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zoom RSS 福祉工場とソーシャルファーム (2011年2月10日追記)

<<   作成日時 : 2010/07/31 09:33   >>

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今年(2010年)2月に書き始めたものだが、書き終える事ができなかったもの。
本当はドイツのソーシャルファームに関する講演の報告が書きたかったのだが、そこまで行きつかなかった。

そして、ぼくが働いている福祉工場も、これを書いた頃から、話がどんどん進んでA型への道を歩み始めている。


以下、書き終えることができなかったもの
======

かなり前の話だが、1月31日に国際セミナー「障害者の新しい雇用 −インクルーシブな雇用の実現−」(主催 リハ協他)
http://www.normanet.ne.jp/info/seminar100131.html
に参加した。

このセミナーの趣旨は以下(HPから引用)
===
趣旨:
近年、社会的企業に対する関心の高まりのなか、障害者分野においては、ソーシャル・ファームなど、障害者福祉の領域を超えた新しい雇用形態が世界各国で生まれてきている。

わが国においても、ソーシャル・ファーム・ジャパンが設立されるなど、障害者の新しい雇用に対する取り組みがはじまっている。本セミナーでは、これまでの実績を踏まえ、先進国の専門家を招聘し、わが国の障害者の雇用を促進するためのインクルーシブな雇用の取り組みを発展させるための具体的な方策について、事例にもとづく検討を行う。
===
とのこと。

残念ながらぼくは午前中しか参加できなかったので、午後、どのような議論があったのかは不明。以下は午前中の2つの講演を聞いて感じたこと。


と、その感想を書き始める前に、前提として書いておきたいこと


ずっと書き続けていることだが、自立支援法によって福祉工場は現状の同様の法内施設としてはA型継続就労施設となるしかないと、ほとんどに人に考えられている。ここに大きな問題がある。従来「障害者・非障害者がともに働く」という理念で運営されてきたのが福祉工場だった。A型継続就労施設ではサービス提供⇔サービス利用という関係になり、それは理念的にも実態的にも後退となる。現にすでにA型に移行した福祉工場では、その処遇が不満で退職を選ぶ人も出たという噂を聞いた。

他方で多くの福祉工場の経営者や経営をまかされている法人はこのことにかなり無頓着であるように感じている。同時にそこで働いている人の抵抗の話も聞かない。もちろん積極的に受け入れているわけではない場合が多いのだろうが、経営体や労働者がこのことに抵抗したという話は聞いたことがない。

以前も別のところで書いたが、確かに福祉工場の側の(とりわけ経営の)問題はある。そのことの後ろめたさが経営に大きな声を出させない圧力として働いているのかもしれないと邪推したくなる。福祉工場の側の問題だとぼくが考えるのは、第一に障害者雇用の進展に主体的に対応しようとしてこなかったことだ。福祉工場の設置は70年代の初頭に遡る。当時、通過施設であるはずの授産施設で働く労働者(ぼくはあえて労働者と書く)の働く場がなく、その雇用の場が必要だという運動(主に施設側の)が設置につながったといわれている。「身体障害者雇用促進法」は1960年には制定されていたが、障害者雇用はまだ「雇用努力義務」であり「義務雇用制度」にはなっておらず、障害者雇用(それも身体障害者に限定されていたのだが)は遅々として進まない状況にあった。

そんな時代の産物である福祉工場は、その後、障害者運動や法の改定に伴って、障害者の雇用が進んできたにもかかわらず、その状況を主体的に捉え返し、自らが障害者雇用全体のシーンのなかで、どのような役割を果たすことが社会から要請されているのかということを真剣に問わずにきてしまったのではないかと思える。ぼくは小さな声は出してきたつもりはあるが、大き文脈で考えると状況に流されてきたその一人であることを認めないわけにはいかない。

