『新版障害者の経済学』は新版になって変わった(か?)(1)(ほんの紹介25回目)

たこの木通信2020年3月に掲載した原稿(少しだけ訂正)
~~~

『新版障害者の経済学』は新版になって変わった(か?)(1)

(ほんの紹介25回目)


新版になる前の本より格段に共感できる。

前の本のぼくの読書メモは以下 https://tu-ta.at.webry.info/201108/article_13.html

 この新版で微妙な感じはあるが慧眼だと感じたのは以下

「優性思想はあえて持つものでもないし、克服するものでもない。人間の置かれた状況によって知らないうちに自然と出てくるものである。犯行動機がどうあれ、それに共感する意見があったとしても、私たちの社会に”社会的弱者”と共生できるだけの経済的そして精神的な余裕があれば、魔物を封じ込めておくことが出来る」 

これ、わかりやすい経済学者ならではの視点と言えるかも。
 この本の霞ヶ関官僚による書評がWebにある。

「脳性まひの子息を持つ経済学者が障害者問題を徹底分析」 https://www.j-cast.com/trend/2018/07/12333692.html

 ここに書いたコメント

昨今、忖度ばかりして情報は隠し改竄するというとても評判の悪い『霞ヶ関官僚』が読む本と銘打たれた官僚による書評。しかし、そつなくまとめられており、ダイジェストとしてもよくできた書評だと思う。それはこの本のロジックが官僚にも受け入れられやすいものでもあるからだろう。ただ、現在の硬直した官僚組織にはこの提案を受け入れる度量がどれだけあるのか、疑わしい気もするが。

現状の安倍政権が変わらなければ、こんな風に理解力のある官僚もどんどん腐っていくだけなんじゃないかという危惧も残った。

というわけで、この本の内容を知りたい人は上記の書評をどうぞ。

 著者はB型事業所について、平均20日通ったら、施設が得られる報酬は116千円であり、利用者が得る工賃の平均額が16千円であることを指摘し、当事者がその金額を現金で支給することを求めても得られない、これを奇妙な現象としたうえで、以下のように書く。

・・・。もし、施設に通ってわずかな給料をもらうことよりも、より楽しく有益な有料サービスがあるならば、そちらを選択した方が社会全体の効用は増えるはずだ。このように、福祉サービスという画一化された”杖”の存在によって、障害者が実際にどのようなニーズを持っているかは極めて見えにくくなっているのである。

ここをフェイスブックで紹介したとき、岡部さんからで、つるたさんはどう思うんですか? と、突っ込まれた。
 それへのぼくからの返答が以下

自分たちの仕事のこと、ときどき、このことを考えます。

そして、訓練等給付の通知を見た家族から直接、「そのままもらったほうがいい」言われることもあります。

税金を使う意味のあるサービスを提供できているか?

職員の飯のタネになることがメインになっていないか?


意味がありそうだと思えるのは

1、就労移行には2年という年限があるので、2年では就労につなげるのが難しい人を就労につなげることができた場合

2、受け入れられ、そこで存在が承認されるコミュニティが必要な人のコミュニティであること

にしても、ダイレクトに支払われること以上のことができているかどうか、常に問われているという自覚は必要なのだろうと思っています。


話はがらっと変わるが、福祉施設でセックス/マスターベーションのやりかたを教えることは御法度であると書かれている。これには根拠がないはず。もちろん、ほとんどのところで教えてはないが、禁じられているわけではない。

 40頁の注(6)によると、2017925日のクロ現で施設職員が否定的な発言をしたから、とのこと。そんな職員は少なくないだろう。しかし、「御法度」は言い過ぎ。

 次号ではこの本の「障害の社会モデル」に関する理解の浅さについて突っ込む予定。


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント