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zoom RSS 『居場所を探して 累犯障害者たち』 メモ

<<   作成日時 : 2014/10/04 10:13   >>

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長崎新聞の連載をもとにした書籍
http://www.airinkai.or.jp/news/ibasyo.html で、1章はほぼ全文を読むことができる。

新しく刑務所に入る受刑者の4分の1に知的障害の疑いがあるとさえ言われる。8p

「刑務所を出て、社会に戻るのが怖い」とある障害者は言った。9p

(都道府県)地域生活定着支援センター
刑務所から福祉への「橋渡し役」
17p

発達障害のある男性からの反論メール
発達障害に苦しみながら、努力をしている当事者がたくさんいる。刑を通常のケースより軽くするのはそのような人たちに対して失礼。
発達障害は善悪の区別も付かず、悪いことをしても許してもらえるという間違ったイメージを社会に与えてしまうことがとても不安。同じ刑を受けた後の福祉的フォローがよかったのではないか。81-83p


受刑者総数6万5千人、毎年新規受刑者2万8千人そのうち、約23%に知的障害の疑い。100p

「特別調整」制度。2009年に始まった。全国の刑務所に社会福祉士が配置され「福祉が必要」と判断した場合、福祉・医療の手続きを行う。累犯障害者が最後に行き着く場所であった刑務所は今、福祉の「出発点」に変わりつつある。101ー104p

生活保護費14万*12=約170万
刑務所では一人当たり年間300万
生保の方が費用がかからない 
114p
ここで、どこまでのコストを算出しているか、という問題はあると思うが、興味深い数字ではある。

「扱いやすい人は受け入れ、そうでない人は見て見ぬ振りをする。・・・福祉」
149p

第7部 課題
ここがとりわけ興味深い
1〜4は検察について
累犯障害者の問題の可視化という事態を受けて変わりつつある検察、しかし、なかなか主流がかわるわけでもない検察のことが描かれる。村木さんの問題を受けて改革が問われていたという背景もある。

そして、その4の最後では以下のように記載される。
(検察改革推進室長の)林は語る。「検察はいつしか、『不起訴より起訴』『執行猶予より実刑』を求める存在として見られるようになった。検察官に求められている裁量権とは、厳罰を求めるだけでなく、被告にふさわしい更生の方法を見極め、それを科すことにあったはずだ」
 累犯障害者の問題に正面から向き合うことで、検察はいま一度「原点」に立ち戻れるはずーー林はそう信じている。199p


5 懸念「福祉施設が刑務所化」201p

6 広がる距離「拙速さ」に戸惑いも 204p
知的障害者の更正は簡単ではないと考え、そこへの参入に消極的な福祉業界。その福祉業界と触法障害者の問題の先端で動き制度の改定を進める南高愛隣会の田島との距離が広がっているのではないかと長崎新聞は指摘する。

7 幸福とは 「お仕着せ」の危うさ
累犯障害者と福祉がつながって、彼らは本当に幸福になったのかと、記者は問い、「福祉は刑務所以上に彼らを縛り付ける存在にもなりうる」と指摘する。205p

8 彼女の場合 自由求め福祉を拒否
7でも書かれている一度は「雲仙・虹」を入所したが、飛び出し、また逮捕された女性の話。

9 困惑 拒否する人をどう支援

10  糸 何度でもたぐりよせて

9も10もその女性の話だ。なんとかしたくても、心を閉ざしてしまった彼女をどうすることもできない。
いま、刑務所にいるその人が再び社会に出てっきたとき、彼女に居場所はあるか、寄り添ってくれる人はいるか、社会は変わっているか、という問いかけでこの連載の本編は閉じる。

217p〜(294pまで)の第2章は「変わる」というテーマで、動き出した累犯障害者向けの制度などについての動きとか、その背景とか。
この問題に冤罪の賠償金(3333万弁護士費用を除く全て)を差し出した村木さんのインタビューもある。

さらに、ここでも検察改革推進室長の林さんの話が出てくる。267-270p
彼は検察の倫理規定(この検察改革の流れの中で2011年に制定)に書かれた「理念」が紹介する。(検索したが、Webでは全文が出てこなかった。これでいいのか法務省。規定作ってもやる気ないじゃないかという感じがここでしてしまうんだが)
で、その林さんは前文と8条の2ヵ所に特にこだわったという。
前文では常に有罪を目指し、より思い処罰を成果とみなすごとき姿勢であってはならない」と当たり前だけど、この間の検察はそうだったんだなぁということが書いてある。
この理念の凝縮してでてくるのが知的障害者の問題だと林室長は語っている。そして、「『では検察は変わったか』と問われれば、急に何かが変わるような話ではない」(270p)ともいう。しかし、現状がで人権侵害が行われているとすれば、急に変わることは求められているのではないか、少なくとももっと強力に変える手立てもあると思うんだが、どうなだろう。

