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<<   作成日時 : 2009/01/26 12:37   >>

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新福祉国家構想というのが存在することをつい最近知った。オルタナティブの議論をどう作っていくのかという論議で白川さんが紹介してくれたのだった。

渡辺治さん(一部では最近共産党の主流に食い込んでいるのではないかと噂される)が主導して、この新福祉国家構想が最近の共産党の路線になりつつあるのではないかという声も聞いた。しかし、この構想に関与している木下武男さんはまだまだそうはなっていないというようなことを言っていたように思う。

ともあれ、この新福祉国家構想、調べてみると1997年に発刊された書籍にすでに記載があり、この本の注で後藤道夫さんは二年前(1995年)の本で試論を書いていて、これに近いものは94年にはもう書いているという。

この新福祉国家構想というのがいったい何なのか気になって、大田区の図書館の蔵書を調べて借りた。

4冊の本がでてきて2冊借りた。2006年に出た後藤道夫さんの「戦後思想ヘゲモニーの終焉と新福祉国家構想」がないのは少し残念。


借りた2冊のうち1冊は「憲法25条+9条の新福祉国家」
こっちの本はけっこう新しいのだが、タイトルにうたっているのに新福祉国家とは何かということがほとんど出てこない。

で、もう1冊は
大月書店の講座 現代日本 4 日本社会の対抗と構想

こちらの本が、12年前に出た本なのだが、新福祉国家の説明がかなりでている。
以下、もろもろ抜書き&適当なまとめ&ちょっとだけ感想

この本の「はしがき」に新福祉国家の核心として編者(渡辺、後藤)が提起しているのは以下。
1、アメリカ帝国を盟主とした世界秩序と現代資本主義の生産力増に依存した既存福祉国家が、多国籍企業化とそれを基礎とした現代帝国主義の新段階の政策たる新自由主義的再編によって崩壊・変質を余儀なくされるなかで、多国籍企業による国民経済の破壊と新自由主義的再編に反対し、その犠牲を被る諸階層が連合してめざすべき構想として提示したものであるという点である。

2、日本は第二次世界大戦後のヨーロッパにおいて実現した「第二段階福祉国家」が企業社会的統合のもとで実現しなかったという特殊性をもっており、そのため、われわれは、企業社会的統合で未達成であった「第二段階福祉国家」の諸課題を、その企業社会的統合すらを右から崩そうとしている新自由主義的再編に反対しつつ達成するという、いわば二重の課題を負っているという点も、本巻各論文の確認した点である。
====

1章「帝国主義的改革と対抗の戦略」の結語近くで、渡辺は以下のように書く。

財界と既存政治が再編を強行しようとしている時(97年段階の記述なので、もうかなり行われているだろう)、犠牲を強いられる各層が連合して大国主義、新自由主義反対の広大な戦線が必要であり、それを構築するために新たなオルタナティブな社会構想が運動の中で彫琢されなければならない。

ここで渡辺は4つの柱を「おおざっぱに」提示する。

1、新自由主義の福祉・弱小産業切りすてに正面から反対し、その産業の自立的存続や福祉・公教育の拡充のために、積極的な国家の出動を要請する。そのための新たな水準が設定が必要で、そのためには強力で民主的な国家が必要。また、この課題を達成するために大企業の野放図な蓄積や多国籍企業の進出には国家による厳格な規制が不可欠。(だからオルタナティブな社会を、新「福祉国家」戦略と名付けた)

2、この社会は、日本の多国籍企業の途上国への進出による途上国経済のバランスの破壊や自国産業部門の再編による国民経済の破壊に反対する点で反帝国主義的性格を持ち、その点で帝国主義的支配に根拠を持った既存福祉国家と異なる。

3、この国家は武力によらない平和主義を理念とし、日本の現代帝国主義化を阻止し他国に対する軍事的脅威にならないばかりか、国連内においても、武器輸出禁止、核兵器禁止・破棄をはじめ国際平和のための具体的な政策を推進する。その意味でも既存の福祉国家とは異なる。

