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zoom RSS 『熱狂なきファシズム』(想田和弘著)メモ

<<   作成日時 : 2015/08/14 03:06   >>

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読書メーターに最初に書いたメモとコメントなど


今の状況への特効薬はない、しかしやれることはあるという想田さんの論文集

『消費者民主主義』という指摘(10p) 民主主義の能動的な主体ではなく、政治家が提供するサービスを税金と票で消費するだけの存在。しかし、消費者なら、こんなに粗悪なものは買わないんじゃないかなぁ

それは投票率が低下する説明にはなるのだけど、それでも自民党が相対1位ということの説明には向いていないと思う。

とはいえ、政治が劣化して、投票に行く気も失せるというのは、理解できる話ではある。その悪循環をどう断てばいいのか、と想田さんは問題を立て、以下のように答える。ここの文章(12p)が加工されてカバーの袖に印刷されている。
今、このニッポンの状況を一気に解決するような特効薬はないと思う。
むしろ、「特効薬など絶対に存在しないし、期待してはならない」と肝に銘じることから始めたい。
しかし、まだやれることはあるし、打てる弾はある。僕はそう、信じている。
ファシズムにとって最も邪魔なのは、主体的で自律的で能動的な個人の存在なのだから――。

で、観察映画監督・想田さんは書く。「虚心坦懐で能動的な「観察」は、無関心を克服し、物事の本質を正確に見抜くための重要な手がかりになる」(12p)と。

69pで想田さんは多くに人のセンサーには危機が危機として認識されていないと危惧し、71pでは「この恐るべき無関心」に、「正直、絶望的な思いを抱いている」と書く。

『選挙2』の公開に寄せた文章で、311直後の選挙時の様子などに触れて、想田さんは以下のような問いを立てる。
もしかして、日本人は無意識にせよ、原発事故を”なかったこと”にしたいのではないか?
と。その「不可解な風景」をこの映画で「日本の人々と共有し正視したい」というのが、このエッセイの結語となる。120-121p

この問いこそ、もっと真剣に考えなければならないのだろう。
確かに無関心やアパシーは根強い。と同時に安倍政権への忌避感は広がりつつある。

このような状況の中でこそ、さきほど引用した
【「特効薬など絶対に存在しないし、期待してはならない」と肝に銘じることから始めたい】という認識が必要なのだろう。

あと、興味深かったのが日本人の「社会はそんなにひどいことにならない」という信頼感を安倍首相が利用しているのではないか、という指摘。182p そして、それを利用して、「安倍氏は日本人をとんでもないところに連れて行こうとしている」と想田さんは指摘する。

【共振する「しかし」】(256p〜)というコラムでは是枝監督のデビュードキュメンタリーについて触れている。いまをときめく、あの是枝さんにこんな過去があったというのを知らなかった。

最後は【あとがきのような『永遠の0』論】 泣ける映画としてはよくできていて、それがくせものだと想田さんは書く。映画での途中までの反戦的なポーズが最後にひっくりかえるのだが、そこまでの過程で主人公に肩入れさせられている観客はその転換に気づかない作りになっているとのこと。そして、この映画が戦争での死を賞賛するプロパガンダ映画として、今後かなり長期間にわたって日本人の精神性に重大な影響を与えていくと思われる、とこのエッセイ集は閉じられる。

ちょっと救いのない本の終わり方だが、カバー袖にあるように想田さんは「まだやれることはあるし、打てる弾はある。僕はそう、信じている。」と書いている。この思いは共有したい。



〜〜〜

amazonの紹介から引用

内容紹介

憲法改定、集団的自衛権、秘密保護法、原発再稼働……
ずるずるじわじわコソコソと進むファシズムに抗うために。
『選挙』『精神』等の“観察映画"で日本を見つめる著者による、初・評論集。

