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zoom RSS 『憲法九条の軍事戦略 』(平凡社新書)メモ

<<   作成日時 : 2013/07/15 05:19   >>

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誰かがフェイスブックか、ツイッターで紹介しているのを読んで、読みたくなって図書館で借りたのだと思う。


読書メーターに読んでる途中で書いたメモ

9条を軸にして、しかし軍事戦略も必要という視点はすごく興味深い。ただ、政治と切り離して軍事だけがあるわけではないので、そのあたりのダイナミズムをどう考えるか、という記述が半分くらい読んだ段階では弱いような気がしている

その次のメモ

あと、米国の傘から離脱したら、米国こそが一番の脅威になりそうな気がするのだが、そのあたりの記述が弱いかも、とはいうものの、日米安保について書かれた最終章をまだちゃんと読んでいない。


で、読み終わって、
著者のシュミレーションに違和感はたくさん残るが、問題提起としては面白い。

図書館で借りたので、帯がついていないのだが、
http://heibonshatoday.blogspot.jp/2013/04/blog-post_9.html で帯が紹介されていて、帯に文章を寄せているのは内田樹さん。
『自分の国は自分で守る』という常識的立場から対米従属派の没論理をきびしく批判する。九条と防衛の両立をめざす実にプラグマティックな論考。誰かがこういう本を書かなければならないと思っていたら松竹さんが書いてくれました。

とのこと。

少し前なら、この本に書かれているような内容を、ぼくは以下で紹介するアマゾンの書評のようにほぼ全面否定していたと思う。
以下、引用
〜〜〜〜
使い古された論理, 2013/6/6 By  サンザンクロース

共産党のかつての比例候補で、大月書店や新日本出版社からたくさんの本を出し、9条問題の専門家であるとみなされている松竹伸幸氏の衝撃の著作である。

著者の立場は要するにこうだ。一方では、日本政府は戦後一貫して対米従属で、昨今ではますます排外主義に走っている。他方で、それに対抗する9条護憲派はあいかわらず教条的で、頑なである。このような閉塞状態の中で、事態はますます悪くなる一方だ。したがって、どちらでもない第三の道を追求するべきだ。そのためには、何よりも頑なな9条護憲派の考えを改めさせ、もっと現実主義的にさせ、自衛隊も安保も大筋で認めた上で(ただし安保に対してはそれなりに批判的)、自衛隊を積極的に活用する「専守防衛」型の外交・軍事戦略を立てるべきだ……。

だが、このような主張は新しくもなければ、独創的でもない。右傾化がますます進行し、世論がますます排外主義的になる中で、孤立を恐れる反対勢力の中に必然的に繰り返し生じてくる「現実主義」である。

このような路線はすでに80年代に公明党がとり、90年代に社会党がとった。だがそれによって、政治や社会の右傾化が少しでも緩和されたり歯止めがかかったりしたかというと、そういうことはいっさいなかった。むしろ、反対勢力の対抗軸がぐっと右に寄ったのだから、それだけいっそうもっと右に引っ張る力は強くなった。

この本もこれと同じ運命を免れないだろうが、もっとひどいことになる可能性がある。というのも、この本で容認される枠内に入るものが、かつて右傾化した人々が恐る恐る唱えた水準よりもはるかに突出しているからである。松竹氏は、現状のままの自衛隊を容認するだけでなく、自衛隊の海外派遣も、軍事衛星も、海外のミサイル基地を米軍に頼んで破壊してもらうことも、尖閣諸島をめぐって自衛権を発動すること(つまり中国と局地戦をすること)も、自衛の対象を日本の国土だけでなく周辺にまで広げることも、すべて容認している。

このような認識が9条護憲派に受け入れられるようになれば(松竹氏は心の底からそれを望んでいるのだが)、日本をもっと右傾化させようとする人々にとっては願ったりかなったりだろう。彼らは、9条護憲派も認めるに至った「日本の防衛のために自衛隊の海外派遣はありだ」「ミサイル基地攻撃もありだ」「軍事衛星もありだ」「他国との軍事協力もありだ」という論理を全面的に活用するだろう。9条のために自衛隊を活用するのではなく、その反対に、「護憲派」の方が自衛隊のために活用されることになるだろう。

もちろん、9条護憲派がこれまで通りであっていいと言いたいわけではない。それは変わらなければならないだろうが、松竹氏が望む方向でないことだけは確かだ。それは、護憲派の総崩壊と日本の歯止めなき右傾化をもたらすだけだろう。

〜〜〜〜

ここで書かれているような側面は確かにあり、それはそれで危惧しなければならないと思う。
例えば、90年代にも雑誌『世界』を中心にそんな動きもあった。


しかし、最近は、本当にそれへのこんな批判だけでいいのか、とぼくも思うようになってきている。この本をこの評者の方向から批判する人が出ることは予想できることで、著者もそれを覚悟して書いていると思う。

そういう意味で、この本のあとがきにも書かれているように、安保抑止に変わる選択肢、すくなくともそのための議論の叩き台であり、どんなに激しく叩かれてもよい、という著者の立場には共感できる。

これもひとつの叩き台として、本当に9条の精神を実現していくために何が必要なのかという議論が必要なのだと思った。

憲法の前文や9条の精神を本気で実現するためのロードマップが考えられなければならないと思う。

まず、この薄い新書の大きな意味はそこにあるのだと言えるだろう。

しかし、いくつもの弱点は指摘できるかもしれない。中身を読みながら、それも考えていこう。


==


まず、憲法9条の軍事戦略として3つの視点が提示される。
@「専守防衛」を本来の意味へ
A主権の維持と協調を両立させる
B将来的には軍事力を必要としない世界をめざす
29-33p

Bを前提にして、過渡的に@をという考え方をどう考えるかという問題。
あくまでBが前提であれば、それはありえるかもしれないと思いはじめている。

しかし、すべては米国をどう説得できるか、米国との関係をどう築くのかといのが前提になる。
それは今後、でてくるすべての想定に関係する。

このあたりに弱点があるような気がする。


あと、驚いたのが「集団的自衛権」の記述。
実際にはほとんど行使されておらず、数少ない行使された例は、すべて侵略の正当化のために行使されている。

9条国家だということを前面に押し出した外交ができるはずだと著者は指摘する。そこでもおそらく、米国の意向と相対的に自立できるかどうかということが問われる。

問題はどのように米国から自立できるか、という問題に収斂していくのではないだろうか。

ほんの少しだけでも米国と距離を置こうとした歴代の首相はことごとく潰されている。そして、この本でも指摘されているように日本では、かなり多数の人が米国との現状の関係を前提に物事を考えているという現実がある。
そこをどう動かしていくのか。

どうすれば多数派、メインストリームの意識が変化していくのか、まず、そこに大きな問題がある。「9条の軍事戦略」に向かう契機をどのように作ることができるのか、というその契機がなければ始まらないのではないか。


この本になんらかの意味があるとすれば、「侵略に備えがない9条丸腰主義」という批判への反批判としては使えるかもしれない。しかし、問題は9条国家に向かうロードマップの中で、「専守防衛の軍事力」が必要なのかどうか、という問いがもう少しちゃんと議論されなければならないと思う。そして、仮にそうだとしても、その軍事力をどの程度、維持するのか、どれくらいの期間、維持するのかということも同時に問われる。



4章では、この軍事戦略が3つの角度から提示される。

まず
第一は、侵略されることを想定した「専守防衛」の戦略
第二に、侵略が予想されるような場合の「経済制裁」の戦略
第三に、諍いを戦争に発展させないための平時における「安全保障共有」

社会運動内部での大きな議論はさきほども書いたこの1にかかわるものだろう。

しかし、興味深かったのは2と3。

有効な「経済制裁」の戦略というのは必要な知恵だと思う。
適当に番号をつけて、箇条書きで紹介しょう。(整理には主観が入ってます)
1、9条の精神に反しない経済制裁(人の命を犠牲にしない)
2、交渉との組み合わせ(経済制裁だけでは態度は変えられない。対話・交渉のチャンネルを保持し、目標を明確化すること)
3、関係諸国の大同団結(抜けがけのない制裁)
4、相手国の世論を味方につける(抑圧と戦う人びとへのメッセージをつける)


で、次に第三の【諍いを戦争に発展させないための平時における「安全保障共有」】

これはまず自衛権を発動させる必要がないような関係づくりという当たり前と言えば、当たり前の話だけど、やられていない。そして、そういう政策が軟弱外交とか弱腰外交、中国への屈服外交というふうに避難されたりするのだろうなと思う。例えば、北朝鮮の拉致問題、強面ばかりで何も進んでいない。

