区立生活介護施設定員増員計画の経過・問題点・今後の方向性(by 西嶌和徳さん)

2021年8月21日開催された、

第1回 障害者権利条約から考えるおおたのこれから 

「大田区の障害者福祉計画」等を学びながら、 障害者権利条約の具体的実現をすすめよう https://www.facebook.com/events/2969885236592286

という集まりでの西嶌和徳(大田障害者連絡会/東京自治問題研究所理事)さんの報告の資料。許可を得て転載。(ワードから移動する際に体裁が一部崩れました。ごめんなさい。出来るだけ修正しましたが、まだ直せていないところもあるかも。)
一部、私の思い入れの強い部分を勝手に太字にしてます。

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参 考 資 料(2021年7月現在)

「区立障害者施設整備・活用方針の実施について(12月1日区議会健康福祉委員会)」「区立障害者福祉施設整備基本計画の策定及び住民説明会の実施について(3月8日同上)」を含む経過と問題点、今後の方向性


1,経過(関係計画及び指針等)

 ※「区立障害者施設整備・活用方針の実施について」に、関係する経過(計画等の資料を含む)を、大田区ホームページから拾い集約・整理しました。

[大田区ホームページ]→[区政情報]→[区のプラン(計画や施策など)]→[個別分野のプラン]→[福祉]→[おおた障がい施策推進プラン]となりま す。この中に[おおた障がい施策推進プラン(令和3年度から令和5年度)][同(平成30年度から平成32年度)][同(平成27年度から平成29年度)]があります。また、[大田区障がい者施策推進会議]もあり、そこを開くと[設置要綱及び委員名簿][開催概要]があります。[開催概要]には各回の配布資料及び(前回の)会議録等が掲載されています。書面会議の場合は意見一覧が掲載されています。また、Web開催の時の意見・回答も会議録に掲載され、丁寧な内容となっています。

 ※[おおた障がい施策推進プラン][大田区障がい者施策推進会議]ともホームページサイト内検索でヒットします。

※大田区議会の資料は[大田区議会]→[会議の結果・記録]→[委員会]→[委員会資料]→[令和2年]→[健康福祉委員会]→[11月30日・12月1日]に「福祉部資料79(1)(2)区立障害者施設整備・活用方針の実施について」が掲載されています。

また、[令和3年]→[健康福祉委員会]→[3月8日]に「福祉部資料117(1)(2)区立障害者福祉施設整備基本計画の策定及び住民説明会の実施について」が掲載されています。なお、同[2月26日・3月1日]に「福祉部資料107(1)(2)(3)おおた障がい施策推進プラン(素案)への大田区区民意見公募手続(パブリックコメント)及び区民説明会(説明動画)の実施結果について」が掲載されています。その(2)が「意見の要旨と区の考え方」の一覧表で、1~171の意見の要旨に区の考え方が示されています。


  • 令和2年度第1回大田区障がい者施策推進会議
  1. 現行の「おおた障がい施策推進プラン」進捗状況について(資料1)

〇現行の「おおた障がい施策推進プラン」進捗状況について(資料1)には以下の様に記載されています。
   →平成30年度実績 〇区立施設の機能見直し・強化

  • 既存の区立障がい者施設機能見直し等を検討
     サービスを必要とする方の増加や障がいの重度化などへの対応に向けた検討
      →令和元年度実績 〇区立施設の機能見直し・強化
  • 既存の区立障がい者施設機能見直し等を検討 
    徳持高齢者在宅サービスセンター閉所に伴う施設活用により、令和3年度の生活介護事業(重症心身障害者通所事業含む)定員増を図る。

2)次期おおた障がい施策推進プランの策定について(資料2)

〇次期おおた障がい施策推進プランの策定について(資料2)には以下の様に記載されています。

・大田区障がい者施策推進会議 「次期プラン策定にあたっての検討等を行っていただきます」

・区においては、関連する部局の管理職で構成する「庁内検討委員会」を開催し、検討・調整を行います。


  • 令和2年度第5回大田区障がい者施策推進会議
  1. おおた障がい施策推進プラン(案)(資料3)、素案からの主な変更点(資料4)

 〇素案からの主な変更点(資料4)には以下の様に記載されています。

  • 6「第4章1-1(1)日中活動の場の整備」「区立施設の機能見直し・強化」に具体的な整備計画を追加、

  〇具体的には、生活介護施設の定員増を図るため、大田生活実習所、南六郷福祉園、新井宿福祉園の改築、改修に取り組みます。また、重度心身障害者通所事業や短期入所などの拡充に取り組みます。」を追加

  1. おおた障がい施策推進プラン(素案)への大田区区民意見公募手続(パブリックコメント)での意見の要旨と区の考え方(資料2)

  〇39、46に区立障害者施設整備に関わるパブリックコメントがありました。

  • 39「令和4年から区立障害者福祉施設整備が始まり、完成後、南六郷福祉園・くすのき園は定員203名、大田生活実習所は160名と今までにはない大人数体制となる。増築するとは言え、既存の敷地内にこれだけの人が日中に集団生活を過ごすというのは安全性に問題を生じる。(災害時の避難など)動空間を確保し、のびのびとした活動が行えるような施設整備をお願いしたい。」
    区の考え方「施設整備にあたっては、利用者支援に必要な機能設備をっかり置きこむとともに、建築基準法や消防法等の関連法令を遵守して安全性を確保した建物としてまいります。

  • 46「区立障害者施設整備の実施において、南六郷福祉園・くすのき園の建物内で短期入所の実施を計画中と聞いている。ぜひ実現してもらいたい。また、緊急一時保護としての機能確保もお願いしたい。」
    区の考え方「「区立
    害者施設整備・活用方針」において、計画全体の中で、短期入所を置きこむこととしております。短期入所では、緊急的な保護についても対応しております。」

  • 39のご意見はもっともなご意見と思われます。

  • 46に対する「区の考え方」に「区立障害者施設整備・活用方針」において、と表記されていますが、パブリックコメントを区民に求めた段階では「区立障害者施設整備・活用方針」なるものは、「プラン(案)」と同じように区に広く公開されたものではありません。区議会議員、当該施設関係者におおよそ、その範囲は限られるのではと想像されます。

  • おおた障がい施策推進プラン(大田区障害者計画、第6期大田区障害福祉計画、第2期大田区障害児福祉計画、大田区発達障がい児・者支援計画)(令和3年度~令和5年度)

  〇以下の様に記載されています。「おおた障がい施策推進プラン(令和3年度~令和5年度)が令和34月に発表され、一般区民は初めて「生活介護施設の定員増を図るため、大田生活実習所、南六郷福祉園、新井宿福祉園の改築、改修に取り組む」ことを知る、という経過になります。

  • P.63 (1)日中活動の場の整備「区立施設の機能見直し・強化」

特別支援学校の卒業生等が利用する日中活動の場となる生活介護施設等確保していくため、区立施設の機能を見直し、拡充・強化を図ります。

具体的には、生活介護施設の定員増を図るため、大田生活実習所、南六郷福祉園、新井宿福祉園の改築、改修に取り組みます。また、重度心身障害者通所事業や短期入所などの拡充に取り組みます。所管課 障害福祉課


  • 大田区議会 健康福祉委員会での所管事務報告

〇大田区議会には以下の様に「所管事務報告」として、以下の通り報告されている経過となっています。

  • 12月1日(火)開催の健康福祉委員会にて「区立障害者施設整備・活用方針の実施について」が「所管事務報告」されている。
  • 31日同委員会にて、「おおた障がい施策推進プラン(素案)への大田区区民意見公募手続(パブリックコメント)での意見の要旨と区の考え方」が「所管事務報告」されている。
  • 38日同委員会にて、「区立障害者福祉施設整備基本計画の策定及び住民説明会の実施について」が「所管事務報告」されている。

※これら3点の資料は大田区ホームページサイト内検索ではヒットしません。大田区議会のホームページ(サイト)から、入ってください。


  • 区立障害者福祉施設での説明・質疑

〇今のところ以下の様な経過が伝わっています。

  • 12月22日新井宿福祉園役員に曽根障害福祉サービス担当課長が説明、質疑が行われています。
  • 新井宿福祉園 細谷英一名で「区立障害者施設整備・活用方針の実施についての補足説明及びアンケート」という文書が出されています。
  • 大田生活実習所(社会福祉法人睦月会、父母の会、利用者自治会)、南六郷福祉園・くすのき園(社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会、各施設の「家族会」「利用者会」、新井宿福祉園(社会福祉法人大田幸陽会、「家族会」「利用者会」)へ、それぞれ説明・質疑は行われていると思われますが、正確なところは、障害福祉課、それぞれの障害者福祉施設に問わないとわかりません。当然、運営法人とは説明・質疑の前に相談・協議が行われている、と思われますが、それも障害福祉課、それぞれの障害者福祉施設に問わないとわかりません。

