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zoom RSS 「怯えの時代」メモ その2

<<   作成日時 : 2009/12/05 04:06   >>

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前回の読書メモの続き
http://tu-ta.at.webry.info/200912/article_1.html


第一章「悪」の時代

 ここで面白かったのは「変化が問題なのではなく、変化を進行させた時間量が問題なのである」(38p)という記述。時間があれば変化に対応できるが、あまりにも急激な変化には対応できないという話だ。その結果として農山村社会は破壊されつつあるという。

 パソコンや携帯電話は時代からの不愉快な贈り物だが、それを使って生きていかざるを得ない、つまりそれがいいものかどうかを問う前にそれを使わざるを得ない、それを使う多数派にならざるを得ない状況があるという。
 また、米国が生みだした金融システムは少し前まで賞賛されていた。そういう経済システムを批判してきた人間もいるのだが、そういう人々が評価されることなく、そのシステムは悪だという多数派が形成される。
 終身雇用や年功序列が「悪」とされた時代が終わり、それが善だとみなされるようになるだろうが(この予測はどうだろう)、そこで労働と雇用、賃金の関係が深く洞察されるわけでもなく、そのような考察をしてきた人が力をつけるわけでもなく、多数派を形成していくと内山さんは主張し、続けて以下のように書く。
===
 まるで共同幻想のように何かが生まれ、また新しい共同幻想が発生してくる。そして私たちは多数派の共同幻想のなかに身を置こうとする。
 とするとすべては失われていることにならないか。そのことによって自由に生きる自己を再確立する。それが私たちの時代に与えられた生き方である。


 ただし今日とは、このような生き方が限界にきた時代なのだと思う。多数派の側にいれば、すなわち主導権を握った者たちがつくりだす「善」に同調していれば、自己を防衛できる時代は終わろうとしている。 49-50p
====

つまり、普通であることでは自分が守れない時代が来ていると内山さんは書く。不安定雇用が三分の一になり、農産物の価格が下落するという変化が短期間に起こり、それに対応する時間がないこのような変動は「悪」であり、こんな時代に生きているというのが、第一章の結語となる。



第二章 経済と諒解

資本主義は常に過剰生産をしてきたのであり、無理やりにでも消費を作り出すことで問題を見えなくし、それができないときに過剰生産が問題になるという。

この第一節では、従来の恐慌の説明は資本・経営の側からのものであり、民衆にとって恐慌とは何か、どうして民衆はこんなに振り回されるのかという考察が決定的に欠けていると書かれている。

それを出発点として、この章では歴史の記述を挟みながら2007年に至る経緯が内山さん流に読み解かれていく。

資本主義が「平時」の経済を持続させるためには、絶えざる拡大・経済成長が必要となるという説明の後に、以下のように書かれている。
====
 私たちの身体感覚からすれば、経済成長率がマイナス1〜2パーセントになったところでどういうことはない。経済のなかにはバブル的な部分がつねに内在しているのだから、むしろそれが削減され、落ち着いた社会が生まれていくことは歓迎してもよいくらいである。GDPが半分くらいになっても、そのことによって自然の豊かさを感じながら、時間的な余裕に満ちた文化的な暮らしができるのなら、現在のような時間に追われながら多消費に巻き込まれていく暮らしよりいい。と考える人もいるだろう。(略)
 だが私たちの身体感覚としてはそれでよくても、資本主義経済としてはそれでは困る。なぜなら経済の拡大が止まるとき、根本にある矛盾が噴き出してしまうからである。しかもそれは多くの人々の労働や生活をおびやかしてしまうことになる。 68p
====

経済の拡大が止まるとき、根本にある矛盾が噴き出してしまう資本主義、他方でこれ以上の拡大は不可能になっている資本主義。この矛盾に内山さんはどう答えるのか。
これに続く文章に直接的な答えはない。

 少し違う話にいく。内山さんは米国の現在の破綻、今日の事態は単に市場の破綻ではなく、政治・経済体制の破綻、軍事・政治・経済が一体化した体制の体制の破綻だという。75p その言葉は使われていないが、それらを維持するためのネオリベ政策であったからだ。

また、戦後世界の軸になっていたものが壊れだしたのだともいう。79p

そして、やはり決定的なのは自然の有限性と拡大しなければならないという資本主義のジレンマだ。99p

===
資本主義の成果が資本主義をこわしはじめたと言ってもよい。とすれば、その根本を解決する能力をもっていない国家が、はたして今日の事態を解消することができるのだろうか。
101p
====
この答えは明らかだ。現在のメインストリームはそれを解決することはできない。
29年に始まった世界恐慌がニューディ−ル政策で持ち直したという言説があるが、それは正確ではない。そう、内山さんが指摘しているように、ここを突破したのは戦争・戦時体制だった。

この章でもまだ、解決策は提示されない。


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内 容 ニックネーム/日時
内山さんのこの本は所詮問題提起だけで終わっていると
思うな、というか内山さんの一連の著作で行っている問
題提起に対する解を求める行為は読者に投げられている
のではないかな。あえて解と言うなら、「その解を求め
る行為の始まり」を引き起こすことではないかと思う。

しかし、内山さんはヒントの様なことをあちこちに書い
ていて、「破産状態になった家が山に入り、それを村が
支える」というような自然と村落共同体の持つ互助機能
の様なことをよく強調している。「群馬県の山村の話を
引っ張り出されてきても、そんなもんがヒントになるも
のか」と突っぱねる前に、そこから都市に住む多数派の
一員であることを強制される人達に何ができるか、私た
ちが山村に置いて行ってしまった物を再構築する手段が
どこかにないのか、そういうことを再検討して試みてみ
ることは無意味ではないだろう。

もう一つ大事なことは、そういう試みが、何も「大きな
物語」を再び描こうというわけではないということであ
り、様々な行為の積み重ねの先に、何か少しずつ見えて
くる程度のものとして「異なる未来」を展望することだ。
私の解釈が間違っているかもしれないけど、そんな様な
ことを内山さんは言っていたと思う。

そういう意味でも、内山さんはヒントを投げてくるだけ
の人だろう。ずるいと言えばずるい気もするが、投げて
もらったヒントをもとに何をすればいいのか自分の頭で
考えるくらいのことは、やっぱり自分たちでやるべきだ
ろう。哲学者としてはここまでやってくれれば十分でしょ
う。

2009/12/06 23:38
読書メモが最後まで終わってからこのコメントへのお返事を書きたいと思います。
tu-ta
2009/12/12 03:21

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