東アジアの現在の情勢について、著者は以下のように書く。
・・・お互いが経済的な成功を願っているのに、両国とも、軍事態勢だけは万全を期そうとする状況である。軍事的にそういう態勢をとっても、政治的にはそういう状況に突っ込んでいく意思はないのだが、軍事的な緊張が万が一の事態を生みださないとはいいきれないのか、現在の東アジアである。153p

だからこそ、その無駄な緊張を解く方向の戦略が必要だというのが本書の見解だ。
この本のタイトルは『軍事戦略』となっているが、書かれているのは全面的な外交戦略だということもできるような気がする。『軍事戦略』は『軍事戦略』単独では存続し得ないということだ。

そして、第五章(最終章)は日米戦略に関する記述だ。明確に単純に、9条の戦略は本質的に日米安保と相容れない、と冒頭で言い切る。しかし、人々が日米安保の変更を望んでいるようには思えない現状をどうするか、という話でもある。

そして、同時に米国の中にも経済の上では中国を無視できないというジレンマが存在している。179p
その上で、著者はだからこそ、憲法9条の軍事戦略の有効性を繰り返し米国に説くべきだというのだが(180p)、米国を説得するのは難しいだろうなとは思う。

著者は日本の現状を固定的に考えるなら、それは絶望的だとも書く(181p)。
しかし、日本が成熟し、9条の軍事戦略に立つくらいのことができれば、米国にも影響を及ぼすことができるのではないか、とも。そう、日本がそんな立場に立つようなことがあれば、米国は態度を変えるだろう。しかし、それは肯定的な変化だけとは限らない。

米国に歯向かう国に、米国が何をしてきたか、歴史から学ばなければならない。アジェンデのチリで。サンディニスタのニカラグアで。タリバンのアフガニスタン、フセインのイラク。

しかし、日本がそこに行く前に、米国と少しでも距離を置こうとした首相は引き摺り下ろされてきた歴史もある。
陰謀史観は嫌いだけれども、近い話では、なぜ、鳩山元首相は辞めなければならなかったのか、と思う。

それらを考えたら、米国と距離を置く戦略を考えるときに、まず、米国対策を考えなければならないのではないかと思う。

将来、本当に日本が非軍事化を選ぶために、過渡的に9条の軍事戦略をという方向を選択するとすれば、危険なのは中国以上に、米国ではないかと思う。

そのあたりの考察がもっとあっていいと思った。

中国と米国という大国に挟まれているという事実は変えようがない。その中で、その両方と友好を築きながら、平和に生きる国をどう模索するか、という話にもなる。

両方の国の民衆を味方にするようなことも必要になるだろう。

ともあれ、まずは日本がどう変わるか、という話だ。

状況がどんどん厳しくなっている現状はこの本の結語近くにも書かれている。
日米安保への支持(それが役立っているという答え)が1988年の63.5%から2012年には81.2%になっているという。(自衛隊への支持ほど磐石ではないが、とも書かれているが)

だから、日米安保を前提に問題を立てざるを得ないというのが著者の主張だ。

本当にそうかと思う。日米安保の見直しもできない政治が彼が書くところの「9条の軍事戦略」への転換に踏み出せるだろうか。

この書評の冒頭に引用したアマゾンの書評にあるように、現実を容認した上での転換をという戦略を立てた社民党はもうほとんど壊滅状態に近い。9条に一定の価値を見出しているかのようにいう公明党も自民党を補完する役割を担わされ、実際の米国べったりの現状への歯止めとはなっていない。

しかし、冒頭でぼくはこのアマゾンの書評を引用したあとで、ただ否定していいわけではないはずだと書いた。
この本で書かれた「9条の軍事戦略」という発想からインスパイアされるものはある。

「中国に対する不安は杞憂にすぎないかというと、そうもいえないのも現実」(184p)だというこの本の分析もそうだと思う。

憲法前文と9条の精神を非現実だと貶めるのではなく、それを世界のスタンダードにしなければならないのだと思う。そのためのロードマップをどう書くか、という話でもある。

いろいろいちゃもんもつけたけれども、そういうことを考えるための叩き台として、この本はひとつの材料を提供していると思う。そして、それはちゃんと考えられなければならない問いでもある。

確かに現実は、こんなことが想像できないほど厳しい。しかし、はっきりしているのは変えようという意思がなくなったら変わらないということだ。意思が持続できれば、変えることができるかどうかはわからない。だとすれば、可能性があるほうにかけて、考え、動くしかないと思うのだ。


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