  • 大田区公共施設等総合管理計画に基づく取組み事業(令和2年度~6年度)

〇以下の様に記載されています。

  • 障がい福祉施設 ①施設更新時において可能な限りの容積の活用や既存施設の改修、転用等により、障がい福祉サービスの提供量を確保する。

  • 大田区公民連携基本指針

〇この基本指針には「公民連携における原則」を以下の通り、記しています。
・5 公民連携における原則 
 (1)課題と目標の共有の原則
 (2)対話の原則
 (3)公平性・透明性の確保の原則
 (4)アイディア保護の原則
 (5)役割分
担及び責任の明確化の原則

  • 近隣住民へのお知らせ及び質問・意見聴取

  • 大田区役所ホームページ、福祉>障がい者の支援>トピックス>大田区立障害者福祉施設整備計画及びご意見・ご質問に対する区の考え方について、から以下の点がうかがえます。

  • 令和3年3月「大田区立大田生活実習所の近隣にお住いのみなさまへ」というあて名で「大田区立障害者福祉施設整備計画のご案内と大田区立大田生活実習所の改築についてのお知らせ(A41枚)」と「大田区立障害者福祉施設整備基本計画(概要)(A31枚)」が(説明会ではなく新型コロナウィルス感染状況を鑑み)戸別に配布(配布範囲、配布数は記載されていません)されています。

  • また、同様に「大田区立南六郷福祉園・くすのき園の近隣にお住いのみなさまへ」というあて名で「大田区立障害者福祉施設整備計画のご案内と南六郷福祉園・くすのき園の改築についてのお知らせ(A41枚)」と「大田区立障害者福祉施設整備基本計画(概要)(A31枚)」が(説明会ではなく新型コロナウィルス感染状況を鑑み)戸別に配布(配布範囲、配布数は記載されていません)されています。

  • 3月30日から4月30日まで意見及び質問が募集され、大田生活実習所に関して13名の方から質問・意見が出され、南六郷福祉園及びくすのき園についてはなかった、としています。

  • 大田生活実習所に関しての質問・意見に対し、同ホームページに、「大田生活実習所に関する意見の要旨と区の考え方」が掲載されています。

  • 令和3年度第1回大田区障がい者施策推進会議 

・令和3年7月1日(木)13時30分~14時20分、令和3年度第1回大田区障がい者施策推進会議が、新型コロナウィルス感染症拡大防止のためWeb会議で開催世れています。ホームページに掲載されている「書面参加者意見一覧」には「大田区立障害者福祉施設整備計画」に関わる記載はありません。また「同計画」に関わる資料もありません。


2,問題点

  • 「区立障害者施設整備・活用方針の実施について」は「案」の過程がない。
    →「1,経過」を振り返れば明らかな通り、12月1日に区議会健康福祉委員会に報告後、「既定路線」としてすすめられようとしていると伺えます。
    →「区立障害者施設整備・活用方針の実施について」「区立障害者福祉施設整備基本計画(概要)」はいかなるプロセスで作られたものかが明らかにされる必要があります。
    →「当事者参画(私たち抜き私たちのことを決めないでください)」という最も重要なプロセスが欠落している可能性が高いと思われます。
  1. 「区立障害者福祉施設整備基礎調査(令和元年10月~令和2年3月実施)、区立障害者施設整備・活用検討委員会(令和2年3月2日実施)での協議を経て、下記の通り実施することとした。」となっており、この「基礎調査」と「検討委員会」が本計画の理由・根拠となっているが「基礎調査」も「「検討委員会」も大田区障がい者施策推進会議の次第(議題、報告、資料)にない。

    したがって、区ホームページへの掲載もない。
    →情報公開の不十分さは言うまでもありません。

  1. 「特別支援学校の卒業生等が利用する日中活動の場となる生活介護施設等を確保していくため」ということであるにもかかわらず、今後の卒業生等の予定数見込みが明らかにされていない。
    →これまでの障害者福祉施設の設置(建設)計画においては、卒業生等の予測数及び地域バランスを当然考慮してきた経過があります。

