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<<   作成日時 : 2006/08/14 03:38   >>

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『日本人の賃金』木下武男(平凡社新書99年) 読書ノートから

数年前、工場の賃金改定を行った時、ぼくは組合側の委員として参加し、木下さんのこの本の考え方を提示し、これを大きく参考にしながら、労使で合意できる案を作った。木下さんを呼んで工場で講演会も行った。小さな福祉工場での賃金制度、今考えると、よくがんばって作ったという感想もないわけではないが、その制度の中で賃金が下げられた人からは今でも怨まれているようだ。

富の配分をめぐる議論がとても抽象的に行われているように思える。例えば、ここで紹介する木下さんの賃金に関する議論なども参考にしながら、もっと具体的に富の配分の問題が語られていいように思う。

「能力に応じて働き、必要に応じて取る」というようなことが語られる。すごく遠い将来に、それが実現することがまったく不可能とは断言できないが、少なくともあと数十年は、与えられている(行っている)仕事と賃金の相関関係は否定できないだろう。

例えば工場の中で、どのような相関関係が求められるのか、それを考えていく上でこの小さな新書に示唆されたことは小さくなかった。しかし、現実に賃金制度を決める作業は苦しいこと渋いことが満ちていて、怨まれることは多くても、感謝されることはほとんどない。そして、出来上がった制度にも不備はたくさんあり、大幅な見直しも迫られている。今度は違う立場で賃金制度の改定に加わることになりそうだ。

そんな中で見つけた、このノート、以下に転載する。


==以下、読書ノートから転載==



日本人の賃金
木下武男
平凡社新書 99年初版
2003年1月組合の議案書を書くために再読

 この時代転換のなかで、労働側は、賃金論・賃金運動論のパラダイム転換をなされなければならないように思われます。これまでの春闘における大幅賃上げ路線は、年功賃金を大前提にした賃金運動でした。年功賃金は、差別性を内に包み、競争を受容するシステムであり、再吟味を要するものです。時代は、新しい価値観に裏づけられた賃金論を求めています。8−9p

 ・・・年功主義と能力主義の失敗・・・。ところが、業績主義・成果主義によってやみくもに個人の実績を測る昨今の方法は、またしても、働く者を疲弊させることになり、「第二の失敗」になりかねません。
 働く者は、何によって処遇に差がつくことを合理的とするのか。労働側も、いわゆる生活給思想から脱して、賃金に差がつくことを合意し、その基準を模索しなければなりません。日本人は長らく、年齢・勤続・性差という狭い年功制、かたや能力主義、この二者択一のジレンマに陥っていたように思われます。今や第三の道を考慮すべき時代にきたといえるでしょう。・・・

アカンタビリティ
「"authority" に照応した"responsibility"を遂行しようとつとめ、この"responsibility"に対して、"accountability"を負わされている。」『日本的経営の編成原理』岩田龍子1977  86p

職務記述書のあるなしが職務給の真がんを分けるといっても差し支えない。96p

個人業績を重視するならば、評価を公開の制度とすることは欠かせない。106p

経営側にとっても、やみくもに業績をあおり、仕事に駆りたてるしくみがよいわけではありません。従業員の不満と職場の荒廃が進むだけです。年功でなければ、何によって賃金の差をつけるのか、それが従業員の納得をえられるのか。納得のえられる公開性と、格差が合理的とみなされる公正性が必要になってきます。  107p

ヨーロッパの場合は、産業別労働組合による規制と国家による労働市場政策によって整備されており、職業訓練・職業紹介・失業保健・社会保障という福祉国家における制度によって、労働生活は支えられています。・・・・に対して、日本の労働者は、「右肩上がり」の賃金カーブによって、つまり企業によって生活が支えられてきたといえます。しかし、新しい賃金制度によって132p

あるべき賃金制度を長期の目標にしつつ、それに至る数年間の中期の目標、そして経営側と交渉し、妥協しなければならない当面の・・・

<<木下氏が評価する「全自型賃金」の第1原則の   146p
人間らしい生活の最低保障とは何か>>



アメリカ型職務給で対抗

1、職務分析、職務評価の要求
2、業績給の制限の必要性
3、アメリカ流の目標管理やコンピテンシー
 放置しないのであれば、オープンにし公正に
4、労働組合の苦情処理機能
   評価基準や判断の根拠を求める
             178p−183p


現在の賃金を5つの構成部分に
1、市場共通の中核的な仕事給
2、企業内の業務にもとずく「仕事給」
職務分析・職務評価で
3、業績による「賃金ドリフト」
 仕事給とは分ける
4、業績給
5、年功的な生活補助手当て


疑問はいろいろある。ヘイシステムは競争を激化させるためのもののように思えるが、どうなのか。
中小企業で誰がどのように仕事給を決定できるのか。
いすに対する賃金だとしたら、その椅子をどうこなしているというのは誰がどのように決定するのか。
同じポストでも人がいないところでは求められる役割は違うものとなる。

==転載ここまで==


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