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zoom RSS 『脱成長の地域再生』メモ その1

<<   作成日時 : 2012/01/22 05:48   >>

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ちょっと前から読もうと思っていた本。図書館で借りて、いろいろ考えさせられて、いっぱいメモを書いた。
全体を通して、「改良主義」だと思う。でも、こういう改良主義は悪くないんじゃないかという気がしてきた。


紹介HP
http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002093
から引用

この本の内容
地域は疲弊し、コミュニティはばらばらになっていく。地方間の格差が広まったのは、地方に関する戦後日本の基本的な政策に根本的な誤りがあった! 各分野の専門家が現状の問題について独自の分析と将来への提言をおこなう。

目次
序 章 なぜ、いま地域再生なのか(神野直彦)
第1章 大都市集中を招く日本の税構造:スウェーデン、イギリスとの比較から(星野泉)
第2章 地域再生を阻む貧困要因:国保・国年制度の危機の視点から(下平好博)
第3章 自治体行政の課題と役割:自治体になにができるか(辻山幸宣)
第4章 コミュニティと地域再生:都市政策と福祉政策の統合に向けて(広井良典)
第5章 「生活公共」の創造:家族生活から出発する(住沢博紀)
第6章 参加ガバナンスの視点から:市民社会・NPOの多様な事例を通して(坪郷實)
終 章 成長の先に豊かさはない:福祉の危機を超えて(高橋伸彰)

著者紹介
◆神野直彦(じんの・なおひこ)
1946年生まれ。東京大学名誉教授。専門は地方財政論。
著書に『システム改革の経済学』(岩波書店)、『地域再生の経済学』(中公新書)などがある。
◆高橋伸彰(たかはし・のぶあき)
1953年生まれ。立命館大学国際関係学部教授。専門は、日本経済論、経済政策。
著書に『優しい経済学』(ちくま新書)、『グローバル化と日本の課題』(岩波書店)がある。


○著者
星野泉(ほしの・いずみ):明治大学政治経済学部教授
下平好博(しもだいら・よしひろ):明星大学人文学部教授
辻山幸宣(つじやま・たかのぶ):地方自治総合研究所所長
広井良典(ひろい・よしのり):千葉大学法経学部教授
住沢博紀(すみざわ・ひろき):日本女子大学家政学部教授
坪郷實(つぼごう・みのる):早稲田大学社会科学総合学術院教授



グローカルの去年の3月号にも書評が出ていた。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~mmr/glocal/2011/756/book.html
この滝川さんって誰だろう。ぼくの知ってる人かなぁ?



「はじめに」から
・・・。地域間に格差がある限り「低き」から「高き」に向かう人の流れは止まりません。しかし、どんなに経済的な格差があっても、それだけでは地域を離れない人がいることも見落としてはなりません。そこでは地域の生活が人を定着させる「磁場」として働いているのです。
 現代における地域再生とは、この「磁場」を昔ながらの「しがらみ」のなかに回復させるのではなく、地方税制の改正(第1章)やセーフティーネットの整備(第2章)および自治体行政の改革(第3章)といったハード面の見直しに加え、コミュニティの復活(第4章)や生活と公共を繋ぐ新しい空間や「場」の創造(第5章)および市民社会の活動(第6章)といったソフト面での機能整備を通して、能動的に回復しようというものです。Ap

まず、「地域間に格差がある限り「低き」から「高き」に向かう人の流れは止まらない」というクールな認識にひかれる。その前提の上で、でもそれだけじゃないろう、という話だ。

A-Bpから適当に抜粋
===
地域再生は限界集落だけでなく、大都市の課題…

地域の経済が衰退しているから地域の生産を拡大して地域を再生するのではなく、人と人の繋がりや自然と人の共生が危機に瀕しているから成長依存を脱した地域再生が喫緊の課題となっている。
===


