて
==

とても興味深い記事だった。思わず数時間もかけて、これをまとめてしまった。

以下、ほとんどがこの記事の要約っていうか、ぼくが関心をもった部分に偏った要約。ところどころ感想を散りばめている。


この記事の「はじめに」で小田切さんは「食料・農業」と「地方」という議論はあるが、「農山村」をめぐる議論はそれほど拡がってはいないとし、この論文の目的について以下のように書く、
===
本稿では、…農山村が直面する問題の全体像やそれに対応する各地の取り組みから学んだ再生の方途を明らかにし、その中で、いわゆる「限界集落」問題や対策を論じてみたい。
===

この文章の第2節のタイトルが「地域社会空洞化の諸局面」というもので「人・土地・ムラの空洞化」に関する時系列でのわかりやすい説明があるが、中でも興味深いのが「誇りの空洞化」という指摘。「地域住民がそこに住み続ける意味や誇りを喪失しつつある」という。もしかしたら、これは日本の農村だけでなく第三世界の農村でも進んでいる事態なのではないか。

第3節のタイトルは「空洞化の新たな進展――拡がりと深まり」
この節で興味深いのが「限界集落」という用語をめぐる付記。『限界』という呼び方の絶望的な響き(ここはボクの感想)のためか、さまざまな呼び換えが試みられているという。山口県では「小規模・高齢化集落」下伊那地方では「生涯現役集落」。また「全国水源の里協議会」が用いる「水源の里」という呼称もそれに相当するという。

そして、第4節のタイトルは「農山村再生を考える視点」
ここで大江正章さんの表現が引用されている。
===
「いま、もっとも求められているのは、第一次産業や生業を大切にしながら新たな仕事に結びつけ、いのちと暮らしを守り、柔軟な感覚で魅力を発信している地域に学び、その共通項を見出して、普遍化していくことだろう」と「地域の力」に学ぶ必要性を指摘するが、同感である。
===

ちょっと話が逸れるが、このブログ内の検索で「地域の力」と入れたら、レベッカ・ソルニットの「暗闇の中の希望」の読書メモがでてきたので、驚いた。そこではこんな風に書かれている。
http://tu-ta.at.webry.info/200805/article_21.html
===
 地域の力を大事にすることが、愛郷主義やひきこもり、あるいは狭量さを意味する必要はない。それは広い世界に向かって船出する理にかなった母港になるだけの話だ。・・・。ことによると、違いは弱さではなく、強さであるという感触。地域環境に根ざしたアイデンティティをもちながら、地球環境の対話にも加われるという感覚。そして、この対話は、地域のためにこそおこなわれているという感覚である。  176p
===

で、第4節の話に戻る

「地域の力」から地域再生の方途を学ぶことが要請されていて、その際に以下の2点を意識する必要があると小田切さんは書いている。

第一に地域再生の課題は「所得増大」とか「若者の定住」という個別課題ではなく「安心して、楽しく、豊かに、そして誇りを持って暮らす」というような総合的な課題だということ。それは中央省庁が単年度でやるような施策ではなく、住民の目線による「暮らしの視点」でこそ評価できるもの。

第二に、その課題は「誇りの再建」を含む重い課題なので、本格的なスタンスで必要。コンサルが得意とするキャッチコピーなどではなく、飾らぬ言葉で表現された重心の低い本格的な取り組みに学ぶべき点は多いということ。


第5節 地域再生の取り組み――経済と暮らし
(1)地域産業の構築
ここで小田切さんは、公共事業に依存しない産業の育成が喫緊の課題であるとし、馬路村のゆず加工や上勝町の葉っぱビジネスで有名な「いろどり事業」が具体的イメージの輪郭を示すと書き、それらを含めて、農山村の新しい地域産業は次の「4つの経済」の構築・確立としてまとめることができる、と主張する。

1、「第六次産業経済」の構築。(ここで説明されているが、何が六次なのか、なぜ第六次なのかよくわからない。
(説明はウィキペディアにありました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E5%85%AD%E6%AC%A1%E7%94%A3%E6%A5%AD )

2、交流産業型経済
 (例として、旧安心院町の「農泊」)

3、「地域資源保全型経済」
 それ自体の価値とともに、地域資源保全のプロセスがストーリーになって、商品に埋め込まれたときに、都市の消費者の共感を生み、「共感形成型経済」としての性格を持つという。

4、小さな経済(この指摘がぼくにはとても面白かった)
 あと、月に3万から5万あればなんとかなるので、そのような小さな水準の所得形成機会、つまり「小さな経済」を確実に地域内に作り出していくことが重要。その小さな経済の集積が新たな若者の雇用が可能になる「ある程度の大きさの経済」の基礎になることが期待される。その順序は逆ではない。


(2)地域コミュニティの再建
この5節の(2)で小田切さんは「手づくり自治区」を呼びかける。
農山村で新しいコミュニティの構築が各地で取り組まれており、それは町村合併や地方交付税縮減を住民組織で代替するというような受動的なものではなく、住民が当事者意識をもって、地域の仲間とともに手づくりで自らの未来を切り開くという積極的な対応だという。


第6節「限界集落」対策
(1)「限界集落」化のプロセス
(2)「限界集落」対策のポイント
 ここで小田切さんは「集落機能低下の臨界点」があるといい、その「臨界点」までの対応が勝負どころで、だから、必要なのは「限界集落」対策ではなく、「限界集落」化予防だという。

第7節 農山村再生に向けた国民的課題
 ここまではかなり「ふむふむ」とか肯きながら読んでいたのだが、この節、とりわけ冒頭部分には違和感が残った。この冒頭部分で世界中での「資源争奪」「資源インフレ」の時代に農山村の資源は「国際戦略物資」であり、それを供給する農山村は「国内戦略地域」であると書くのだが、そういう価値観から自由になることが求められているのではないかと、ぼくは思う。農山村の再生が必要だという結論では同じだが、それは国内戦略地域だからではなく、そこにいのちが輝く場所があるからではないだろうか。

その指摘の次にある、「内発的発展力だけでは、現在の格差社会における農山村の再生は困難」であり、地域の自立だけが求められれのではなく、格差是正のための均衡を求める政策が必要だというのは同意できる。
 小田切さんはその大きな転機が2010年に来るという。そこで3つの制度の更新期が重なり、これへの対応をひとつでも適切になされなければ、日本の農山村は再起できないほどの深刻なダメージを受けることになり、その日本の農山村をめぐる「政策から目が離せない」という文章でこの記事は閉じられている。














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