『社会はこうやって変える!』メモ2(序章と1章のメモ)

https://tu-ta.at.webry.info/202106/article_5.html の続き

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序 章 コミュニティ・オーガナイジングへの誘い
最初に記載されるのはこの本の目的

「どのように変化を生み出していくことができるのか」ということ。(為政者の)政治的な意思決定に影響を与える方法。(1p)

著者は(既存の)抗議行動では実際の変化に結び付く方法を欠いている というようなことを書いている。(2p)

そして、この本は「象徴的な抗議行動からパワーと変化のための戦略と移行する方法を示している」と書かれている。それは大切なことであり、この本の価値だと考えるが、「抵抗」や「抗議」を安く見積りすぎているのではないかという感じもぬぐえない 。この本に関する大きな論点は「抵抗」や「抗議」をどう見るか、というところにあるのではないかと感じた。

その上で、著者が変化のために必要だと説くコミュニティ・オーガナイジング(以下、長いのでたまにCOと略するかも)の本質として、以下のように書かれている

コミュニティ・オーガナイジングの本質

 出発点は次の通りだ。もし変化を望むのならば、パワーが必要だ。共通の利益をめぐって、他の人々との関係を通してパワーを構築するのだ。そして、共に直面している大きな問題を具体的課題に分解し、必要な変化を作り出せるパワーを持っている意思決定者が誰なのかを特定することが重要である。それから、意思決定者の反応を引き出すアクションを起こして、彼らとの関係を構築する必要がある。もし、彼らが変化を実行することに同意しないのであれば、アクションのレベルを上げるか、より創造的な戦術を駆使することになる。そして、実践しながら学び、徐々に小さな成功体験を積み重ねながら、より大きな課題に対する準備を進めていく。こうした戦略を可能にするために、コミュ ニティ・オーガナイジングと呼ばれるアプローチを構成する一連のスキルやツールが存在している。3p

この書き方が巷の自己啓発書そっくりという指摘があった。確かにそういう側面もあるかも。

ともあれ、ここから、そのCO(コミュニティ・オーガナイジング)のスキルやツールの紹介に入っていく。

その前に、このコミュ ニティ・オーガナイジングが特定の課題に関心がある人のためのものではなく、民主主義そのものの問題だと著者は書く(4p)。 民主主義が投票行為とかに矮小化されがちだが、そうではなく、「民主主義は人々のパワーを意味している」(5p)、と書かれている。「メモ1」でも書いたようにこの「パワー」、微妙だ。それは文字通りの「力」でもあり、権力を持つことでもある。さまざまな左翼の政治運動、権力奪取運動はみずからの「権力」は過渡的なものだと位置付けて始まったが、それはその後、桎梏に変わっていった。

形式的な代議制民主主義ではなく、参加による民主主義こそが力になり、それが権力の源泉になるべきだと思うが、それが継続して機能している例はあまりないようにも感じる。

ともあれ、参加型民主主義は反対意見の人にも開かれていなければならないし、その同意に至るプロセスこそが大切だと呼べるような民主主義の方法が問われている。また、その参加をどう促すかという大きな問題もある。

そして、この章では悪しきポピュリズムの象徴として、ブレグジットとトランプ現象を例にあげる。それが人々を分断させるポピュリズムであると。そうではなく、新しいポピュリズムが必要だ、ポピュリズムを再生させなければならないというのが著者の主張だ。

新しいポピュリズムは多くの人々が自らの利益を追求して政治に参加することであって、政治家による分断統治の手法としてのポピュリズムではなく、人々のための人々による民主主義としてのポピュリズムだという(7p)。

求められているのは、人々が自らのよりよい仕事や住居のために、コミュニティに影響を与える決定に、より影響を持つこと。多くの人々の参加を可能とするポピュリズム。

そう、この本で描かれるのは政策、政党、国会についてではなく、人々が直接に決定のプロセスに関与する、その方法。


「変化に結びつかない運動何が欠けているのか?」

という節があるが、ここでオキュパイ運動を例に、変化のための方法と戦略が欠けていると指摘する。イラク反戦運動についてもそのように記載するが、では、それらのとき、どのような方法や戦略を持つことができたのかという記載はない。 具体的な身に見える変化を生むための方法や戦略が立てにくいテーマがあるのではないか? それがなければ、抗議しないほうがいいのか? 大きな課題にも「変化を起こしはじめるために役立つだろう。それは成し遂げられるものだ」とこの章の最後には書かれているが、このCOに関する課題はそのあたりにあるのではないか? というような疑問を抱きつつ、メモは第1章へ。