序章 なぜ、いま地域再生なのか
神野直彦

経済、環境、社会という3つの危機 2p

序章結語部分 8-9p 要約
大量生産・大量消費を前提とした企業誘致というような「開発」手法では自立的な地域の構築にはつながらない。地域の内部で人を育てるという基本に返って地域の再生を試みる必要がある。 現状や過去の企業誘致やリゾート誘致の失敗から学ぶべき。
人を育てるために「共同体の相互扶助」としての教育が必要。人材は地域が一丸となって創り出すもの。そこで新しい生活様式が地域に誕生すれば、その生活様式を支える人間が新しく育成され、地域は再生されていくのではないか。



第T章 地域再生を阻む日本の税構造

====
財源は、比例税率の所得課税か


ここで法人に依存した税制が批判されるのだが、個人的には儲かってる企業からはとっていいだろうと思う。大都市に集中するのが問題だというのだが、お金がそもそも大都市に集中しているのだからしょうがなのではないか。再分配を考えたら、どうしてもそうなるはず。

スウェーデンと英国の税制が紹介されるが、ここはよくわからない。

過疎地では公共部門の雇用が、大都市部では民間部門の雇用が大きな意義をもち、スウェーデン経済を牽引している(41p)という。だとすれば、過疎地では公的支出の割合が増えるということになるのではないか。

「・・・雇用と社会サービスを提供するために、働く世代がみんなで支えあう仕組みを・・・そのための財源は比例税率の所得課税か地方消費税、固定資産税など多くの住民から公平に・・・、企業所得税のような負担者が一部に偏り、有権者でない人々も負担を求められる方式は望ましいものとはいえません」(42-43p)
とあるのだが、上に書いたとおりの感想。企業所得税をこんなに嫌うのは企業が海外へ逃げることをの問題なのだろうか?

ただ、この直後にある「公共事業とは人を雇うことであり、民間企業を刺激してそこに雇用を求める方法ばかりに頼っていることを見直す時」というのには賛成。

「地方税が、安定的かつ地域格差の少ない地域再生型の財源として機能していくためには、所得税の最低税率分5%を住民税に組み入れ住民税率15%とすること、地方消費税のウェートを高めること、法人事業税の外形標準部分を増やすことから検討すべきです。(これらはいいと思うが、これに続く所得控除見直しを含めた課税ベースの拡大をというのはどうなのか、貧乏人からとらなくてもいいだろうとぼくは思うのだが。)




第2章
多様化する貧困と医療・年金危機

「国民健康保険がどうなっていくかが地域再生の根幹にかかわる」と本扉にまとめられているのだが。・・・

「別の意味での地域再生」という序論の紹介を、この章の著者、下平は、自己完結した地域生活圏あるいは経済圏の確立と読み変える(48p)。これは、妥当だと思う。、

また、分散よりも集積がメリットが大きいとも書き47-48p、49pでは集積のデメリットを主張した編者の高橋に異を唱える。。これ、どの程度の集積かという観点もあるだろうし、確かに集積のほうが効率的ところは多い。しかs、人の生活をそういう観点でみていいのか。あるいは限界集落がどんどん崩壊していく状況は健全な森林域や農村の維持という観点からどうなのか。

ともあれ、それがいまの日本で可能なのかと問う。そして、彼が考える地域再生は(地域の自立も重要な観点ではあるが、より重要なのは)一人あたりの所得の平準化だという。50p


明治維新は外圧で始まったが、それが可能だったのは明治以降、より過酷に農村を収奪したからという難波田春夫の説を紹介。ナショナルなまとまりの形成を可能にしたのが天皇制。48p

北陸がうまくいっているといわれる背景に、イエ制度なり郷土なりが強いため、社会的リスクが顕在化しないのではないかと直感的に考えている。最近の研究では有配偶女性の就業率の高さを原因にあげる研究者もいるというのだが50p、この就業率の高さと「イエ制度」は両立するのだろうか?