福祉工場の側に同情的な見方を加えると、現状のままでもそれなりの役割があると思えるような状況も存在しているという面はある。確かに障害者の職場はそんなに多いわけではない。そして、仮に職場があって、その職場が雇用率をフルマークで達成しても1.8%。55人に一人の職場で障害者従業員が障害に応じた配慮を主張するのはそんなにたやすいことではない。そんな中で、福祉工場には民間の職場から福祉工場に移ってくるという例も少なくない。共に働く雇用の場所として、それが存在しているから、そういうことも可能になる。これがサービス提供される施設であり、個別支援計画を作成しなければならない施設という風になった場合に、そのような機能を持ち続けることも難しくなるかもしれない。

福祉工場はそのような状況に立たされている。


この問題意識からこの講演会を聞き、感じたのは、このような状況で福祉工場は何をめざすべきなのか、というときのヒントがここにあるのではないかということだ。

このセミナーで午前中、焦点があたっていたのは「ソーシャル・ファーム」。


ところで、その「ソーシャル・ファーム」とは何か
DINFサイトによる説明は
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/glossary/Social_Firm.html
====
日本では、障害者の働く場として、福祉制度に基づく「通所・入所授産施設、小規模作業所」と「企業」の2種類があるが、ヨーロッパでは第3の分野として、ソーシャル・エンタープライズ(社会企業)がある。ソーシャル・エンタープライズは、社会的な目的をビジネス手法で行うものである。通常の賃金、労働条件で生産活動を行い、製品・サービスを市場で販売し、利益を事業に再投資する形で、社会的目的を実現させる。

ソーシャル・ファームは、ソーシャル・エンタープライズの一種であり、障害者あるいは労働市場で不利な立場にある人々のために、仕事を生み出し、また支援付き雇用の機会を提供することに焦点をおいたビジネスである。

ソーシャル・ファーム(イタリアでは「ソーシャル・コーポラティブ(社会的協同組合)」は1970年頃に北イタリアの精神病院で始まった。入院治療が必要でなくなった者が地域に住み仕事に就こうとしたが、偏見差別意識から雇用する企業が現れなかったため、病院職員と患者が一緒になって仕事をする企業を自ら作っていったのが、はじまりである。この手法は、1980年代に、ドイツ、オランダ、フィンランド、イギリスなど、ヨーロッパ各地に広がった。
====
とある。

また、共同連はイタリアにおける「ソーシャル・コーポラティブ(社会的協同組合)」をモデルにし、自立支援法の施行前に「社会的事業所」という提起を行っている。
「就労継続支援事業への提言について」
http://www.gambatta.net/kyoudou/image/teigen0502.pdf

この提言の以下に引用する文章には、社会的事業所についての明確な定義はないが、示唆に富んでいるように思う。
====
 一般就労と並ぶ就労形態として雇用型が位置づけられるならば、雇用型と非雇用型は明確に別事業としての名称を有するべきである。これから多いに発展させるべき新事業として就労継続支援事業雇用型を位置づけるならば、それに相応しい新名称を付すべきである。
 既に滋賀県でも使用されている社会的事業所は、営利を目的とする一般企業に対し、同じ事業所ではあっても障害者参加という社会的目的を有するものとして命名されている。これからの障害者就労の新時代を形成していくためにも「社会的事業所」という名称はぴったりである。
====

さらに滋賀県における定義は以下の講演録で読むことができる。
http://www.gambatta.net/kyoudou/image/symp0606s.pdf
ここから少し引用
===
…一般企業と同じ労働条件で働ける就労の場『社会的事業所』を整備します」。そして「社会的事業所とは? 障害のある方全員と雇用契約を結び、これまでの『利用者と指導者』の関係ではなく、健常者も障害者も『労働者』として共に働く新しい就労の場です」
===


この定義によれば、多くの福祉工場はすでに「ソーシャル・エンタープライズ」であり、「ソーシャル・ファーム」であるともいえるし、社会的事業所でもある。



以下、講演を聞いて感じたこと。(テープをとっているわけではないので、聴き間違いなどはあるかもしれません)


最初の炭谷茂氏の講演。彼の肩書きはHPでは社会福祉法人恩賜財団済生会理事長、前環境事務次官、日英障害者・ケア開発機構副委員長となっており、当日の資料ではこれに「ソーシャルファームジャパン理事長」が加わっている。

