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zoom RSS 自閉症スペクトラム 読書メモ

<<   作成日時 : 2007/11/21 07:48   >>

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 ここには書けない話で昨日は午後から早退して、Rメンタルクリニックで受診。オレンジ色のフリースを着ている医者と少し話す。発達障害についての本を読んでくださいと言われる。診察室の本棚にニキ・リンコさんの本があるので、彼女のこと少し知ってますという話をしたあとで、どんな本を読めばいいのか聞くと、「彼女の本を全部読んでみてください」とのこと。
 彼女の本なら読んでもいいかなと思いながら帰宅。素直なぼくはすぐに図書館へ。

近所の図書館で彼女の本を探すが1冊も置いていない。発達障害で探すとこの図書館の蔵書には2冊しかない。とりあえずその2冊を借りて1冊を読み始める。その1冊がこの本。

以下、抜書きとほんの少しの感想

===
自閉症スペクトラム
ー浅草事件の検証ー自閉症と裁判
LDとAD/HDの乱用

 ところで、昨今は「軽度発達障害」という言葉が好んで用いられています。・・・LD、ADHDどちらの言葉も乱用気味  24p

(米国と英国の発病率の差について)アメリカの社会病理を子どもの個人病理へとすりかえているという以外に、説明のしようがありません。 25p

発達障害者支援法
2004年の臨時国会で成立
(超党派の議員連盟)
その根幹は
1、早期発見、早期支援
2、適切な教育的支援
3、就労支援
4、家族・地域支援
これらの実現のため発達障害者支援センターを設置

これまで保険・福祉の谷間に位置していた発達障害に光を当てたという意味で大きな意義
しかし、準備不足で当事者がかかわっていない。

次のような危惧
この法律での発達障害の定義は「自閉症、アスベルガー症候群その他の広汎性発達障害、LD、AD/HDその他これに類する脳機能の障害」
教師から見て問題のある児童・生徒がすべて発達障害とされてしまう危惧・・。
 次に、「早期発見」されたとしても、支援のための社会的資源や人員はあまりに乏しく、予算措置を伴わないならば、単なるラベリングのみが横行するおそれ・・。少なくとも、身体障害・知的障害・精神障害において不十分ながらも行われている保健・福祉政策を享受できる水準を、具体的に獲得していくことが必要 28p 高岡健

・・・・軽度発達障害なるものを含め、心身障害そのものが存在することは、紛れもない事実である。そして、多かれ少なかれ”気がかり”な子どもが存在することも確かである。しかし、学校で教師が、気がかりな子、発達障害があるという子どもに対して、その子の苦悩を受け止めつつも個性を育み、上手に生き抜く術を教えてやり、社会に対しては、こういう子どももいるのだ、それがどうした? ということを自然体で伝えていけば、特別支援教育の支援の本質も変わるであろう。 56p 氏家靖浩

実は、「軽度発達障害」という言い方は、厳密な意味では学術用語ではなく、最近作られた一種の流行語である。そこには、注意欠陥/多動性障害、アスベルガー障害、高機能自閉症、学習障害、協調性運動障害などが含まれている。このなかでも注意欠陥/多動性障害や学習障害は裾野の拡がりが大きく、いわゆる「健常児」や正常な発達を遂げている子どもとそれらの障害を持っている子どもとの境界線は、はっきりしたものではない。しかも、その実態や本質も十分に理解されているとは限らない。医学的にも十分に理解が進んでいるとは言えないのである。(そもそも。「軽度発達障害」という言葉の流行自体が、発達障害概念の拡大と並行した現象だと著者は考えている。)それなのに。・・・診断し、場合によっては治療し、場合によっては教師や親に対してコンサルテーションを行うことの需要が爆発的に高まっているのである。その中で様々な混乱も起きてくる危険性があると著者は感じている。
 近年の発達障害概念の普及と拡大によって、精神発達遅滞や小児自閉症という枠には入らないが、学習能力や対人関係、衝動のコントロールなどの発達においてハンディキャップを背負っている子どもたちとその親に対して援助の手が差し伸べられるようになったということは確かなことである。発達障害への理解が深まることは、子どもの発達の個別性や多様性を理解するという方向に向かうなら、歓迎すべきことであるように思われる。 60-61p