国保が地域再生の根幹になぜ位置しているのか?二つの理由。
1、国保財政の悪化が財政再建団体への転落をまねく危険があるから。
2、国保財政の不安定さが保険料の高騰を招き、それは中間所得層も直撃し、自営の中間所得層が流出する。
66p


だから、全国一律の制度が必要だということになる。そして、都市貧困層に対する対策が必要という。84p




第3章
自治体行政の課題と役割
「市民の政府」に向けて
辻山幸宣

扉の高橋さんの紹介から
==
辻山さんは「市民の政府」に本来の自治の可能性を求めます
==
と書く。

自治体行政は地域の衰退を座視してきただけでなく、衰退条件をつくり出す役割を演じてきた 88p

政府そのものを存続させることが目的の、議員や公務員のための政府という色彩が強くなっているのではないか 89p

この章の結語近くで、注目される動きとして紹介されているのが、自治基本条例制定の動き。
180あまりの条例の多くが「私たち一人ひとりが地域の課題から目をそらさず、自らの責任で考え、決め、行動する住民自治の時代が来ています」(大口町まちづくり基本条例全文)と述べ、市民主権による自治体統治の方向性を示しています。市民主権は具体的に「市民が自治の主体として自ら自治体を統治することは、地方自治の根幹であり、主権者である市民の信託により置かれた市議会及び市長等は、公正で開かれた市民主体の市政運営を行うこと」(上越市自治体基本条例第3条)と定義されそれを実現することを宣言しています。自治体基本条例は「政府の時代」(政府の再配分政策と自治体のサービス行政によって地域と市民の生活が支えられてきた時代)から「住民・市民が治める時代」への大きな転換点をさし示しています。それは政府の公共サービス領域からの撤収と、それを「新しい公共」すなわち地域における住民たちの連帯によって補完するという構図を市民合意の上に形成しようという試み・・。
125p
注目すべき動きだとは思うが、「政府の公共サービス領域からの撤収」をこんな風になんの留保もつけずに言ってしまうことへの違和感は大きい。


第4章
コミュニティと地域再生
縦割りの壁を超えて
広井良典

扉の紹介で<広井さんの・・・研究の出発点は「ケア」とか「死生観」にあったようです>と書かれている。知らなかった。

広井さんのコミュニティをめぐる時代意識
開発・生産志向のなかで国家という共同体が全体を束ねる形で、ムラ社会の個別利益と経済成長というマクロ的な好循環が両立・・・。そうした構造が、経済の成熟化を背景に大きく崩れており、一つはムラ社会の原理に代わる新しい関係性を、またもう一つは、狭い意味での経済成長、GDP拡大に代わる広い価値を、それぞれどこに見いだしていくかの分岐点に、いまの日本は直面
130p


高齢化社会
地域コミュニティが再び重要になってくるのは、人口構造的にある種の必然 132p

そもそも日本における地域コミュニティの単位なり原型をどう考えるかは、地域再生における一つの論点・・・137p

空間コミュニティ(地域コミュニティ)と時間コミュニティ(ミッション型コミュニティ)の融合の可能性が一つの方向 139p


広井さんが考える自給と分業の構図
・物質的生産(特に食料生産)と「ケア」はできる限りローカルな地域単位で
・工業製品やエネルギーはより広範囲の地域単位で(ただし自然エネルギーはローカルに)
・情報の生産/消費ないし流通は広範囲に
  ・・・グローバル
・時間の消費(コミュニティや自然に関わる欲求ないし市場を超える活動)はローカルに
ほんとうにこれでいいのかな、と思う。というのは、ローカル以外の選択肢だ。確かにグローバルな情報は魅力的だったりするが、情報もまたローカルでもいい部分もあるんだと思う。

===
重層社会という、個体と社会の間に中間的な集団が介在する構造があり、コミュニティとは重層社会における中間的存在 148p
===

都市計画における公共性の欠落が社会保障にも顕在化。「公」や「共」の強化を中心に、福祉政策と都市・住宅・都市政策を通じた包括的なビジョンが必要 154-154p

155pでは「多極集中」を提案。確かに適度に集約した方がエネルギー効率はよくなるだろうが、47-48p、49pに関するコメントでも書いたように、それは限界集落の整理という話につながるのではないか。それでいいのかどうか?

このメモ続きます。



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