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zoom RSS 「拉致対論」読書メモ

<<   作成日時 : 2010/01/14 02:55   >>

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太田さんが拉致問題に言及しているものはいくつか読んできたし、拉致以外のものからもぼくは教えられてきた。その太田さんが変わったといわれる蓮池透さんと何をどのように話すのか、どんな対論が行われるのか、そんな思いで借りて読んだ。

太田さんがこの間、拉致問題について言い続けてきたことを以下のように簡潔に整理されている。
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北朝鮮の責任を追及して、そのすべてを明らかに説明するように要求を繰り返すのは当然のことですが、それが正当性を持つためには、同時に日本国が1910年以降の過程でやったことについてどうするのかということを具体的な数値をもって明らかにするべきです。それをするのが外交というものであって、それなしで交渉に臨むというのは世界的な水準からいっても信じがたい話です。
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また、気をつけなければならないのは太田さんは「相殺」は否定しているということだ。この本ではこんな風に書いている。
2003年の「拉致異論」でいきついた地点として
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「歴史的な関係が深かった他国に突きつけることは、自らにも突きつける。このことによってしか問題は解決しない」ということです。拉致問題は確かに重要な問題で、責任を追及した上で解決しなければならないけれども、未完の植民地問題というのが北朝鮮との関係においてははっきりあります。同時にその二つを相殺しない形で解決することによってしか、この問題は解決できないだろうと書きました。その時は違う立場におられたように見えた蓮池さん自身が、今そのことを言われています。
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ここに書かれているように蓮池透さんの見解が、ほぼこの太田さんの見解に重なりつつあるのが、この本でわかる。そういう意味では、冒頭にもあるように、ケンケンガクガクの議論を期待して読むと、あてがはずれる。素直に読むと、基本的なラインはほぼ共通しているように読める。(深読みは可能かもしれないが)


また、太田さんは上記の発言に続く形で、第三章の結語として、こんな風に言います。

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数世紀前の出来事であっても現在まで大きな傷跡が残っている。それを今、いったいどのように精算できるのか。日本と朝鮮の関係もそういう問題意識の中で考え続けていきたいと思っています。
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日本と朝鮮の間の話は数世紀前ではなく、ほぼこの100年の話だろう。太田さんが人類はまだその課題を解決できていないというその課題の解決にいたる道のりはまだ厳しいだろう。本当にそこにたどりつけるかどうか。しかし、試行錯誤を始めるきっかけはここにあるはずだと思う。


第四章は昨年5月の核実験の話から始まるのだが、その中で太田さんは「1940年代に日米開戦を強行した旧日本帝国のありようと似ていないこともない。支配システムがそっくりだし、置かれている状況も近いものがある。・・・。国際社会がよほど賢明なかたちで対処しないと、危険だと思う」という。また制裁を強化することで北への帰国者への援助が制限されることも危惧する。昨年までのようにナショナリズムを基軸に外交方針が立てられる危険を指摘する。蓮池さんはそれらのことにもほぼ同意しているようだ。状況を動かすために何が必要なのかと考えたときに、そのように考えざるをえないのではないか。

さらに、太田さんはこの第四章(終章)の終わり近くでこんな風に書いている。
===
今この社会は、きわめて感情的・情緒的な心情によって突き動かされているという状況になっていますね。外部に、絶対的に非難できる対象を見つけると、社会全体がそこを安全地帯として棲みついてしまうのです。
===
おそらくこれは核実験直後という時期に規定された話ではあるのかも知れない。一方で、9・11以降のゼロ年代のブッシュの米国が闊歩していた世界も、こんな風だと言えるかも知れない。また、身近なところにはよくある話でもある。あいつが悪いということにしておけば、解決のための方策に話がいかなくても、なんとなくそれで話が終わってしまうというのは日常的な光景だ。





太田さんはぼくにとって同じ運動圏内の人で、そういう文脈で話を聞いたりすることの多かった人間として、彼が少し違う運動圏の人と対話するというのが、「蓮池透」というある意味、象徴のような人と話すということを越えて興味深いところもある。

そういえば、政治的な立場が違う人と面と向かって時間をかけて、政治的課題に関して話すというのは、ぼくはあまりしていない経験だ。まあ、今回の対論は蓮池さんの変化がそれを可能としたものだし、対論というには立場が近寄りすぎているのではないかと思わないでもないが。

そして、この本、蓮池薫さんという人への関心を持たせる本でもある。彼が自由に思いの丈を話せる日がいつかきて欲しいと思う。そんなことを表明することはないだろうけど、蓮池薫さんのこの本の感想が聞いてみたいな。

太田さんはエピローグの中でこんな風に書いている。
蓮池透さんの変化について
===
・・・帰ってきた五人の帰国者の発言、とりわけ弟の薫さんとの交流の中で多くの問題を感じ取られてきたことは確実だと思います。一つの問題をいくつもの場所から見るという複眼的、多角的な視点によって人間は豊かになれるし、一つではない多様な道ができるということを、あらためて確かめることができて、私としては非常に得るところが多かったです。
===


この拉致をめぐる交渉とともに、59年に始まった「帰還」で行ったきりの人が交通できるようになるための交渉も必要だと思う。

普天間をめぐる米国との交渉とか、この北朝鮮とのやりとりとか、追従するだけだったり、強行なだけで中身がなかったりしたつい最近の自民党政権時代の外務省がどれだけ変れるか、それぞれに困難な話ではあるが、その困難なプロセスをできる範囲で公開して(外交交渉特有の困難はあるのだろうが)、市井の人びとと共有するというようなことが必要なのではないかとも思う。


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