「美味しんぼ」雁屋さんの主張に

ツイッターで「美味しんぼ」の雁屋さんの2010年5月25日のブログ、「敵を間違えるな」http://kariyatetsu.com/nikki/1240.phpを賞賛している人がたくさんいる。そこで書かれている大半に肯くことができるのだが、違和感もある。


雁屋さんが「鳩山由紀夫氏が公約を守ることが出来なかったのは、氏個人だけの責任ではない。我々日本人全体の責任だ」というのは、その通りだと思うし、それ以降に書いている米国の非道とそれに追従してきた自民党、そして鳩山首相を非難するマスコミが鳩山以上に腐っているというのもその通りだと思う。

しかし、わたしは鳩山首相を非難しないわけにはいかない。

確かに「一体今の鳩山由紀夫氏のような立場におかれて公約を守ること」は非常に困難だと思うし、それを提起したことは評価に値する。正直、3月くらいまでの沖縄をめぐる主張は期待以上の話でもあった。

じゃあ、どこを非難するのか。

鳩山首相が正直に今回は米国の圧力に屈服せざるをえませんでした、抵抗する術を持ちえませんでした、と言うなら擁護もできる。

しかし、そうは言わずに、ごまかしている。

ま、大目に見て、そう言えないにしても、せめて、5月は決着はあきらめます、米国依存から抜け出す道を探しましょうと言えばよかったと思う。

そういうことさえせずに、なんら沖縄の人を納得させる言葉を持たずにいるから、<沖縄の人びとは「鳩山は裏切った」とか「鳩山は嘘をついた」などと言って怒っている>。

その怒りには十分根拠がある。

確かに鳩山首相以上にひどい奴らはいるし、鳩山首相が辞任することになったら、次にでてくる奴はもっとひどいだろう。

だから、ここで退陣要求に加わることには、ちょっと抵抗はある。しかし、退陣要求はしないまでも、鳩山首相は「裏切った」「嘘をついた」と非難されて当然だし、そのように非難する沖縄の人を批判することは間違っているはずだ。

雁屋さんは<沖縄の人びとは「鳩山は裏切った」とか「鳩山は嘘をついた」などと言って怒っている>とだけ書き、それが悪いとは書いていないが、「敵を間違えるな」というタイトルの文章に、それがあり、「批判しているわけではない」という断りもないのだから、そのことを批判していると解釈されてもしょうがないと思う。

また結語近くで雁屋さんは以下のようにも書く
===
 沖縄の人々も、誰が鳩山由紀夫氏を潰したか、冷静に判断して、その怒りをその人々に向けるべきだ。鳩山由紀夫氏が公約を守れなかったのは、アメリカの意を受けた彼の力を上廻る連中がいたからだろう。
 沖縄の友人たちよ、間違えてはいけない鳩山由紀夫氏は真の敵ではない。
 真の敵はアメリカだ。
 敵を見失うな。敵に通じている裏切り者を見失うな。
===
ぼくの知っている沖縄の友人たちは、誰が真の敵か、誰が敵に通じているのかを雁屋さんに言われるまでもなく知っている。それでも、鳩山首相の今回の立ち居振る舞いは許せないものだったのだ。

このブログのいちばん最後の部分で雁屋さんは「これで、日本がアメリカの隷属状態から抜け出るのは早くとも21世紀半ばまでには無理だということになった」と書く。この5月末の鳩山首相の「最悪の中でも最悪の選択」(http://www.peoples-plan.org/jp/modules/article/index.php?content_id=58)は、政権交代というカードを使えなくし、再交渉を非常に困難なものとした。

しかし、辺野古は作れない、作らせてはいけない、そして、自民党の政権下でも作らせてこなかったのだ。だとすれば、早晩、再交渉は不可避になる。

この再交渉を誰が行うことになるのか、ぼくにはわからない。上で紹介した武藤さんの文章にもあるように、速ければ鳩山首相の任期の中で再交渉が必要になってくるだろう。

今回の選択で、再交渉の道はさらに困難なものにさせられてしまったが、それでも再交渉は必要になる。この列島に住む住民として、雁屋さんが正しく指摘しているように、沖縄から遠かろうと、基地から遠かろうと、怒る必要があるはずだ。

その怒りが、ちゃんと表現されるならば、政府は筋の通った再交渉に入らざるを得なくなる。まず、そのことが必要なのだと思う。

そして、もうすぐ国政選挙がある。米国にしっぽを振る、自民党や公明党の旧与党、そして、今回、鳩山首相の提案をつぶした民主党の連中を議員にしないことも大切だ。


雁屋さんの主張はほぼ正しいと思う。米国と対等に交渉させるための強力な社会運動が求められている。それを作ることに成功しさえすれば、もしかしたら、雁屋さんの目が黒いうちにアメリカの植民地ではない、この列島を見ることができるかもしれない。

何度でも言うが、今回の鳩山首相の選択は最悪の中でも最悪で、再交渉のハードルをかなり上げてしまったのだが、そのハードルを越えていく社会運動が求められている。

強力に見える米国の覇権もかなり危ういところまできているはずだ。とはいうものの、米国の覇権とそれに連なる体制を壊すのは容易ではない。また、米国の覇権が壊れて、別の大国の覇権に覆われてもしょうがない。そうではない道を探さなくてはいけない。

それは平和であるとともに、北と南の差別のない、持続可能な社会として描かれなければならない。近代以降の社会が問い返されなければならない、大きな転換点が間近に来ているのではないか。

世界は間違いなく流動化しはじめている。動き始めた社会がどこに着地するかは、まだわからない。もっとひどいところに行ってしまう可能性もないわけではないだろう。

ただひとつ、確かだと思うのは、一人ひとりが、こうあって欲しいと思える方向に向けて動かないという状況が続くならば、状況はひどい方向にしか向かわないということだ。


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