ちなみに
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/8740d8122203cfc64a4e27d910ddd848 によると、
検察改革を議論する法務省の検討会議で委員を務めたジャーナリストの江川紹子さんは「最低限守らなければならない規程ができたことには意味があると思うが、毒にも薬にもならない内容だ」と酷評
とのこと


第2章「変わる」の内容は以下のように紹介されている。
本書には、連載以外に掲載した記事群を再構成したうえで新たな取材結果も加えた「変わる刑事司法と福祉〜南高愛隣会の挑戦をめぐって」を書き下ろしたほか、山本譲司氏のインタビューを詳録。また、この問題の理解を容易にするための用語集を社会福祉法人南高愛隣会の協力を得て作成しました。
http://moritasouken.com/sC3396.HTML から

累犯障害者をめぐる制度の変遷については、この「変わる刑事司法と福祉〜南高愛隣会の挑戦をめぐって」を読むとわかりやすい。こんな風に制度が動いていくのか、というのが見える。ま、例外的な話だとは思うけど。


山本譲二さんがインタビューに応えて言っている以下は、7部「課題」でも書かれているが、何度も強調されなければいけない部分だろう。
ただし、そこはあくまでもトレーニングセンターやシェルター的な位置づけにとどめるべきで、絶対に福祉施設を終の棲家にしてはいけない。そうした歯止めがしっかりしていないと「危ない障害者はずっとそこに入れておけばいい」という短絡的かつ本末転倒は話になる。刑務所ではないものの、また別の隔離施設に行くことになるのではまったく意味がない。282p


さらに、以下も
・・・必要とされるのは、福祉全体の改革だ。さらに言えばこれは単に福祉や矯正施設の問題ではなく、この国全体の在り方が問われている問題なのだ。ちょっと異様なことを言ったり、突飛な行動を取ったりする人を、いとも簡単に切り捨てる世の中でいいのか・・(中略)・・「KY」という言葉に象徴されるように、日本社会は今、異質と思えるような人をすぐにエクスクルージョン(排除)してしまう。そんな風潮に覆われ・・・障害者の地域移行と言いながら、世の中全体の意識としては、むしろ隔離する方向に動いているのではないか・・・本体なら福祉は、それに真っ向から異議を唱えていくべきだ。283p


その後で、山本さんは「いままで刑務所の福祉施設化していることを訴えてきたが、いまは『福祉の刑務所化』を絶対に防がなければならない」と書く。そして、福祉を嫌がる人たちに触れる。そんな人は福祉にさまざまコントロールされてきたと感じている。そう、福祉の側が変わらなければならない、というのが彼の主張だ。



「人間のアイデンティティーは、誰かに必要とされているという実感によって支えられる。実存の底が抜けた社会で、新しい居場所を作ろうとする試みこそ、拡大すべきだ」と朝日新聞の書評に書いていたのは中島岳志さん http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2013012700012.html
「居場所を探して」というのがこの本のタイトルだが、その問題の深さこそが大事な部分なのだろう。



で、いい本だと思うのだけど、ひとつ気になったのが「去年」とかいう記述。新聞記事の時はそれでいいのだけど、本にするときは直したほうがいいんじゃないかなぁ


追記
〜〜〜
2006年にこの問題についてブログに書いたもの
「江川紹子ジャーナル」の「今、刑務所は……」で障害者の話題
http://tu-ta.at.webry.info/200604/article_4.html

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もう、今日(2014年10月18日)ですが、こんなのやります。 《鶴ちゃんの【39窃盗団】を一度観てから知的障害を考えてみるディスカッション》 ...続きを見る
今日、考えたこと
2014/10/18 03:44

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内 容 ニックネーム/日時
先日亡くなった副島さん副島洋明さんインタビュー「障害と事件」 【08年6月特集 発達障害ってなに?】
から
〜〜〜
最近になって発達障害がブームのように騒がれて、事件が起きるたびに「触法障害者」が問題にされ始めました。私は「触法障害者」という言い方は大きらいですが、少なくとも社会問題として論議されてくるようになったのはいいことだと思います。
〜〜〜
どうして大嫌いなのか、ちゃんと聞いてみたかったなぁ。
http://www.futoko.org/special/special-03/page0623-157.html
tu-ta
2014/10/23 18:32

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