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zoom RSS 「不自由の沼のこと」(こうの史代)について (かなり改変)

<<   作成日時 : 2010/10/27 03:44   >>

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「不自由の沼のこと」というコラムが入っているという、それだけの理由で『憲法が変わっても戦争にならないと思っている人のための本』を図書館でリクエストし借りた。

何が書かれているか知っていたわけではない。でも、読みたくなったのだった。

で、「当り」だたったと思う。

このコラム、子ども時代のクラスでのいじめの話から始まって、結語部分には、以下のように書かれている。
===
 戦争を描いた作品や体験談に、じつは私はときどき違和感を覚えてきました。最近ようやくそのわけがつかめてきました。戦争をした人はみんな、とても口にできないような加害と被害の「不自由」な記憶を抱えているのです。それでも、空襲で奪われた日常を「何の罪もなかった人たちの日常」としか説明できない時代を生きた人たちなのです。私たちは彼らの言葉の裏を察し、これからの世代に伝わりやすいように補い、それを正しいかどうか本人たちに確認をとれる、ほぼ最後の世代です。戦争のすべてなど、私たちだけでなく彼らだって永遠に知りえません。だから超えられない壁を勝手に設定して目をそらすのはやめようと思います。(最後、少し略)
===

(以下の結語部分のコメント、読み返したらすごく変だったので、書き直した。80人程度の人に読んでもらったあとだったんだけど)


最初これを書いた時は、《戦争をした人はとても口にできないような加害と被害の「不自由」な記憶を抱えている》という表現から《加害と被害の「不自由」な記憶を抱えている》という部分だけを切り取って「当たり前といえば当たり前の話」と書いてしまった。そんなことが書きたかったわけじゃないのにタイプがすべっている。やはち、ここは当たり前と書けるような部分じゃない。

空襲が例に出されているが、とりわけ一般家屋に向けた空襲という戦争行為には一方的な加害・被害の関係が成立する。こうのさんはそこでの被害者もまた、「口にできないような加害の記憶も抱えている」と書いていると思う。
そんなことは誰も言ってこなかったことだ。こうのさんの「この世界の片隅に」はそれが主題とはいえないと思うが、そんなことを考えさせるシーンはいくつかあったように思う。

こんな風に「戦争を描いた作品や体験談」は数少ない。

単に加害と被害の重層性を描いた作品を探すことはそんなに難しい話ではないだろうが。

このコラムの冒頭に第二次大戦中のことを描くための勉強を始めたと書かれている。その成果が「この世界の片隅に」なのだろう。

このコラムでの視点から『この世界の片隅に』を鑑賞すると、より作品が見えやすくなるかもしれないが、ここにとらわれすぎると作品の広がりを見逃してしまうかもしれない、とも思う。

「あの作品や彼女の語りから、この問題意識は垣間見えていたのだけれども、こんなに明確にテーマが設定されているということに、ぼくは気づいていなかった(もしくは忘れてた)」と先日は書いていた。しかし、これだけがテーマだと思うと、それもまた読み間違いだろう。


こうのさんは、『この世界の片隅に』で、このテーマを描ききったと考えているのだろうか、と想像してみる。戦争体験をめぐる被害と加害の重層性の話は、もっとさまざまな角度で描かれるべきだと思う。でも、それは、こうのさんだけが続けなければいけないという話でもないだろう、とは思うのだけど。



追記
こうのさんは、このコラムのいちばん最後の部分で以下のように書く。
===
私たちにも、いじめなど、知っている不幸の延長上に戦争が存在することなら想像できます。そして、私の心の沼に語りかけ続ければ、20年前のこともこれからのことも、いつかいい解決方法も浮かぶだろうと思ったりするのです。
===
これからのために『いい解決方法』が、探されなければならない。それは机上ではできないはず。また、こうあって欲しいと思えるそれを実現するためには大規模なパラダイムの転換と、それを可能にする社会運動が必要なのだと思う。(読み返してみて、この部分も愚直な繰り返しだなぁと思うが、ここは繰り返そう)


《いじめなど、知っている不幸の延長上に戦争が存在することなら想像できます》 とこうのさんは書く。
確かにそれで想像できる部分はあるだろうし、そのリアリティはとても大切なことのように思える。しかし、それだけでは足りないのもまた、事実だと思う。


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