女の町フチタン(読書ノートから)

昔使っていたメーラーに残っていた読書ノート。
環境・平和研究会のMLへ投稿したものを掲載。日付はTue, 29 Oct 2002となっている。

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読んでいる方も多いと思いますが、・・大好きな本です。

とっても魅力的なフチタンの話です。
いつかは行きたいと思ってるのですが、なかなか。
フチタンってサパティスタの場所のすぐ近くなんですね。両方行きたいなぁ。

で、以下、ぼくの読書ノート(抜書き)からの転載です。この本の面白い部分はここにはあんまり入っていないとも言えるのですが。

==以下、読書ノートから転載==
女の町フチタン―メキシコの母系制社会
ヴェロニカ ベンホルト=トムゼン Veronika Bennholdt‐Thomsen (著/編集), 加藤 耀子 (翻訳), 五十嵐 蕗子 (翻訳), 入谷幸江 (翻訳), 浅岡 泰子 (翻訳)
藤原書店 (1996年12月刊)


近代市場経済のメカニズムに対抗して、自立性を主張すれば、人々は危機を回避できる。しかし、そのような自立性が発展によって失われていくと、生存のための生産も機能化される。つまり、生存のための生産は、世界市場の変動に巻き込まれると、ただちに容易ならざる状態におちいる。しかし、サブシステンス生産が、金融経済、商品経済の純粋な再生産機能に堕すことのなかったフチタンでは、生存の自立的基盤は強化されうる。地方経済が国際金融経済と商品経済に統合されてしまってさえも、自立したアイデンティティはやはりなお、サブシステンス志向をささえることができるのだ。成長経済の貫徹をめざす開発政策の圧倒的な力からみて、とても可能だと思われなかったこれらの現象が、フチタンの調査の結果わかったことである。

「サブシステンス生産」という概念は、私たちの考察においては、中心的役割をはたすものだから、ここでまず簡単に説明したい。一般にはこの言葉は、直接に生存するために必要とする、あらゆる行為をさす。この視点から、すなわち下から、日常の場から社会を考えるまでには、それなりの研究の歴史と展開があった。出発点は七〇年代後半における「ビーレフェルトの発展社会学の学者グループ」の考察であった。レナーテ・オットー=ワルターの要約によると、第三世界の国々の大多数の民衆にとっては「サブシステンス経済生産が、彼らの再生産のもっとも重要な構成要素である。そして、この使用価値に応じた生産は、無賃労働で自家需要のためにおこなわれる」。これは、「資本主義生産の前提条件であり、同時に社会的再生産の本来的構成要素である」から、経済をこえた純粋な本能の問題だ(マルクス)などといって、単なる「自己充足や生存確立と同一視」してよいものではない。私たちはこの理論によって、それまで優勢であった工業信仰と成長を信奉する発展理論に突破口を開いた。政治的経済的観点からは価値がないとされてきた、現実の日々の暮らしの領域をふたたび考慮にいれ、その明確な事実の意味をさぐることが、私たちの課題となった。
この一般的定義を、のちに私たちは二つの観点から特殊化し、具体化した。
1 女性の労働について
2 私たちがフチタンで出会うことになるような、市場経済のなかで可能な、サブシステンス志向について
サブシステンス生産という言葉で私たちが考えるのは、食料の調達、農作物が自家消費される場合には農地の耕作、そのほか、買い物、料理、食卓の準備などで、さらに洗濯も忘れてはならない。サブシステンス生産にはまた、子どものためにする数えきれない無賃「労働」、通常は母親のする労働がはいる。近代社会においては、サブシステンス生産は、ますます女性の仕事になってしまった。・・・・。
・・・。私たちはこれまで、最大利潤追求型経済ではない社会的実践の可能性をさぐる研究をすることになったとき、直接的なサブシステンス生産の行為に注目してきた。すなわち、市場や金銭の介在しない、生活の需要にあわせた労働に注目したのである。いま、私たちにあきらかになったことは、この別の世界観がひとつの社会集団にしっかり共有されれば、現代においてもなお、市場とお金をサブシステンス志向の形にすることができるということである。市場もお金も、どちらも最大利潤追求型経済の闘技場そのものであるのにもかかわらず。


・・・。女性であること母であることは、自然への依存と同様、否認される必要はない。必要なものの領域も、ここでは克服される必要はない。食べ物、飲み物、衣服、頭上の屋根、共同体のなかの広場、これこそがもっとも重要な日々の生活の目標である。この努力こそ、私たちがサブシステンス志向とよんでいるものであり、その日暮らしという通常では貧しさと受けとられがちなものとは、まったく別のものである。
31-35p
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