ソーシャルファームジャパン、HPはある( http://www.socialfirms.jp/ 7月29日にはこのサイトにアクセスできなかった。)のだが、こここには、組織の趣旨・主な活動内容、来歴、現在のメンバー、メンバー資格など基本データの記載がないだけでなく、ソーシャルファームとは何かというようなことも記載されていない((2011年2月10日追記、今日、アクセスしたら役員と会則が読めるようになっている。ソーシャルファームとは何かというそのものの記述はいまだない。講演録からうかがい知ることは出来る)。2010年2月4日に問い合わせのメールを出して、返信が来たのが3月1日。専従がいないなかで運営に苦労しているとのことだった。
ここにある炭谷氏のソーシャルファームジャパン設立総会の講演記録から
===
社会的企業の一つの形態として「ソーシャルファーム」があるのではないかと考えています。このような形態はイギリスでは「グランドトラスト形式」「コーポラティブ形式」などがあり「ソーシャルファーム」が一番優れているというわけではありません。ただ、うまくいっている代表例としてソーシャルファームがあると考えています。
===

そんなソーシャルファームジャパンだが、この炭谷という人の講演も「なんだかなぁ」という感じだった。タイトルは「インクルーシブな雇用の実現」というものだが、基本的には彼がイメージするソーシャルファームの話だった。

気になった部分を以下にまとめる。
===
レジュメによると職場を3つに分類し、彼はソーシャルファームを第三の職場という風に規定する。彼の定義によれば、
1、公的な職場 … 社会的な目的のため、税金が投入されて作られる職場
2、一般企業  … (略)
この二つではない第3の職場という定義だ。
==
3、社会的企業 … 社会的な目的
   ビジネス的な手法
   利益を外部に出さない
   就労者の状態に合った生きがいなどを感じる仕事
   住民参加も

社会的な目的のために税金が投入されている職場とそうでない職場を区別するこの定義だと、ソーシャルファームには税金は投入しない場所であるかのように読めるし、実際に炭谷氏のソーシャルファームの概念を整理を述べる際に「税金をあてにしない」というのが2つ目にきていた。あるいはWeb上で読むことができる彼の講演録「環境福祉国家の柱となるソーシャルファームジャパンの設立」http://eco.goo.ne.jp/business/csr/global/clm67.html でも「1円の税金もあてにしない」と断言している。

しかし、上で引用したDINFの定義を読んだり、午前中の次の講演でのドイツの例を見ると、「税金を投入しなければ維持できない」ということは否定できないと思われる。どうして、このように炭谷氏が税金を投入しないことを強調するのか、と思う。いろいろ詮索できる話ではあるが、とりあえず、ここでぼくは「一定の税金の投入は必要だということは明確にすべきだ」という意見を強調したい。

そして、この講演で彼は今後の環境などの成長分野への進出を提起し、発展するポイントとして、商品開発とか、販売力の強化をなどをあげる。確かにダメダメな継続就労施設などが多い中で、言いたいことはわからないでもない。ぼくみたいな人間でさえ、もう少しビジネスセンスを身に付けろよといいたくなるような継続就労施設の経営は多いのが現実がある。

しかし、現状の日本で利益の上がるニッチを探すというのは資本主義社会の中で多くの企業が必死になってやっている話だ。そこに対抗して素人のソーシャルファームをめざす人に何かできることがそんなにあるとは思えない。また、障害者特有のマンパワーを発揮できる職場もそんなに多くあるとは思えない。いちばんの強みはその職場の意義を認め、応援してくれる人を捜し、そこでの関係だろう。しかし、その関係も一定のレベルの製品やサービスを提供できない限り持続しない。どこまでのレベルが問われるのかは、その関係が規定する。あるいは障害者雇用で引き起こされるマイナス分を公的に保障してもらうことで成立させる必要があるのだと思う。

このあたりは非常に微妙なバランス感覚が求められると思えるのだが、マーケットに耐える品質や価格の実現をめざしながら、ぎりぎりのところでその企業性と福祉性のバランスをとっていくしかない。そして、この均衡点は時代と状況の変化によって常に変化している。しかし、そんなことは福祉工場に関わったことがある人は誰だって体験的に気がついている話ではある。



===



未完






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