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zoom RSS 『要石:沖縄と憲法9条』読書メモ

<<   作成日時 : 2012/02/04 09:07   >>

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ラミスさんの「植民地主義」という批判にどう応えるべきか


というタイトルでずっと前に書いた文章。
2010年11月というタイムスタンプがついている。
某所に掲載予定だったが、なぜか宙に浮いて、書いたのを忘れていた。
ポメラに残っていたので、こっちに掲載。


『要石:沖縄と憲法9条』読書メモ

2010年秋、ラミスさんもスピーカーをした平和学会で購入。

いろいろ興味深い指摘はあるが、やはり焦眉は3章の沖縄・基地・差別 だと思う。

ここで提起される植民地主義批判にヤマトゥの運動はどのように応答すべきか、それが問われている。

きれいな言葉で書くとチャレンジングということになるのだろうが、ラミスさんが喧嘩を売っているとさえ、読めないことはない。この「喧嘩を売ってる」という表現についてはあとで触れることにして、ちょっと続けよう。

そのあたりを端的に示す「あとがき」の一文を引用する。
===
 私は10年前沖縄に引っ越してから、本土にいる時よく見えていなかった、もう一つの問題がみえてきた。それは、その本土日本ではほとんど存在しない反安保運動が、もうちょっとで実現できそうなふりをし、沖縄を騙そうとするやりかただ。
===

 以上がラミスさんのあとがきのチャレンジングなところが明確にでている部分だ。

 この後にラミスさんは知念ウシさんの「100人の小学生のランドセルの例」で説明する。75個のランドセルを持たされている一人が「重いからちょっと手伝ってくれ」というと、残りの25個だけを持っている99人は、「いまランドセル反対運動をやっているので、それまで待て、自分の苦しみを人に押しつけるのはよくない」という、しかし、その「反ランドセル運動」、実はあまりやられていない、なぜなら75個はひとりが背負っていて重さをあまり感じていないから。
===

 この「騙そうとしている」を含む部分に納得いかないというか、正直、怒っている人がいた。実はこの部分、ぼくは読み飛ばしていたのだが、その人に「『騙そうとしている』はないだろう」と指摘されて気づいたのだった。確かにここを読み飛ばすなんて、迂闊すぎ。

ともあれ、ぼくはこの本を読んで、この植民地主義と反基地運動のジレンマともいうべき課題を「どうしたらいいんだろう」と、あまりよくない頭で考え、困ったなぁと思っていたときに、その知人に「読みましたか」と聞いてこの部分を指摘された。そして、「沖縄を騙そうとするやりかただ」という指摘にたじろいでいた。

 そう、この「あとがき」に対して「喧嘩を売っている」という表現は適切ではなかったかもしれない。ぼくたちは友人であるラミスさんがそのように感じたという事実から、話を始める必要があるはず。

 ラミスさんも東京に住んでいたときは、その反安保運動の当事者だった。そのいっしょにやっていたラミスさんからの言葉だ。だから、彼は「自分も騙していた」と言っているのだろうか。

 しかし、この部分「ほんとにそうか」と疑わざるをえない部分はある。10年前ラミスさんも東京で安保に反対していた頃、運動は本当に「もうちょっとで実現できそうなふり」をしていただろうか。このあたりの感じ方は全然違う。10年前と言えば、沖縄サミットだ。その頃、すでに安保に反対する運動はとても小さくなっていたと思う。PP研は沖縄サミットを前に「民衆の安全保障」という風に問題を立てたが、これだって、いまより人数が少し多かったかもしれないが、残念ながらそんなに大きな運動にはならなかった。そして、9・11。このあたりから運動のなかで安保に反対する言説はさらに小さくなったと言えると思う。アフガニスタン、そしてイラクに対する米国の戦争が始まり、そこへの日本の協力が問われた。それは日米安保が問われる事態でもあったのだが、残念ながらそれに反対する運動の中で、日米安保をちゃんと課題の中心に据えることはできなかったし、中心に据えることが出来なかったことには必然性もあったかもしれないと思う。ともかく、その課題がちゃんと提起することも出来ない中で「実現できそうなふり」をなどしようがない。

 そして、60年安保から50年の今年も反安保の運動がそんなには盛り上がっていないのはラミスさんがこの本で紹介しているとおりだ。普天間をめぐる問題と50年ということで去年よりは注目されたが。

