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zoom RSS 『発達障害チェックシートできました』メモ その4

<<   作成日時 : 2011/07/14 07:02   >>

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5.「制度づらし」と診断名
(だれかに「病気です」と きめられる ことの 意味)

という部分から。

まずここのLLページから

 ほんとうは お医者さんが だれかを「しょうがいがある」とか「ない」とか きめることと、学校で「とくべつあつかい」が 必要か どうかを かんがえることは、 つながっていなくてもいいと おもいます。
 学校での勉強や、ともだちとの かんけいづくりで、こまっている子がいる。それだけで、「てだすけが必要だ」と かんがえる じゅうぶんな理由になるとおもうのです。



C(環境依存文字「まる4」)実は「アナーキー」な特別支援教育

 こうした生徒たちの一部を「障害のある生徒」と認知転換し、なんらかの配慮をして学習する権利を保障せよというのが、文科省の特別支援教育の通達であった。そもそも、こうした「ふつう」ではないこどもの学習権を真に保障しようとするならば、文科省が本来的にとりくむべき問題は、現行のカリキュラムや成績の評価というシステム(制度)である。


そのようなことを書いた上で、著者は「拡大コピー」「ルビふり」などの特別扱い=配慮?をした学生に5点減点というようなペナルティを課すことを提案し、次の項目で以下のように書く。


D(環境依存文字「まる5」)正統ではないけれど

こうしたこころには、おそらく「障害学」を提唱している当事者、研究者などはもちろん、医学サイドからも非難をあびるだろう。ただでさえ、社会によって障害をもたらされている生徒が、なぜ再び「評価を下げられる」というペナルティをかされる必要があるのか。また、「健常者」と同様にできない場合、減点が当然であるというイデオロギーの創出は、差別の肯定、能力主義の肯定ではないのか。日常的に困難にさらされている患者をさらにむちうつ行為ではないのか、など。

しかし、現在なんらかの「ハンディ」のある生徒たちが放置されている現状をかんがえれば、たとえ減点されようとも、配慮されて教育に参加できるほうが、当事者としての実利はあるのではないだろうか。




このようにこの著者は書く。「ハンディ」のある生徒たちが放置されている現状をほうっておくわけにはいかない。これがそれを緩和する可能性があるなら、検討に値するかもしれないと思うのだが、果たして、本当にこのような策が導入される可能性があるのだろうか、と思う。

著者はこのあとで、この方法は差別意識を補強すると批判されても当然であるが、実践上の知が必要だと書く。そのこと自体には同意するのだが、これは本当に実践上の知になりえるのだろうかという疑念はぬぐえない。

そのような手間隙をかけてくれる教師と5点減点という考え方が結びつかないような気がする。というのは、そういう特別な配慮と減点を結びつける発想を持つ教師が、特別な配慮に手間をかけるとは思えないし、逆に、その手間をかけてもいいと考える教師は5点減点という風には考えないのではないだろうか?


そして、興味深かったのが《E(まる6)の「あぶりだし」か「誠実さ」か》に書かれている、診断名は教員にとって自他へのエクスキューズ、「保険」「紋所」だという指摘。

「控えい、控えい、頭が高い、この手帳が目に入らぬか」てなわけだ。で、この人は障害なんだから、授業についていけないのはしょうがないとか、特別な対応が必要だけど、人の手当がないから・・・、いう話になりがちなわけだ。逆に言えば、手帳がなければ、問題があっても配慮されないという話になる。

しかし、この問題は他人事で笑い事ではない。例えば、ほとんどの障害者施設はどんな障害者で、どんなに困っていても、手帳(あるいはそれにかわるものとして認められた診断書)がなければ受け入れない。また、より日常的な部分では、福祉工場でともに働く障害者と非障害者(ここでの区別は手帳の有無)なのだが、非障害者のメンタルヘルスの不調による欠勤には厳しい。ま、その当事者の性格にもよるのだが。

また、似たような言動でも手帳を持っていないものが言えば、許されないが、手帳を持っているものが言えば許されることもある。その非障害者に発達障害が疑われても、手帳を持っていない限り、それが考慮されることはまずない、ということを自省的に言わなければならないだろう。(自立支援法体系に入れば、その傾向はさらに強まる)


《F(まる7)「診断名」とは》に以下のように書かれている。

発達障害とは「これが発達障害だ」といえる本質的ななにかが個人に内在しているわけではなく、学校に不適応なこどもたち、つまり外在する要因に対して示すある種の言動を分類した分類区分上の名称が発達障害なのである。・・・つまり「診断名」とは、社会の制度や、大多数の行動規範/身体規範からはずれると医師が判断し、なんらかの特徴で区分したときの「レッテル」「分類名」にすぎない。・・・



ここから、G(まる8)の流れが、また、興味深い。著者は、

(発達障害というのはこんな風な症状に名前を与えたものにすぎないのだから)「学校生活に困難を持つ生徒をその理由にかかわらず発達障害とみなす教師の論理は、医学的には正しくないのかもしれないが、実践上は正しいのではないだろうか」


と書く。大胆だ。

そして、さらに大胆に
《教員や保護者は「診断名」を都合のいいように利用すればいい》と主張する。

そして、「発達障害ではない」と診断された後で、発達障害的傾向を指摘した教師に。発達障害を理解していないと非難し、「それでも、特別支援が必要」とする教師とトラブっている母親に著者は以下のようなメールを送ることを提案する。
(そんな風に)・・・診断されても、エイジくんはいまも困っていることがあるんだよね。大事なのは、誰かが彼に診断名をつけたり、『ふつうです』って保証したりすることじゃなくて、彼が必要な配慮のなかで、のびのびと活動できることなんじゃないかなー。だったら、担任が発達障害っていうなら、そうしておいたらどう? それで『発達障害の子に必要な「特別な配慮」をしっかりしてください』って監督していければいいんじゃない。そのほうが先生もエイジくんのことをしっかりみてくれるようになるし、エイジくんも配慮がうけられて得だと思うけど。カシマ先生の診断は、『・・・こころのなかで、「医学的には、発達障害じゃないもんねー」って舌だしとけばいいんじゃないかな』


これは発達障害という診断名の対応として、すごく示唆に富んでいると思う。

しかし、就職するときに、診断名がまた必要になったりする制度があるんだなぁ、これが。診断名なしで就職できたらいいけど。でも、それはそのときに考えればいいのだろう。


先日、3日間にわたる発達障害就労支援セミナーというのに参加してきたのだが、ずっとひっかかっていたのが、結局、発達障害っていったい何なのだろう、ということだった。この本をもう少しちゃんと読んでいれば、このあたりの整理で見えてくるものがもっとあっただろうにと思ったりする。




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