軍隊を持たないという選択のために

「トチローさんからのコメントから「もうひとつの世界」へ」というタイトルがわかりにくいようなので、変更しました。「三里塚闘争・暴力・総括・非暴力・9条・内ゲバ・サパティスタ」で書いたことにトチローさんからコメントをもらった。
ありがとうございます。

言われていることは理解できるし、共感できることも多い。
そして、自衛隊についての以下の記述・・・・。
==
自衛隊は誰がみても違憲です。しかし自衛隊は必要です。9条の精神は素晴らしいし、戦争反対は当然ですが、国土を守り、国際社会を正す力は必要でしょう。
==
 これもとても常識的な理解かもしれないと思う。(トチローさんおようなラディカルな人でもこんなふうに思っているというのはちょっと意外だったが。) 軍隊を持たないで、日本のように巨大化した国民国家を維持するというのは前例のない話で、荒唐無稽だと揶揄されることも少なくない。

 「それでも」とぼくは考えてみる。米国中心の新自由主義とミリタリズムが闊歩する今の社会でないような「もうひとつの社会」を展望するときに、日本ぐらいのスケールの国が、憲法に書いてあるとおりに、本当に軍隊を持たないという選択肢を選ぶことを本気で構想してみようじゃないかと。

 どうしたら、軍隊を持たないという選択に到達できるのか。すぐ隣に朝鮮半島という分断国家がいまだに続き、その隣には中国、北にはロシアという大国があり、現在は米軍基地を多数抱えて、あたかも米国の属国であるかのような選択をしている国家が、どのような政策をとれば、米国の軍隊を含めて、軍隊のない国民国家を維持することが可能になるのか。

 まず、アジアでの信頼関係の醸成が前提になるだろう。20世紀に日本という国家が行ってきたことから、目をそむけたままでは信頼関係が醸成されることはありえない。現在のアジアの政府だけでなく、アジアで生活する人びとに納得できるような形で日本が歴史を振り返り、反省し、軍隊をもたないという選択を行ったということを理解してもらうことができるかどうか、そのために何ができるのか、ということが第一歩になるだろう。その上で、軍隊を持たないという選択をしたことを国際社会で認知されるための行動が必要になる。そのことに一番抵抗するのは米国になるかもしれない。

 米軍に日本から気持ちよく出て行ってもらうということが大きな課題になる。それがなければ、やはり軍事力に依拠しなければならなくなる。それをどのように実現するのか。やはり、ここが最も困難な課題になりそうだ。いまや先制攻撃もOKと言い出した米国。その米国がいまのままでは、日本列島が軍隊を持たない地域になるという選択は限りなく不可能に近い。米国の軍隊が東北アジアというこの地域から気持ちよく出て行くシナリオを書くためには、中国やロシアや北朝鮮という、やはり軍事に絶大な信用を置く国家との絶妙なバランスをとることも必要になる。もちろん、それらの政府と交渉力を持つためには、それぞれの地域で生活する市井の人びとの支持が必要になる。

 それは書けば書くほど遠大さが増し、現実性が薄れてくるような、とーーっても大きいという言葉では言い表すことができないくらい大きくて遠いプロジェクトだ。

 しかし、20世紀から21世紀の初頭にいたる、あまりにも無残で滑稽な歴史からの転換の準備は日本では見えにくいが始まっている。その始まっているひとつひとつのプロジェクトは、歴史を変えるというにはあまりにも小さなプロジェクトで、エピソードで終わる可能性は大きい。

 それでも、戦争と暴力が支配し、地球を何十回も破壊できるような軍事力に支配される歴史には引退してもらわなければならない。大量破壊兵器だけでなく、小型の火器でもどんどん人間は殺されていく。誰が何がその小型火器の流通を可能にしているのか。

 飢餓や治療可能な病気を原因として、秒の単位で人が殺されていく。そこに歯止めをかけるよりも、自己責任という言い方の中で格差を拡大する新自由主義が尊重される。

 生活のために使用されないマネー、使用価値よりも交換価値が重視され、人びとのおなかを満たす食糧よりも、換金できる作物が大切にされ、大量の穀物は飢餓で苦しむ人には行かず、栄養過多で苦しむ人が食べる食肉の生産に使われる。

 それが守るべき「自由貿易」だとされる、WTOはそのための枠組みをなんとか形成しようとし、過剰な発達を遂げた国家は、現在の国際秩序をなんとか維持するために走り回る。問われているのは新自由主義の枠組みを作ることではなく、人が飢えて死ぬことがなくなるような公正さを追求する枠組みだ。

 そのために世界は変わらなくてはならないことに、世界の人びとは気づき始めている。

いま、9条を変えさせないということを、そういう展望の上で語りたいと思う。大切なのは9条を変えさせないだけでなく、そこでめざした軍隊を持たないという理念を現実にしていくことだ。日本という巨大な経済力を有する地域が、本気で軍隊を持たないというオプションを選択するために動き始めたら、その影響力は小さくない。、そういう可能性をわたしたち一人ひとりが持っている。

 日本で生まれたことで得をしている部分は小さくない。(そういう得を享受できない人も増えてはいるが)その「得をしている」ということの源泉に、十分に食べることさえできるかどうかというような対価で原料を産出する周辺の国々で働く人がいる。この「中心=周辺」という構造を超えていく展望と9条を変えさせないという取り組みを合流させたいと思う。

だからこそ、自衛隊を含むすべての軍隊をなくしていく方法を探したい。



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