  1. 利用者の安全を考慮していない。
    →福祉施設の建設にあたっては火災時における安全を最大限考慮する必要があります。また、施設内における事故を極力少なくすることを考慮しなければなりません。この点から、福祉施設の火災を教訓に施設(建物)そのものを大規模から小規模へ、が当然の潮流です。ましてや、園庭等は避難時の重要な空間であり、それらを『活用』して大規模施設を計画することの問題が全く検証されていないと思われます。もちろん、水害、地震対策も言うまでもありません。

  1. 利用者の安定や生活の質や支援プログラムの質を考慮していない。
    →大規模施設(この場合「大型建造物施設」の呼称が適切かもしれない。なぜなら、広大な敷地面積に建物があり多くの利用者の入所施設としてきたコロニーとは質を異にする。敷地いっぱいに法律に抵触しない建物の施設、という意味で大型建造物施設がニュアンスとしては合う)は、多くの死角を生み、危険個所も多くなります。それに伴い、利用者の行動の規制が多くならざるを得ません。また、支援プログラムの多様性、可能性を奪い、「定型的」なものになってしまいます。園庭などがなくなることは、当然そこで行われていたプログラムが室内(ホール内バージョン)に置き換わらないとなくなることになります。もちろん室内の場合は高さの確保が限界となります。園祭なども現在よりも「制限」の多い内容にならざるを得ません。

  1. 代替施設への「異動」そして改築された新施設への「異動」の負担は相当。
    →多くの利用者が初めてのところに慣れるには多くの時間を要します。不安定になってしまう事態を極力避けるように計画することは重要な視点であることは言うまでもありません。

3,今後の方向性

  • 新たな適切な土地に新施設を建設する 
    →現在の区内生活介護施設の配置分布、通所バス運行の観点からの道路状況、通所バスの停車・利用者乗降スペース、自家用車による送迎乗降スペース、火災等災害時における一時避難可能なスペース、施設周辺地域の道路事情、周辺建物等との調和、そして利用者定員を勘案し、より適切な土地を購入、また国有地・都有地・区有地等の活用をはかることが重要です。
  • 区の持つ公共施設で、今後転用可能なものを活用する
    →今後、「公共施設総合管理計画」から、統廃合や増改築等が行われる機会を活用する場合も、①に記した内容は、当然勘案される必要があります。

  • 科学的に検証を行う
    →大規模通所施設(大型建造物障害者通所施設)を(人間)科学的に、その欠点・利点を検証することが重要です。一方小規模障害者通所施設の欠点・利点も検証することは重要ですし、その場合欠点として挙がったことをどのように軽減するかという探究も同時に重要です。

4,終わりに

 「令和年度以降の利用希望者の受け入れが困難になる」と、されている、ことからすれば、一般的に概ね2年の設計・建設期間を必要とされることを差し引いて、令和3年度~5年度の3年間は最大、計画づくりにあてることが可能です。

令和6年度の予算(案)は令和6年の2月から開催される第1回定例区議会にはかられることになるので、そこに間に合えば良いことになります。したがって、時間的には、是が非でもこのスケジュールしかない、というものではないと思われます。

 最も重要なことは、そこが生活の場となる利用者一人ひとりにとって、安心、安全、安定の場が確保される計画か、ということです。生活の質がより高まる可能性をもてる計画か、ということです。それはわが国が障害者権利条約を批准するにあたって、「私たちのことを私たちに聞かないで、勝手に決めないで」という最も根源的なルールを確立してきたこととも関わってきます。生活介護施設の利用者の皆さんの意思決定、意見反映については、その障害の重さゆえに、より丁寧でなければならないことは言うまでもありません。国際障害者年以降、障害者福祉施策に力を入れてきた大田区が、当事者の願い、思いを大切にし、引き続き「さすが大田区」と言われる計画にしていくことが求められています。


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西嶌さんの資料はここまで

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以下、この日の鶴田の報告レジュメは https://tu-ta.at.webry.info/202108/article_6.html


この件について、区側の説明を個人的に聞いた報告は https://tu-ta.at.webry.info/202109/article_6.html

これら二つに書いたように、西嶌さんとは若干意見が異なる部分もありますが、まず、彼がこの問題に気づき、提起し、詳細にまとめてくれたことに感謝します。

ともあれ、西嶌さんも書いているように、ほとんど公の議論がないまま、すすめられていることに大きな問題があると思います。
また、今後の日中支援の在り方をどうする議論が必要なはずなのに、そのことを無視して、40年は使う建物を、既存の庭をつぶしてつくることがよいとは思えません。


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