オープンダイアローグで精神医療が変わればいいな(2)(「ほんの紹介」20回目)

たこの木通信2019年10月に掲載した原稿

オープンダイアローグで精神医療が変わればいいな(2)

(「ほんの紹介」20回目)

 先月 https://tu-ta.at.webry.info/201912/article_4.html の続きです。で、そのオープンダイアローグ(OD)って何かって話です。先月、斎藤環さんが「ODが精神医療全体を変えていく可能性を持つ」と書いているのを引用しました。薬は対処療法にはなっても、病気がきっちり直ることにつながらないと、斎藤環さんが言っているようです。

ODは、薬に頼るのではなく、当事者と家族などの関係者と訓練を受けた複数の治療チーム(医師が必ず入るわけではない)で対話をする、それも中身のあるほんとうの対話をするということが治療につながるというもの。当事者の話、それが妄想であったとしても、その人の話を否定せずに、しっかり聞き、その人が話しやすい場を作り、その場の声なき声も聞き取れるような営みを行うこと、単に聞くだけでなく、対話的に聞くこと。そして、本人のいないところで、本人のことを話さないこと、希望があってから24時間以内に話し合いの場を作り、それを繰り返すこと、そんな方法で急性期の統合失調の人も回復につながっているとのこと。しかし、薬や入院を100%否定するのではなく(保険として)最小限度使うこともあるようです。

フィンランドの田舎の一地方から始まったこんな動きが世界各地で注目を集めています。これが始まったフィンランドの田舎で入院のための精神病棟のベッド数がかなり削減されたという話も紹介されています。

そして、ぼくが面白いと思ったのは、これが単なる治療のための技法ではないという部分。前回紹介したWebから誰でも入手できるガイドラインにはこんな風に書いてあります。

・・・単なる「技法」ではありません。それが主として「統合失調症のケア手法」として発展してきたのは事実ですが、この言葉には現在、3つの側面があるとされています。すなわち、オープンダイアローグはこの地域の精神医療の「サービス提供システム」であり、「対話実践」の技法であり、その背景にある「世界観」を意味する場合もあります。

この最後の「世界観」という部分に注目したいと思ったのでした。つまり、これが世界観であるなら、システムや技法が厳格に適用されない場合でも、応用が可能なはずで、ガイドラインにも似たようなことが書かれています。

システムとして、厳格に扱うのであれば、この仕組みでもっとも作るのが難しいと思われるのは、24時間以内にチームを派遣するという体制でしょう。しかし、これがなくても、当事者の妄想も含めて、その人の話を否定せずに、しっかり聞き、その人が話しやすい場を作り、その場の声なき声も聞き取り、単に聞くだけではなく、対話的に聞くというような営みを行うことは、さまざまな場面で応用できるし、可能で必要なことだと思うのです。

また、ODでいちばん大切なこととして扱われているのが「クライアントのことについて、スタッフだけで話すのをやめる」ということです。OD発祥の地であるケロプダス病院で、このことを決めた1984年8月27日。この日は、オープンダイアローグの歴史にとって、特別な日」になり、「この一日で、何もかもが変わったのです」ODガイドラインの冒頭に書かれています。

前述のODガイドラインにはその重要な原則として「本人のことは本人のいないところでは決めない」という記載があります。森川すいめいさんがフィンランドで訓練を受けた際に、決めないだけでなく、本人のいないところでは話さないのだと言われたと、どこかで書いていました。実際の支援にかかわっていると、これ、けっこう大変な部分もありますが、さまざまな支援の場面で、最大限そうしていくのだという決意は必要なのだろうと思ったのです。

(来月に続・・・・・・けるか別で行くか??)

ODに興味がある人はこのいいかげんな紹介じゃなくて勉強したほうがいいです)

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