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zoom RSS 『再犯防止をやめれば再犯は減る』ってホントかな? (ほんの紹介、14回目)

<<   作成日時 : 2018/08/08 23:31   >>

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以下はたこの木通信に送った原稿だが、ちょっとだけ書き直しもしている。

『再犯防止をやめれば再犯は減る』ってホントかな?
(ほんの紹介、14回目)

 今回、紹介するのは吉間慎一郎著『更生支援における「協働モデル」の実現に向けた試論~再犯防止をやめれば再犯は減る』(LABO、2017年3,000円+税256頁)
その『協働モデル』のエッセンスについて、こんな風に書かれている。
@その人の能力と可能性に着目した支援のあり方が、社会のその人への偏見に立ち向かう力を与え、社会生活の回復を可能とする。
Aコミュニティへの定着のためには、当事者との協働に基づいた互助できる環境づくりが必要不可欠である。(21p)

 @の能力主義的なアプローチには?がつく。(と「たこの木」に掲載したときに書いた。『能力に着目する』という表現に反応したのだった。ここでこれは、『出来ないこ』じゃなくて『出来ること』を見ていこうという話として書かれているのだと思う。これを本当に否定していいのかどうか。追記ここまで))

能力や可能性を見る前に、その人が生まれて生きてきたことを肯定するといった態度が求められている。しかし、従来の更生支援が、その人が失敗してきたことに注目し、それをくり返さないというところばかり見てきたことと比較すると、前進した考え方だということができるだろう。

 この本のタイトルの「再犯防止をめざさない」ということの意味を「失敗したことに注目しない」支援ということもできるはず。91年生まれで司法試験に合格している著者が、それらの発想を山谷での活動で得たというところもいい感じだ。出来ないところを見るのではなく、出来るところを見ていこうというのは、障害者支援の場面でも言われてきたこと。しかし、興味深く面白いのはAの「当事者との協働に基づいた互助できる環境づくり」という、支援者が一方的に支援するのではなく、大切なのは被支援者との互助なのだという部分。

 そして、それだけでなく「支援者もいっしょに変わる」ということが強調されている。支援⇔被支援という関係の中で、被支援者が変わるだけでなく、支援者も学び、一緒に変わっていくというプロセスをつくること、それは障害者支援の場面でも必要とされている。

 ただし、「失敗したことに注目しない」支援というのが本当に可能なのかどうかは気になるところ。とりわけ、障害との関係で累犯してしまう人が失敗しないようにするというのは欠かせない部分ではないか?
ところで、この『協働モデル』に以下のような説明もある。重なる部分もあるが、再び引用する。
 ・・・協働モデルは、当事者との協議に基づいた互助できる関係性を基盤として 当事者の能力や可能性を広げていくものである。 支援が多数派による価値観の押し付けになってしまうことを常に警戒し、当事者本人が望む問題の解決策を支援者と協働して実現していくプロセスである。・・・
さらなるインタビュー調査から明らかとなったのは、立ち直りの過程においては、当事者とその周りの人々が相互変容をしていくことが重要であり、それが実現されるためには伴走者の存在が必要であるとともに、更生支援が当事者の人間関係の改善にも及んでいることで更生支援が最大の効果を発揮するということである。 (22p)

これが以下のようにまとめられる。
インタビューから見えてきた更生支援(立ち直り)に必要な3つのこと
@伴走者の必要性
A人間関係の改善の必要性
B相互変容の必要性 (36p)

Bに関してだが、相互に変わる必要があるという部分は理解できるが、変える必要のない変えがたい他の誰でもない自分という側面もあるのではないか? そして、Bの「相互変容の必要性」が目指すのは、支援する側とされる側との対等性・平等性の問題でもある。

 変えなければいけないことはある。それは支援者・被支援者の両方に。それを個人モデルで収斂させず、変えなければならない多くは社会の側にあることを自覚することも必要なのではないか。同時にネガティブ・ケイパビリティを獲得し、変えられないものを受け入れるということも必要となるはず。

 第7〜8章で協働モデルを実現する仕組みとして提案されるのは 「更生エキスパート構想」。これも興味深いのだが紙幅がない。興味がある人は全体のご一読を。障害者支援にかかわる人に参考になるところ沢山あるはず。

 (この本の読書メモ書き終えていません(追記 っていうか投げだしたままだなぁ)

〜〜〜〜〜

さらに追記。
ぼくがちょっと自慢したいのは、脚注の番号がずれてることを発見したこと。
編集部に出したメールは以下
『更生支援における「協働モデル」の実現に向けた試論』、とても画期的な内容で、興味深く読ませていただいています。
内容の感想などは後にして、とりあえず間違いと思われることを書きます。

それは脚注の「前掲注」と書かれた部分の番号です。私が気がついたのは74p〜の部分で、80pくらいまで確認したのですが、「前掲注50〜67、すべて番号がひとつズレているのではないでしょうか?

編集の方は気づいていなかったようで、しばらくして確認した正誤表を送ってもらった。

この弁護士会館ブックセンター出版部(LABO)。ホームページはあるんだけど、出版物の紹介とかはまだできておらず、間違いのアナウンスもない。

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