4、この構想は、多国籍企業の規制をともなうため、いくつかの先進資本主義諸国運動との連合を追求する点で、国際主義的な性格を持つ。ここも既存福祉国家とは違う。

===


また、政治変革のための戦略として、選挙制度改革の必要性を説くが、これを追求するのが難しいので、そのことを主張しつつも、当面の戦略として三点が提起される。
一つは平和運動で日本の大国主義改革を遅らせること。これを渡辺は「国民の特殊な平和主義意識に依拠して」組織するという。この「特殊な」の意味を聞きたい感じはする。また、国際的な平和運動やODAを批判し、各国の国民経済の自律的発展を志向する運動と連携し、帝国主義化を阻止する可能性を拡大する、としている。

そして、二点目として、地方自治における新たな革新自治体の構築と経験づくりをあげる。地方こそが新自由主義改革による犠牲と困難が目に見えるかたちで現れる場所だとする。12年前のことをあまり覚えていないが、「新自由主義改革の犠牲が地方にでる」という主張が、この段階でなされていることは注目に値するのではないか。

そして、三点目として労働組合運動と階級的政党が運動の中心に座る必要があるとし、政党としては日本共産党の可能性を提起するのだが、運動の中心に政党が座ることの弊害を渡辺はどう考えているのだろう。ここまでの主張はいろいろな違和感がありつつも、理解の範囲に収まるものだったが、ここは大いに異論があるところだ。



終章の「新福祉国家論序説」で後藤は以下のように説明している。
===
「新福祉国家」という場合は、もっとも根本的には、大衆社会の充実に照応するこれまでの福祉国家にたいし、大衆社会の再収縮の時期に、そうした動向に対抗する戦略として、同時に、近い将来の社会変革の目標として構想される福祉国家ということになろう。
===
という。

その要素として、a〜hの8点を提起している。以下、タイトルを列記

a、国民の平等をめざす「改良」を支配層が放棄
b、国民経済擁護をも課題とする新福祉国家
c、国民の分裂と新福祉国家の担い手の全階層的性格
d、世界市場と多国籍企業の規制を担う新福祉国家(連合)
e、現代帝国主義を内部から制約する新福祉国家
f、国内経済の高度な成長率への依存からの脱却
g、構造的平和の追求と軍事主義との闘いの課題
h、地域レベルの運動の比重の高まり。


また、後藤は日本型新福祉国家の独自の課題としてa〜eの5点と担い手の特殊性を提起する。
これもタイトルだけメモ
a、日本の本格的帝国主義化(大国化)の阻止の課題
b、第二段階福祉国家水準の公的社会保障の確立・充実と労働市場の下からの構造転換
c、女性差別撤廃の課題と位置の大きさ
d、公正な労働市場と高度な公的社会保障に照応する、開かれた大きな公教育の構築
e、農業保護の緊急性、それと結合した環境・消費運動

この5点のほかに、日本の担い手の特殊性として、労働者のなかでは女性労働者の大部分をふくむ「年功賃金と企業福祉への依存度が低い」労働者類型をあげる。(これが書かれている段階では製造業の派遣などがまだ認められていない段階だということは留意すべきだろう)。また新福祉国家運動を担う労働運動として、大企業内の少数派労働運動、公共部門労組、<周辺>の労組、女性の労働運動などの連合だという。

雇用されている労働者以外のところでは、中小零細業者と農村部住民、および高齢者の相当部分をあげている。

この論文の最後に後藤が「本稿は、日本における新福祉国家戦略の、初発の水準の荒削りなビジョンについての問題提起を意図した」とある。後藤の「戦後思想ヘゲモニーの終焉と新福祉国家構想」で、どのような変更が加えられているか知らないが、現在の状況を12年前にかなり確実に予見しているこの本の著者たちが、現在をどう語っているかは、ちょっと読んでみたい気もする。



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