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<<   作成日時 : 2008/08/28 02:14   >>

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ペシャワール会のスタッフが誘拐され殺された。
「どうして?」と思う。

アフガン拉致:「大地に緑を」志半ば 伊藤さん遺体確認
http://mainichi.jp/select/world/news/20080828k0000m040146000c.html
という毎日の配信のなかにある
===
 現地スタッフは、拉致された伊藤さんを捜索するため、1000人もの村人が総出で山を登ったことを伝えてきた。その話を紹介した福元さんは「伊藤君、つらかったなと。でも君はやったなと、そう言ってやりたい」と語り、・・・
===
というような話に声が詰まる。

ぼくはずっと声を大にして、給油ではなく和平プロセスの推進こそが大切なはずだと、ここで書いてきた。

給油ではなく和平プロセスの促進を!
http://tu-ta.at.webry.info/200712/article_9.html

これがいま問われている。


現状では、直接的な原因はどこにあるのか、犯人は誰なのか、目的は何なのか、ぼくにはまだわからないことだらけだ。


サイケイのネットのニュースにはこんなものがある。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080827/plc0808272158021-n2.htm
===
【ジャララバード(アフガニスタン東部)=共同】事件への関与を認めていた反政府武装勢力タリバンのムジャヒド報道官は27日、遺体発見後に共同通信の電話取材に応じ「日本人を殺害した。すべての外国人がアフガンを出るまで殺し続ける」と述べた。

 報道官は「このNGOが住民の役に立っていたことは知っている。だが、住民に西洋文化を植え付けようとするスパイだ」と主張。「日本のように部隊を駐留していない国の援助団体でも、われわれは殺害する」と訴えた。
===

この共同の配信に関して、もう少し時間をおいて見たいと思う。

また中村代表のコメントは以下が詳しい
http://www.asahi.com/national/update/0827/TKY200808270301.html
「治安悪化を見通せず」 ペシャワール会現地代表が会見




その上で、推測と印象評価を元に以下のことを書く。
大きな間違いがあるかもしれないという前提で以下を読んで欲しい。


ぼくが知る中で、ペシャワール会は西洋の文化からはいちばん遠いところにいるNGOのひとつだと思う。他のNGOとは一線を画していたように見える。ペシャワール会はどこのNGOよりも、ローカルな価値を大切にしていた。

中村代表はことあるごとに憲法9条の大切さを説き、日本の加害国化に反対していた。
対テロ戦争の愚かさも明確に批判している。
(ペシャワール会のウェブサイトの報告にもある。)
自立定着村の創設に向けて
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/kaiho/96nakamura.htm
ここで彼はこんな風に書いている。
===
<2007年度の概況>

<無政府状態の拡大>
  07年度は、88年のソ連軍撤退、01年のアフガン空爆に次いで、過去最も変動の激しい時期であった。欧米軍が約7万名に増派されて戦火は泥沼状態となった。アフガニスタンのほぼ全土で政府の威光は地に落ち、無政府状態が急速に広がった(08年初頭に発表された米情報部の報告でさえ「政府支配地区30パーセント」としている)。農村部で外国軍とその協力者が安全でいられる地域は、もはや消滅しつつある。アフガン東部では、米軍の協力者として振舞ってきたパシャイ民族系の軍閥たちも、タリバーン勢と妥協の道を探っているといわれる。多くの地域で、行政の末端にタリバーン勢力の参加なしに秩序が保たれなくなっている。派手なふれこみで行われた「対テロ戦争」は莫大な浪費の挙句、その破綻は誰の目にも明らかになったと言えよう。餓えた膨大な人々の群れは、もはや沈黙しなくなってきている。破局は目前に迫っていると言ってよい。

<パキスタンに波及する混乱>
 混乱はパキスタン政府をも揺るがせた。米国の忠僕として「テロリスト掃討」を進めたムシャラフ政権は、全国民の怨嗟の的となり、ブットー女史の暗殺、各地の暴動と反乱の後、政権から退いた。アフガニスタンと隣接する北西辺境州とペシャワールでは、事態はより深刻であった。07年夏、ワジリスタンに次いで、スワトやコハート地方で大規模な反乱が起きた。08年1月、ペシャワール近郊で、政府も手をつけなかった一大麻薬組織がタリバーン系の組織によって壊滅させられ、多くの人々に歓迎された。無政府状態は政府や米軍ではなく、地域住民の支持を得るイスラム主義勢力の手によって収拾される勢いを見せている。ペシャワール市内は平穏を保っているが、郊外は既にタリバーン勢力とその同調者によって実効支配されていることは知られてよい。

 米軍はアルカイダ勢力によるものと断じ、直接兵力を進めることをほのめかしているが、その信憑性は薄いと思える。アフガニスタン、パキスタン共にアラブ系団体に対する不信感が強く、民衆の間では、「アルカイダと米国の連携プレー」という噂まで横行している。過去、欧米におけるテロ実行犯は、ほとんどが先進国社会で育ったアラブ系のエリート層であり、欧米社会の病理こそがテロの温床だと識者たちは述べ、国際主義のアルカイダと徹底した土着主義のタリバーン勢力とでは、かなり性質が異なることを指摘している。2,000万人のパシュトゥン民族を抹殺せぬ限り、タリバーン運動は消滅しない。いずれにしても、アフガン人やパキスタン人にとっては、迷惑な話だといわざるを得ない。この大混乱が「対テロ戦争」の産物だからだ。
===

こともあろうに、そのペシャワール会のスタッフが殺されたのだ。

中村代表はこんな風にタリバーンを評価していた。だからこそ、タリバーンの報道官の発表にぼくは保留したくなる。

JVCは明確に日本の加害国化に反対し、アフガニスタンにおける対話プロセスの促進を呼びかけている。
http://www.ngo-jvc.net/jp/notice/notice20071016_afghanstatement.html#a6

ぼくの印象ではペシャワール会は会としてはそのような政治的に明確な発言はしていないが、中村代表の上に引用した文章を見れば明らかなように、たぶんそういう考え方を持っていたと思う。

多くの「NGO」が外務省と足並みをそろえ(財布も握られ)て、日本政府のアフガニスタンへの関わり方を批判できない中で、JVCとならんで明確に日本政府のありかたを批判していたのが、中村代表だった。

そのペシャワール会のスタッフがなぜ?という思いはどうしても拭えない。

おそらく、他のNGOはもうフィールドでは外国人は活動していないかもしれない。いるとすれば軍隊を同行しているようなNGOだけだろう。

そういう要因はあったんじゃないかと思う。


そして、ぼくはさらにうがった見方をしたくなる。

タリバーンの中に和平交渉に反対する勢力がいるのではないか?多国籍軍との戦闘を終わらせたくないと思っている勢力がいると考えると、今回の事態は理解しやすくなる。

今回の事態を受けて、だからタリバーンとの戦争を続けなければならないという立場に日本がたつことを歓迎してるとしか思えない。

そうでなければ、偶発的なミスか、ローカルな利権をめぐる怨恨か、あるいはNGOを均一的なものにしか見ることができなかったタリバーンの未熟さか?それもありそうな話かもしれないとも思う。

ともあれ、ここでぼくは再び言いたい。

やはり和平プロセスが必要なのだ。

明らかなのは、今回の事態が戦争状態の混乱が生み出した悲劇だということだ。タリバーンとの和平プロセスを開始し、いまの多国籍軍が秩序をもって撤兵しない限り、この状態は続く。

今回の事件の真相はわからないが、確かにタリバーンはNGOのスタッフを価値感の違いから殺すことを躊躇しないような部分を含む勢力だと思う。ぼく自身、タリバーンは好きじゃないっていうか嫌いだ。RAWAというアフガニスタンの女性団体を弾圧してきたのもタリバーンだ。

でも、戦争を終わらせるために、まずタリバーンとの和平プロセスが必要になっていると思う。まず、戦争を止めるために、タリバーンと話し合わなければどうにもならない事態になっている。

そういう事態を作り出したのも米国を中心とした、日本もそれに加担する多国籍軍だ。

日本政府は総合的に判断し、戦争協力の給油をすぐに中止し、和平プロセスの促進にこそ力をいれる必要がある。そんな外交力・交渉力を発揮できるかどうかが、日本の政府・外務省には問われているはずだと思う。

(もちろん、今の政府に期待なんかしていないが、そんなことを言う外務省官僚や与党議員が一人ぐらいいてもいいんじゃないかと思う)




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