【目次】
まえがきのような「熱狂なきファシズム論」
第1章 ニッポンの根拠を疑う
第2章 観察という手法
第3章 権力と表現
あとがきのような『永遠の0』論

『現代的なファシズムは、目に見えにくいし、実感しにくい。人々の無関心と「否認」の中、みんなに気づかれないうちに、低温火傷のごとくじわじわと静かに進行するものなのではないか。僕は「熱狂なきファシズム」という造語に、そのような認識とステイトメントを込めたのである──。』想田和弘

内容(「BOOK」データベースより)

憲法改定、集団的自衛権、秘密保護法、原発再稼働…ずるずるじわじわコソコソと進むファシズムに抗うために。『選挙』『精神』等の“観察映画”で日本を見つめる著者による、初・評論集。



東京新聞の書評
http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2014100502000184.html 
熱狂なきファシズム 想田 和弘 著

2014年10月5日

◆壊れゆく民主主義を観察
[評者]横尾和博=文芸評論家

 「熱狂なき」とのタイトルに魅(ひ)かれた。ファシズムはヒットラーに象徴される狂熱、興奮をイメージする。しかし著者は低温火傷の喩(たと)えで、「じわじわと民主主義を壊していく」安倍政権に批判の矢を放つ。熱い、と人々が悲鳴をあげる高温ではなく、気がついたときには後戻りがきかないように仕組まれている現代のシステム。そういえば特定秘密保護法、集団的自衛権、原発再稼働、いつの間にかずるずると政権の思うがまま事態は進んでいく。

 一方、ヘイトスピーチが公然と行われ、反中・嫌韓で民族排外主義とナショナリズムを煽(あお)り、貧困と格差がますます増大するモンスター社会が出現した。まさに著者の指摘するファシズムが生まれる土壌が育まれ、民主主義は瀕死(ひんし)状態。反知性主義が跋扈(ばっこ)する。著者の危機感はまた私の焦燥でもある。

 著者はドキュメンタリーを撮る映画監督。『選挙』『精神』など、作品は国際的にも評価が高い。大学卒業後に渡米し、いまもニューヨークに住み、外部の視点で隘路(あいろ)にはまった日本の状況を観察する。彼は自らの映画を「観察映画」と名づける。観察映画とは、表面はテロップやナレーションの説明を除外し、BGMもないシンプルな映画。撮影前のリサーチ、打ち合わせ、構成台本をやめ、予定調和に陥らず、制作過程での発見を重視、鮮度を大事にする。先入観や思い込みではなく世界や自己、他者へ向き合う姿勢のことだ。彼が映像作家として体験してきたことなのである。その考え方がファシズムの台頭を予防する「基礎体力づくり」に通じるのではないか、と語る。

 そう、熱狂、思考停止などの言葉に対抗するには冷静、思慮を置くしかない。著者も「特効薬など絶対に存在しないし、期待してはならない」と書く。正鵠(せいこく)を射ている。著者の「観察」を言葉に置き換えて一冊にまとめた本書は現代日本の絵姿を浮き立たせる。彼の観(み)たことを私たちはどのように受け止めるのか。時宜に適した評論集だ。

(河出書房新社・1836円)

 そうだ・かずひろ 1970年生まれ。映画監督。著書『演劇VS映画』など。 

 
 
2014年9月11日
著者インタビュー:『熱狂なきファシズム』想田和弘さん
http://notaru.com/notaru-cultureandart/2014/09/11/10347
から部分引用

そして、ああいう憲法草案を出してきているのに騒がない日本社会に、背筋が寒くなりました。のみならず、その後安倍晋三氏が自民党総裁になって、12年の衆議院選挙で圧勝してしまった。ファシズムを志向することを公に宣言している政党が、改憲を争点のひとつにしながら合法的に選挙によって権力を与えられたのです。案の定、安倍政権は秘密保護法やら解釈改憲やら、全体主義的な政策を打ち出してきましたね?僕はその様子を眺めながら、「もしかして日本人は、民主主義をやめたがっているのか?」と思ってしまいました。


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