第 1 章 変化を起こすためにはパワーが必要だ

最初にビートルズの歌詞が援用される。邦題は「愛こそはすべて」原題は All You Need Is Love。

ここでは直訳が記載されている。「あなたにとって必要なものは愛だけだ」と。そうじゃなくて、パワーが欠けているというのが著者の主張。そして、パワーについてのネガティブなイメージを変えるべきという。

蛇足だが、このビートルズの歌の意味について、以前、内田樹が書いていたのが「君に足りないのはね、愛だよ愛」という訳。(いまはその文章は消えてツイッターで他の人が引用したものだけが残っている)。ベトナム戦争の時代にジョン・レノンは、愛がないから、こんな戦争が起きてしまうんじゃないかという歌を作ったのだと思う。そうじゃなくて、著者はパワーが足りないのだと主張する。

このあたりに、この著者の表現のわかりやすさと同時に危険が潜んでいるように感じた。COは必要で、日本でもちゃんとここまら学ぶ運動が必要だと思う。そこに変化をもたらす「力」が必要なのも間違いない。さらに、人を動かすための「自己利益」という動機も欠かせない要素だろう。しかし、この分断された社会で、現に多くの人は自己利益のために動いている。人を押しのけてでも、自分(あるいは身近な人)だけの自己利益を得られれば、それでいいというような社会に私たちは住んでいる。それでは地球上に人間が生活できる環境が維持できないとか、多くの人が気持ちよく生きていくことができない、とか関係なく、自分(あるいは身近な人)だけの自己利益を追求することが引き起こした問題も多いのではないか、それが新自由主義経済だったのではないか。

そのような既存のメインストリームに対抗するために、COはあるのだろう。だとしたら、大切なのはパワーと自己利益、という言い方は、やはり不十分だと思う。それが従来の社会運動に大きく欠けていたという指摘が当てはまることは多いが、COがめざす方向、あるいは価値の提示は必要なのではないか?

この本ではパワーの偏在を許しているのは、パワーがないからだ、と主張する。よりよい社会、正義のためにパワーが必要だという。

これらの議論の前提として、「人々は強い道徳観を持っている」(28p)ということが前提になる。このあたりが納得しにくいところだ。


まず、例に挙げられるのが、大学での生活賃金キャンペーンの経験(28p~)。大学の清掃をしている移民の労働者、最低賃金程度の時給5.35ポンドとのこと(1ポンド145円で計算すると776円程度)。シティズンズUKという著者が現在、事務局長を務める団体で、彼自身が最初に取り組んだのがこの課題だったとのこと。このシティズンズUKという団体がどんな性格の団体なのか、本を読んでもよくわからない。で、この大学の話、箇条書きに整理する(29p~)

・当事者に声をかけ、顔見知りになり、当事者と話を出来る関係を作り、事情を聞くところから始まる。

・状況を知れば知るほど、怒りがこみ上げ、副学長に状況についての長い手紙を書く。しかし、反応はない。

・状況を説明してくれた人が電話に出なくなる。著者と話しているところを見られ、クビと脅されただけでなく、入管に報告するとも脅されていた。(彼は正式なビザを持ってなかった)

・そして、大学で30年働いている女性を紹介してくれた。

・キャンペーンの会合に最初は10人、次に15人が参加。

・従業員の削減や設備の老朽化などの情報を集める。

・連携相手を探し、会いに行く。大学の研究者、学生自治会の代表、労働組合渋野書記長を会合に招き、キャンペーンに参加。

・副学長あて、ビデオレター作成。大学以外のコミュニティのインタビュー。大学の評判に傷がつくかもしれない「問題のある記録書類」も添付。

・大学側から契約している清掃会社の問題であるとの返答。

・評議員会の日にデモ。先頭に年配のシスター。後ろに100人くらい。みんなでモップをもって談笑しながらゆっくり歩く。大学側は過剰反応。犬を連れた警備員を配備。地方紙が写真付きの記事を掲載。「シスターでも誰でも入れない」との見出し。

・副学長と財務責任者と会って話す。大学上層部は劣悪な状況を知って驚いていた。

・大学は下請け会社との契約を止めて、直雇いにし、生活賃金や年金を保障。

・この経験で変化は可能であること、この変化を生み出す方法を使えることを実感。

・パワーが変化う生み出した。


では、これがイラク反戦やオキュパイのときの行動に援用できるのか?

それらの行動は必要ないのか、そんな疑問が湧いてくる。


2章以降のメモが書けるかどうかは不明

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