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zoom RSS 「差異とアイデンティティのための闘争の先に見えてくるもの」西川長夫 メモ2

<<   作成日時 : 2009/06/25 05:31   >>

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http://tu-ta.at.webry.info/200906/article_13.html

の続き

前回のところで、
「ここまでが、この講演の序論の部分で、ここからタゴールとイリッチの言葉を手がかりに、多文化主義の闘いの先にあるものを考える」というところまで紹介した。そして、以下のように書かれている。
===
・・。タゴールはナショナリズムが全盛であった第一次世界大戦時に、日本や米国をはじめ世界を回ってナショナリズム反対を唱え、植民地支配の元凶としての「ネイション」を批判し続けました。タゴールの発言は帝国主義時代の最大の植民地インドからの応答ですが、そこには厳しい日本批判も含まれています。イリイチはグローバル化が顕著になりはじめた時代に開発主義に反対し、国語や学校や病院といった近代国家の諸制度を根底から批判し続けました。イリイチの発言は西欧文明のただ中からの自己批判的応答ですが、ここでは二人の思想的親近性と、とりわけ二人を結びつけた「ヴァナキュラーな価値」に注目したいと思います。
===

で、タゴールの話。

タゴールの『ナショナリズム』
1916から翌年にかけて日本と米国に滞在中に行われた講演をもとに書かれている(ロシア革命の直前だ)。おそらくインドでも反植民地闘争で自らがNationになることをを求める強い希求があるなかで書かれた「まさに反時代的な書物」。

最大の特色は徹底した「国民」(Nation)批判であり、これを優れた独創性だと言いたいと西川さんは書いている。
続けて、以下のように書く。
===
インドやその他の東方の諸国を、侵略し植民地化しているのは、西欧列強の軍人や官僚や商人である以前に、より本質的には列強の「国民」である、あるいは第一次世界大戦のような悲惨な戦争と殺戮を引き起こしている元凶は「国民」であるというのがタゴールの一貫した主張でした。
===
ここで、ひっかかるのがNationを「国民」としてしまっていいのかどうか?
とりあえず西川さんはそう読んだということなのだろう。

この後、タゴールによる「国民」(Nation)の定義のいくつかが紹介される。

===
 「国民」とは、人民の政治的ならびに経済的な結合であるという意味において、一つの住民が一つの機械的目的のために組織化された場合に現れ姿(ママ)である。
 「こうした非人間化の過程は、商業や政治の分野で進行中である。そして、機械動力が長い陣痛の後、西洋において「国民」という洗礼名をつけられた、素晴らしい能力と驚くべき食欲をもつ、発育し切った装置を生み出したのだった」
 「特定の国民にわたしは反対しているのではない。すべての国民に当てはまる通念に反対しているのである。「国民」とはなにか。一国の全人民が力として組織されるときの様相である。この組織は住民が強力かつ効率的になることを主張してやまないのである。しかし、こうした強さと効率を追い求める不断の努力は、自己犠牲的で創造的な人の高尚な本性からエネルギーを奪ってしまう。なぜならこれによって人の献身の力は道徳的な彼の究極目的から機械的な組織維持のほうに振り向けられるからである。・・・」
===

 ぼくは、ここでもNationを「国民」としてしまっていいのかどうか迷う部分も多い。英語に詳しい人たちにとってNationというのは、より国民を意識させるものなのか?UNというときは、誰が訳しても連合国民とか国民連合じゃなくて連合国とか国家連合だし・・・。
 そして、ここから山之内靖さんの「総力戦」というのも連想させられる。国民国家のくびきからなかなか自由になれないから、こんな風に感じるのかもしれない。

 ともあれ、他にもナショナリズムに関する引用が紹介される。以下はその一部。
===
 「真実は、西洋のナショナリズムの原点、しかもその中心に紛争と征服の精神がひそんでいるということである。」
 「全世界中に、恐怖・強欲・猜疑の種子・恥知らずの外交の嘘、そして平和、善意、全世界的兄弟愛の『人間』宣言のまことしやかな嘘をばらまくナショナリズムの精神に、われわれは屈服すべきであろうか。」
===

 さらに日本に関するタゴールの言及も紹介される。これも長い引用の一部。
===
 「日本にとって危険なことは何か、と言えばそれは西洋の外面的特徴を模倣することではない、西洋のナショナリズムを自己の原動力として受容することである。」
 「・・・。もし西洋のたんなる再生産であるならば、日本にかけられた大きな期待は満たされずに終わることになる。というのは西洋文明が世界の前に提出しながら、いまだにその答えが完全に出されていない、重大な問題が多々あるからである。個人と国家、労働と資本、男性と女性などの間の葛藤、物質的利益を求める強欲と人間の精神的生命、諸国民の組織された利己主義と人類の高尚な理想との葛藤、<商業や国家の巨大組織と切り離し難い、あらゆる醜悪な複雑さと、簡素、美、十分な閑暇を求める人の自然的な本能との葛藤>――これらすべてをいまだに想像もしなかった様式によって、一つの調和にもっていかなくてはならないのである。」
===

 この最後の調和の要求はいくらなんでも、日本に対する期待が高すぎだろう。だって、書いてる本人でさえ、想像できないことなんだから。で、西川さんは、この「困難と課題は、(90年後の)おそらくより大きな危機的状況の中で依然として現在の私たちの前に置かれてい」て、「タゴールが言うようにその解決は『国民』によって為しとげられないとすれば、私たちは一体どうすればいいのでしょうか」と問う。そして、タゴールの No Nation、あるいは no nations という言葉のうちに、「単に無や国民形成前の状態を指すだけでなく、他方で否定あるいは拒否の強い意思を」、「つまり『国民』化されることを拒む国や地域の住民を」表すべきで、「そこにタゴールの未来にかけた希望を読み取りたい」という。
 そして、「No Nation」の理想が「国民」に侵略される前にも、そしてその後にも依然として片隅で生き続けているインドや東アジアの歴史にかんするタゴールの記述が紹介されている。

 そして、タゴールに関する節の最後は以下のように結ばれる。
===
 ・・・、この節の最後に、「国民」は「国民」によって超えられず、ナショナリズムに対して、ナショナリズムで応じてはならないというタゴールのメッセージをもう一度思い起こしたいと思います。日本の現状や戦後に民族独立を果たした新興国家の現在を考えるとき、このメッセージは一層の切実さをもって私たちの胸にせまりはしないでしょうか。
===

 ここで、「民族独立」という言葉が使われているが、この「民族」もネイションだろう。その道はたぶん、その時点では一度は通らざるを得ない道だったのだと思う。

 そして、このメッセージは、「ネイションを超えるローカルを創出せよ」というような話なのかとも思う。例えばそれはメヒコというネイションを前提としながら、それを超えようとするサパティスタのイメージとダブる。とりあえず、国民国家を前提としないシステムが考えにくい現在、そこには最低限の調整機能をもたせながら、その国民国家の限界を超えるようなローカルを作り出すような試みが問われているのだろうか。

 というような煮え切らない思いを持ちつつ、この講演録はイリイチに関する記述へ移っていく。

今日も疲れたからここまで。










====
差異とアイデンティティのための闘争の先に見えてくるもの
――タゴールの反ナショナリズム論とイリイチの「ヴァナキュラーな価値」を手がかりに
===
これが掲載されているのは「生存学研究センター報告4」(2008年10月)
http://www.arsvi.com/b2000/0810av.htm

から


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