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zoom RSS 「愉しい非電化」 読書メモ(追記有り)

<<   作成日時 : 2010/01/23 12:25   >>

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10人くらいの人に読んでもらったあとで、夜、少し追記。


この本の著者の 藤村靖之さんには去年の「土と平和の祭典」で挨拶させてもらった。丸木美術館を非電化でもう少し冬は温かかったり、夏は涼しかったりできないかとずーっと思っていたので、そのことを少しだけ話したのだった。

そんなきっかけで、この本も読んだ。いろいろなへぇ〜っていう話が詰まっていて、それだけでも愉しい本だ。なんで、こんな風に無駄なエネルギーを使う機械が氾濫していて、そのことが指摘されているのに改まらないのか、と思う。そこに資本主義の問題があるのではないか。まあ、ある部分は日本特有の問題もあるかもしれない。

とにかく、面白くて、目からうろこの話がたくさんあるので、いろんな人に読んでもらいたい本だ。



前書きによると、藤村さんはもともと自然共生型の国の人びと向けにしか、この「非電化製品」を考えていなかったらしい。それに対して、中村隆一さんから「日本やアメリカにこそ非電化製品は必要だ」と説教されたという。藤村さんは「言われてみればそんな気もしますので」と書いている(2p)。藤村さんは、そんな飄々とした感じの素敵な年配の男性だった。

しかし、この問題に関しては終章でそんなに単純な話ではないということも書かれている。例えば「リープ・フロッグ(跳び蛙)理論」というレスター・ブラウンの理論も紹介している。工業国の技術はエネルギー多消費・化学物質依存の悪弊に染まって、それを改善するのが関の山なので、そんな悪弊に染まっていない「途上国」は工業国の「後進技術」に頼らないで、それを飛び越えた技術を使えばいいという話で15年ほど前に提唱されたものだという。(この本が出たのが2006年なので、かれこれ20年前か)

にもかかわらず、そうなってない。藤村さんはその理由を二つ紹介している。
1、途上国は欧米的豊かさのキャッチアップに熱心
2、リープするには発明が必要だが、途上国はそれが苦手
(213p)
確かにそういう面はあるのだが、それだけではちょっとどうかと思う。1はそういう価値観をいわゆる工業国とその教育が無理やりに刷り込んだ結果なのではないか。まず、そこが問題にされるべきだとぼくは思う。

この教育の問題は、この技術が日本や米国でこそ必要なのに、そこで広げるのが困難な理由にもつながっているはずだ。便利なこと早いこと、ものが売れることがいろんなことより重要だという価値観は深く染み付いている。(214p)

藤村さんはこれも終章で「ボタン一つでやってくれる便利さに慣れた日本でちょっとだけ面倒に耐えてくれる人がいるとは思えなかったからです。(私の妻ですら耐えてくれるかどうか疑問です)」とも書いている。

また、こんな風にも書いている。
===
「快適・便利を得ることは何かを失うこと」と認識して、「失うものの大きさを秤にかけながらゆっくり得ていく」という知性は見事に忘れ去られているといえるでしょう(もちろん、私も忘れた一人です)。得るスピードが速すぎたのかもしれません。失ったものの大きさを社会が認識するのは、取り返しがつかないくらい失ったあとです。21p
===
そう、この変化のスピードの問題は内山節さんもどこかで言及していたと思う。


いろんな面白い非電化製品の紹介は
http://www.hidenka.net/jtop.htm
で見てください。面白いが、ここでは紹介しない。

いろいろ興味深い指摘があるのだが、次に興味深かったのが「愉しめる範囲で愉しむ」という指摘。132p

100年前の手動の泡立て機、構造は電動のものと変らないが、週に1回以上使うと嫌になるし、コーヒーの手動のミルも固定式でないものは2杯分が限度で、世界一の手動ミルでも5人分以上挽くと不愉快になるという。ま、このあたりは個人差もあるだろうが、確かにそういうところもある。そのあたりの線の引き方は微妙なんだろうと思う。

さっきも少し紹介したが終章(5章)は「非電化の意味論」というタイトルで、この扉にはこんな風に書いてある。
===
なにかを 得ると なにかを 失う
   だから 得るときは 失うものを 考える
なにかを 失うと なにかを 得る
   だから 失ったときは 得たものを 考える
===
これで、思い出したのだが、非電化のHPにはこんな文章もある

===
ひとが 電気を うみだした
電気が 便利を うみだした
便利が 肥満を うみだした
そうか ‥‥ 電気を へらそう
   
ひとが 電気を ふやした
電気が CO2を ふやした
CO2が 厄介を ふやした
そうか ‥‥ 電気を へらそう
   
でも  ‥‥
    
電気を へらすと 便利が へるぞ
便利を へらすと 時間が へるぞ
時間を へらすと お金が へるぞ
お金を へらすと 幸せが へるぞ
       
‥‥‥ ほんとかな?
===


で、この終章の最初の小見出しは「ホドホド快適・便利」というもの。で、藤村さんの提唱する電化か非電化かの選択基準は「愉しいのはどっちか」だという。(204p)

「ちょっと不便かも知れないけど非電化が愉しい」という価値観への転換はどういうレベルで可能になるのか、なかなか微妙な問題だが、石油がなくなってくれば、貧乏人には「愉しいのはどっち」とか言えなくなりそうだから、愉しいのはどっちといえる今のうちに愉しいほうを選択してしまうのは賢いようにも思う。

そして、藤村さんは、格差や争いを増やすグローバル化と対極をなす「共生原理で動くローカル化」を紹介する。それは生産や経済活動は地域での循環を基本にし、足りない部分を広域で補い、環境と雇用を地域レベルで両立させ、人と人、人と自然が共存し、持続的に平和に生きる社会を目指すという。(205p)

また非電化焙煎機を例に、結果を急ぐのではなく、プロセスを愉しむというのを提起している。このあたりも資本主義とどう折り合いをつけるのか、あるいはつけないのか、という問題でもあるように思う。(210p)

また、非電化のポイントとして、まずは無駄をなくしてからという、日陰の涼しい空気を取り入れるだけで涼しくなるので、その上で非電化の冷房を考えるというわけだ。(212p)

とりあえず冬は外より寒く、夏は外より暑い丸木美術館、少しだけでもなんとかしないなぁ。







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