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<<   作成日時 : 2009/01/10 00:59   >>

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「議論好きのインド人」(アマルティア・セン)について何回か書いてきた。図書館の返済期限なので、急いで最後に少しだけメモ。

ちゃんとは読んでいないが、時間があったらちゃんと読みたいと思えたのが「第13篇 理性の射程」

センは理性についてこんな風にも書いている。
===
理性の営み(リーズニングのルビ)の可能性は、戦慄的な行為の暗闇に覆われた世界では、希望と確信の強力な源泉なのである。・・・
私たちは、他者、多文化、そして他人の主張を認識し、それに対する適切な対処の仕方を理性によって検討し、敬意と寛容の多様な根拠をさぐりあてることができる。私たちはまた、みずからの過ちについて推論を加え、再び繰り返すことのないよう努力することもできる。たとえば、日本の小説家であり洞察力のある社会理論家でもある大江健三郎は、日本国民がみずからの「領土的侵略の歴史」への理解に支えられることによって、「民主主義理念と二度と戦争を起こさない決意」に関与しつづける十分な理由があると論じている。
===

そして、根拠のない悲観論は現実主義や常識という装いをまといながら、致命的な怠慢や公的責任の放棄を「正当化」することになるとセンはいう。

大江が書いているように、侵略の歴史への理解に支えられて戦争を起こさない決意に関与しつづける、そのリーズンこそを大切にしたいとは思うし、現下のガザを見れば、<<根拠のない悲観論は現実主義や常識という装いをまといながら、致命的な怠慢や公的責任の放棄を「正当化」することになる>>という状況はリアルだ。

そんな風に、理性を信奉するセンを肯定したい気持ちもないわけではないが、何か腑に落ちないものが残る。


こんな風な形で理性を持ち上げるセンはこの文章の最後のほうでアイデンティティの問題にも言及する。
アイデンティティについては、「疑念をいだかぬ忠誠心や信念が、残虐性や恐怖を極限化するうえで果たす役割」というようにも描く。
(彼には「アイデンティティに先行する理性」(Reason before Identity)という本もあるようだ。)

その例として、挙げられているのが1947年のインド亜大陸。1月には寛容であったそれぞれの住民が6月には無慈悲なヒンドゥーと凶暴なムスリムに転じたという。インドの現代を見ていくためには、やはり避けては通れない問題がここにある。

タゴールとガンディーとセン(「タゴールとかれのインド」読書メモ)
http://tu-ta.at.webry.info/200812/article_14.html

で紹介したように、ここで文化的分離主義を論じたときには、明確には語られていなかったこの問題がここには表れる。

また、この本の最初の読書メモとして書いた上記にぼくは「その理性は誰が所有するのか」と書いた。それへの明確な答えもない。そう、そもそも理性とは何か。

そこのところがぼくにはよく見えていない。

とりあえず、リーズニングなものを価値基準にすることを理性とするか。

理性に対応するものとしての「本能的心理」や「共感的反応」の重要性も十分に認めると書くセン。

こんな風にも書いている。
===
核心にある問題は、感情や気分が重要か否かということではない。・・・。問題は、これらの感情や態度が推論(引用者註リーズニング)によって、はたして影響を受け、あるいは養われるものなのか、また、そうであれば、どの程度までかという問題である。
===


そして、理性はかならずしも無謬であるとはかぎらず、本能が理性よりも良い働きをすることもあるものの、理性は多くの場合、十分な働きをするという。

この13篇の結語を最後に引用する。

===
・・・疑われることのない伝統や、考察をともなわない反応をのりこえなければならない。理性はそれ自身の射程を備えており、それは、本能的な心理の重要性や、世界における文化的多様性の存在によって妨げられることはない。とりわけ理性は、道徳的想像力を養ううえで重要な役割を果たす。蝙蝠、梟、そして狂った月を直視するためにこそ、私たちは理性を必要としている。
===



斜めに読んだだけで、ちゃんと読んでいない本の読書メモを書いてしまう自分を褒めてあげよう。




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