 そういうことを知ってるラミスさんが「反安保運動がもうちょっとで実現できそうなふりをし、沖縄を騙そうとするやりかた」だと指摘する。それは何だろう。

 鳩山政権誕生以降のことを言っているのかもしれないと思い直す。この本の3章で書かれているのもほとんどそのことだと言えなくもない。

 辺野古に反対していた民主党による政権交代があり、普天間問題がクローズアップされた頃、武藤一羊さんは、というかPP研は「政権交代が維新なら、次は不平等条約の改定に向かうべきだ」と主張した。その主張自体が間違っているとは思わないし、それが普天間の固定化をめざしていったものだとラミスさんも考えてはいないと思う。

 鳩山が「最低でも県外」を主張している時期だ。私たちは政権が変わったのだから、政策も変わるのは当然、だから、普天間をただ撤去することを日米交渉のテーブルにのせるべきだと主張した。

 ラミスさんがこの普天間をめぐる言説について「騙した」と書いているということなら、話は少し見えやすくなる。ヤマトゥの運動の多くが「移設ではなく撤去を」と主張し、政府は辺野古への移転を主張し、沖縄が辺野古移転を拒否するという状況の中で普天間が動かない状況が作られている。この状況を指して、批判しているのであれば、反安保運動が実現しそうなふりをして騙そうとしてきたという話は見えやすい。(だとすれば、あの「あとがき」の表現は正確ではないので、もう少し違うことを言っているのだろうが、とりあえず、そうするほうが話が見えやすいので、そのように話をすすめる。)

 私たちの「移設ではなく、撤去を」という主張は間違っていたのだろうか。それはできそうもないし、沖縄の人が75個のランドセルは重いと言っているのだから、とりあえず国内で県外のどこかに移設先を探して、それをテーブルに乗せろと主張すべきだったのだろうか。

 現実に鳩山政権は「ただ撤去せよ」という課題をテーブルにのせることもなく、やっぱり辺野古に行くしかないと言い残して辞めてしまった、というかこの本のラミスさんの表現を借りると、沖縄の運動によってやめさせられた。


「移設ではなく撤去を」という主張は「出来そうもないのに騙した」ということになるのだろうか。

 ぼくたちは今からでも、「じゃあ、とりあえず安保がなくなるまで、東京が決めたのだから、東京に持って来ればいい」と主張すべきなのだろうか。

 ラミスさんは「日米安保を容認するなら、普天間代替基地をヤマトゥは受け入れろ」という二者択一問題として提起することも主張しているようにも思える。私たちは沖縄への植民地主義的な差別に反対するという観点から、そのように問題を立てるべきだろうか。(ただ、その場合、安保に反対はしないけれど普天間を撤去すべきだという人を追いやることになる、という問題には留意すべきだろう)

 あるいは安保に反対していたとしても、今の沖縄の負担は過剰だしヤマトゥでの反対運動はとても弱く米国はあきらめそうにない、という理由で代替地を探すべきと主張すべきなのだろうか。

 ラミスさんは東京の運動は出来ないとわかっていて普天間の固定化に手を貸し、騙したと主張しているのか。

 少なくともぼくには騙す意図はなかったし、反安保の運動にかかわっているほとんどの人はそんなことを考えてはいないだろう。だから「騙そうとするやりかた」という非難はやはり不当だと思う。

ともに運動を続けてきた友人として、こういう言い方はないだろうと言ってもいいと思う。しかし、他方で、ラミスさんがこんな風に思わざるをえなくなった、その背景はもう少していねいに考えたいと思う。

このラミスさんの問題提起をもう一度見てみよう。「反安保運動がもうちょっとで実現できそうなふりをし」という部分だが、「反安保」という課題に限っていえば、そんな風に「もうちょっとで実現できそう」なんて思っていたり、そんなふりをしている人はいないはずだ。

しかし、それを反安保という大きな課題ではなく、普天間の撤去という課題に置き換えると、ぼくたち(より正確には少なくともぼく)は、もしかしたら、鳩山政権のもとで、撤去をめぐる交渉を開始することは可能だと思っていたかもしれない。

ラミスさんは、聡明な人はそんな話が進むわけがないとわかっていたはずであり、わかっていて主張しているのだから「騙したのだ」と言っているのだろうか。

そして、「移設ではなく、撤去を」というスローガンを掲げたぼくたちは、このとき、「植民地主義」という観点に立って、違うスローガンをいうべきだったのだろうか。

 確かに結果的に普天間の海兵隊は動けないような現状がある。これを動かすためになにが必要なのか。植民地主義を克服しようとする私たちはこの問題にどのような回答をさがすべきだろうか。この回答を探すプロセスを共有できるかどうかというところに鍵があるのではないかと思う。

 沖縄の運動とヤマトゥの運動が本当に出会うために避けられない課題がここにあるように思う。


===
蛇足だけど、東恩納琢磨さんって辺野古住民??
227p

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