『蒲田の逆襲』 メモ

『蒲田の逆襲』 メモ



蒲田の逆襲: 多国籍・多文化を地でいくカオスなまちの魅力』

田中攝著
言視舎, 2016 - 241 ページ

以下、ホームページなどから
読むと住みたくなる! 時代が強いる過酷な環境の変化を受け入れてきた蒲田は、多国籍で多文化の先頭を走り、おまけに住みやすい。本気で「多様性」をいうのなら蒲田に学ぶべし!


リード文
「汚い」「危ない」「騒がしい」なんて、もう言わせません!多様性に満ち、東京でも比類のない多国籍で多文化なまちなのです。2020年に向けて、日本が本気で多様性を受けいれるつもりなら、蒲田を見習うべし。


解説
★都会でもない、田舎でもない「蒲田的」なる文化があります。時代が強いる過酷な環境の変化に果敢に挑戦してきたこのまちは、多様性に満ち、東京でも比類のない多国籍で多文化なまちなのです。でも、誤解が多い。ひどいレッテルも貼られています。それをひっくり返します。
★「汚い」「危ない」「騒がしい」「貧しい」なんて、もう言わせません!
★2020年に向けて、日本が本気で多様性を受けいれるつもりなら、蒲田を見習うべし。

★目次
第1章「蒲田」ってどこのこと?
第2章 江戸時代から挑戦つづきの「蒲田」〜戦前編
第3章 焼け野原からの復興力で逆襲~戦後編
第4章 ものづくりの力で逆襲~バブル崩壊後編
第5章 新種・異質大歓迎の土壌で逆襲
第6章 日本有数の飲食店舗数で逆襲
第7章 旧大森区・新領域の魅力で逆襲
第8章 都会的でもない、田舎的でもない、蒲田的


タイトルからして、チャラい本かと思っていたら、もちろん軽く読める楽しい本ではあるが、ちゃんとした中身もあるいい本だった。
例えば、羽田の48時間強制移転を紹介した後に、こんな記述が。
 私は沖縄の基地問題の報道をみるたびに、この羽田の強制退去のことを思い起こし、小関智弘さんが描いた『羽田浦地図』でのひとびとの姿が目の前をクロスしていきます。沖縄の基地問題は、決して東京の人間にとって、遠い地域の話ではないでしょう。羽田空港もまた大きな犠牲を強いたのです。羽田で暮らしてきたひとたちが築いてきた 、文化、産業、暮らしを奪ったわけです。 他の空港、大規模な公共開発工事の陰に、市井のひとびとがどれほどの犠牲を強いられるのか。そしてそれはいつかわからぬうちに、ある日突然、私たち自身にも訪れる可能性があるということを、この羽田の歴史は教えてくれるでしょう。84-85p


読んだ直後に読書メーターに書いたメモ
蒲田コアな本。いい本だと思うけど、ちょっと褒めすぎな感じも。間違いも発見。いちばん大きな間違い(誤植)は195頁のタイトルと目次。本門寺が本願寺になってる。これはちょっと…。あと、タイヤ公園が蒲田―大森間にあることになってたり。残念な欠落は下丸子文化集団をはじめとする戦後抵抗文化運動への言及がないこと。そういえば、この本がでた2016年の10月は道場さんの下丸子文化集団の本と同じ月。「稀しくも」というべきか。あと、個人的には「ふるさとの浜辺」から穴守に向かう海岸線散歩コースや森ケ崎鉱泉の話も欲しい感じ。





「ああ、いい街ですね、蒲田。ちょっと歩いただけだけど」
「でしょ。なあんか、懐かしい見たいな感じするよね」
「どことなく猥雑で小汚くて」
「そうそう『粋』が ない下町なの」
(『 イッツ・オンリー・トーク』から)(『蒲田の逆襲』37-38pから孫引き)


『蒲田の逆襲』ではこんなふうに書かれています。
 内容を深く読み込んでみれば、 そういう表現を含めて、効率主義、同調圧力の社会の歯車から少し外れかけた人たちにとって居心地のよい蒲田の温かさ、そんなものを感じさせる一冊でした。 無理矢理ポジティブに考え直したということもないではないですが、確かに内容は面白かった。38p
 