 発達障害概念の拡大の危険性には、どういうものがあるだろうか。
 第1は、安易な診断という危険性である。発達障害に関しては、知能や学習能力の包括的な評価、他者理解の能力の評価、強迫症状などの並存する精神的医学的問題、生育歴の聴取、家族関係の評価、子どもの情緒的な発達の評価など多面的なアセスメントを経て、ようやく妥当な見立てが可能になるものである。症状レベルで安易に発達障害の診断を下すと、不必要な投薬が行われる危険性や、必要な心理的あるいは教育的な援助が行われない危険性が高くなるだろう。安易な発達障害の診断が一人歩きし、適切な支援が得られないという事態をさけるために、専門家としての私たちができることはどんなことだろうか? それは、私たちが医師・心理士・ケースワーカーなどから構成される専門家のチームを作り、いくつかの評価手段を駆使しながらじっくりと子どもと親にかかわり、一人一人の子どもの問題を包括的に評価することしかないと思っている。ていねいなアセスメントにもとづいた情報提供をすることで、AD/HDやアスベルガー障害という言葉で、子どもを理解したつもりになったり、逆に過剰に不安になったりという、教育現場での問題も少なくできる。
 第2には、学校教育現場での混乱である。・・・「障害」という言葉の混乱、disorder disability
 第3には、発達障害に焦点があたりすぎて、情緒や愛着、対人関係等の発達の問題に対しての理解が乏しくなる危険性である。
 
69-70p  生地新

<社会的な問題が個人の問題にされるという側面もあるのではないか>


(発達障害者支援法について)本法の重点は早期発見・治療に置かれている。だが、もしそれを本気で実施しようとするなら、深刻なラベリングの問題が起こることは必定である。
 毎年、新規に10万人近い障害乳幼児が、健康診断で発見される。そういった状況を想像してほしい。(略)。今のところはそこまで多くの患者が専門家の下を受診しているわけではないが、それでもすでに親たちの多くは、混乱とラベリングの被害で相当苦労している。多くの場合、保健所で勧められた機関を訪れた揚げ句、はっきりしない診断名だけを告知され、困惑の中に放置される。
(少し長い略)
 しかし、レッテル化の不安の増大だけなら、まだましというべきかもしれない。イギリスでは1990年代早期、リタリンの使用が認められたことにより、それまで0.1%以下とされていたADHDという診断が3-5%のレベルに急増したとする報告がある。(略)小児への薬剤投与に慎重であり続けたイギリスの医学会も、希望の幻想を振りまくリタリンの宣伝に屈服し、安易に抗精神薬を使用しかねない時代を迎えようとしている。(略)診断が非医学的基準(例えばLDでは(略))に依拠している以上、診断は周囲の大人しだいでどうにでもなってしまうことになる。心配なのは、この変化が大量投薬への道を準備することである。  86-88p

強い情緒的反応を呼びおこす見解として、「あの時きちんと治療しておけば、又は、もう少し疾患への理解があれば、こんな事態にはならなかっただろう」という、診療者の悔みもよく聞かれる。このレトロスペクティブな見解の正当性については、それを正当化するに足るプロスペクティブな検討を加えない限り、通常差別に加担する結果に終わることが多いことは、歴史的に明らかにされている。 89p

「なぜこれまでごく普通と考えて普通に教育してきた子どもたちを、軽度発達障害児と呼び特別支援しなければならなくなったのか」…。即ち、問題の所在は、普通教育――子どもたちにとって社会そのものと考える者たち(篠原睦治ら)は、これを子どもの娑婆と呼んできた――の変質に存在するのだ。 92p

従来の障害者雇用問題すら満足に解決されないまま、しかも福祉予算が確実に切り下げられていく現状で、この法案が展望を切り開ける可能性はどの程度あるのだろうか。私には、構造的不況の進行と縮小する財源に対する抜本的対策には手を触れず、障害者の数を従来の2%から8%に急増させようとする本法は、むしろ危険と見える。新たな障害者認定が実質化すれば、限られたパイの分け前をめぐり、より重度の障害者が現在の職を追われ、その代わりにこれまで通常に勤務していた発達障害者が新たに障害者雇用枠に組み入れ(格下げ!?)られるのではないか。 95p

 本法の成立は、…、ソフトな装いを呈しながら社会的人間淘汰の拡大が始まったと感じさせる。 96p  石川憲彦

=====

偶然であったこの本、昨日話した医者の見解と重なるところもあるが、やはり違いが多いように思える。この本の主張はどちらかといえば、ぼくがいままで障害者運動の領域で話を聞いてきたことに近いし、その分、理解しやすい。「発達障害について学んでください」と言われて、最初に読んだのがこの本だったという、この出会いを、ぼくはこれからどう評価していくことになるだろう。







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