この本読みたくなって、図書館で文庫本を借りて読んだ。確かに【 無理矢理ポジティブに考え直し】てる。ま、それなりに面白かったのだけど、ぼくには著者が選んだという書店員の解説がいちばん面白かった。

小沢昭一さんの随筆集『 せまい路地裏も淡き夢の町』を引用し たあとに、こんな風に書かれる。
「蒲田モダン」という言葉も生まれ、昭和7年以降から戦争が激化するまで、蒲田は最先端の文化が生まれる新興都市であるとともに、周辺に自然と歴史で積み重ねてきた歴史的名所のあるまちとして輝いていたのでした。69p



羽田の48時間以内退去を紹介する節の中で、 小関智弘さんの『羽田浦地図』が引用されている。 空港の近くにあった巨大な看板群についての会話。
「まるで、きたない町だから屏風を立てて、外国の人に見られないようにしているみたい。馬鹿にしているわ」
「そうかね。俺には、羽田の人達が、こっちを見まいとしているようにね思えるぜ」
83p

そして、最初に引用したくだりが出てくる。
 私は沖縄の基地問題の報道をみるたびに、この羽田の強制退去のことを思い起こし、小関智弘さんが描いた『羽田浦地図』でのひとびとの姿が目の前をクロスしていきます。沖縄の基地問題は、決して東京の人間にとって、遠い地域の話ではないでしょう。羽田空港もまた大きな犠牲を強いたのです。羽田で暮らしてきたひとたちが築いてきた 、文化、産業、暮らしを奪ったわけです。 他の空港、大規模な公共開発工事の陰に、市井のひとびとがどれほどの犠牲を強いられるのか。そしてそれはいつかわからぬうちに、ある日突然、私たち自身にも訪れる可能性があるということを、この羽田の歴史は教えてくれるでしょう。84-85p



井伏鱒二の『本日休診』 映画も 蒲田の南雲病院がモデル。『実録 本日休診』という本もあるとか。

レディ・ジョーカーの舞台は大森警察じゃなかったかなぁと思って調べたら、半田修平は蒲田署だった。しかし、大森署も出てきている。捜査本部は大森署だったかも。

他に紹介されるのは『犬の掟』(佐々木譲)、『隠蔽操作』(今野敏)。小関智弘さんいくつか紹介されるが、個人的には『働きながら書く人の文章教室』に大田の話がいくつかでてきて興味深かったような気がするのだけど、読書メモにそのことは残っていない。

152pで紹介されるのが、漫画家かずといずみさんの『蒲田魔女』これも読んでみたくなった。

~~~
 それぞれの町に、それぞれの場所には、そこに合うファッションや構造というものがあるかと思います。しかし、蒲田にはそんなものは皆無と言っていいでしょう。おしゃれをしても、普段着でも、ちょっととんがった格好をしたって、どれもそんなに目立ちません。老若男女という言葉では足りない、さまざまなタイプの人が混在しているからです。 様々なタイプの人が集まりやすいというのは、それだけその土地に受け入れる土壌がなければ成り立ちません。 蒲田にはそういう土壌がたっぷり育っているのです。
 小沢昭一さんは、たびたび蒲田を「場末」のまちと言っていますが、それを良い意味で使っています。
 私は、みずから、東京の新開地育ち、場末ッコなどと称して、いわゆる江戸ッ子とは一線を画しています。
 
 江戸ッ子は固定した文化を持っているからどうしても保守的になる。こういう傾向に対しては、未だに抵抗があるんだな。私は、演劇活動の面でもそうだけど、伝統のようなものをこわして新しいものをついばんでいくのか性に合っているのです。
(随筆対談集②『せまい路地裏も淡き夢の町』から)
 『蒲田の逆襲』226-227p



最後のほうで「グローバル化と多様化を重視する人は蒲田を体験し、蒲田を知ることが必要」みたいなことが書いてあるんだけど、どうなんだろう。確かに雑多な街で、ぼくは大好きだけど、そこまで持ち上げちゃうと、ちょっと音痴あげ杉みたいな気がしないでもない。

蒲蒲線の紹介などもあるが、微妙にそれが必要がどうかという評価を避けてるところなども好感が持てた。










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