今日、考えたこと

アクセスカウンタ

zoom RSS <帝国> 読書メモ 6(「1-2生政治的生産」の後半)

<<   作成日時 : 2008/03/04 06:46   >>

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

1−2 生政治的生産

「介入」っていう節から

==
ここでは、<帝国>的機械の側からの物理的な力の行使を含む、グローバルな領域に対する新たな介入の形態を究明してみたい。
==
とのこと。

==
<帝国>の介入力は、致命的な破壊力を備えた武器から直接始動するものとしてではなく、むしろ道徳的な諸手段から得られるものとして捉えたほうがより適切に理解されるだろう。
==

この介入がニュースメディアから宗教組織まで含めて、いろんな団体によって実行されているが、そのなかでもっとも重要なのものはNGOのうちのいくつかだという。
ここで念頭に置かれるのが、
・アムネスティ・インターナショナル
・オクスファム
・国境なき医師団
のような救援活動と人権擁護に打ち込む、全世界的・地域的・局所的な規模の諸組織だという。
これらのNGOは<帝国>の介入を支える武器(最強の平和的な)だというのだ。
「こうした言い方が、参加者たちの意図に反するものであったとしても」という留保はつけられているが。

ここはぼくにとっては注目すべき部分なので、より詳しく引用する。
===
これらのNGOは、<帝国>を構成する生政治的な文脈のなかに浸りきっている。別の言い方をすればこれらのNGOは<帝国>による平定的かつ生産的な正義の介入という権力を先取りしているのだ。旧い学派に属する実直な国際法学者たち(略)が、これらのNGOに魅了されてしまうのも何ら驚くべきことではない、と言うべきだろう。これらの理論家たちは、NGOが新たな秩序を平和的な生政治的文脈として実証しようとするせいで、道徳的介入が世界秩序の行く末を予示するかのようにして生み出す残虐な効果に対して、目を閉ざしてしまっているようにみえる。 57p
===

ぼくもオクスファムはそんなに好きじゃなかったりする部分もあるが(YTくんごめん、君はいい奴だと思うよ)、アムネスティがそれぞれの国民国家にとーっても嫌われながらやってることは、すごく大切なことで、それをあまたある開発NGOといっしょにしちゃうのはあまりにも乱暴だと思う。確かにそこには西欧的人権概念が根強く反映されてはいる。しかし、「殺すな」というのはまず、普遍的な価値として存在しているとぼくは思う。確かにそれはマルチチュードとは明確に区別すべき存在なのだろうが、ぼくはそれはマルチチュードが動くための重要な要素になりえるのではないかって考えるんだけど、どうなんだろうネグリ。今度、日本に来るらしいから、ぜひ誰か聞いてみてくれないかなぁ。

次に合州国が主導する現在の軍事介入について触れられ(ここには目新しいことは書いてない)、予防と鎮圧について触れられる。その後に国際的な裁判所の話に移る。
ここで、
==
軍と警察が裁判所に先んじて正義の規則をあらかじめ構成し、そのうえで裁判所がそれらの規則を採用しなければならない。・・・このようなやりかたが立憲的論理の通常の順序を事実上転倒させたものであるという事実を変更することはできないだろう。<帝国>の〔法的〕構成を積極的に支える諸派は<帝国>の構築の進展にともなって裁判所も正義の定義にさいして指導的な役割をはたすことができるようにあるだろう、と固く信じている。だが、いまのところ国際裁判所は大きな力をもってはいないけれども、その活動を公に示すことはやはり非常に重要である。つまるところ、<帝国>の構成にふさわしい新たな法的機能が形作られなければならない。 59p
==
と書かれている。
これだけ読むと、ネグリ・ハートは<帝国>の機能が強化されることを歓迎しているようにも読める。<帝国>を維持する効果的なメカニズムが、とりあえず現状で実態にあわせて作られなければならないと考えているのか、それとも<帝国>側がそう考えているということを説明しているだけなのか、ぼくにもわかるように書けって言いたい。


次に「国王大権」(Royal Prerogatives)という節に移る。

まず、この言葉がわからない。またグーグる。
阿修羅掲示板から
http://www.asyura2.com/0505/dispute21/msg/269.html
「ちなみに「大権」とは、王が持っている特権のことを言う。」
すごくおおざっぱだけど、これでいいことにしよう。

ちなみにPrerogativesは英辞郎で
【名】
1〔地位や世襲によって得られる〕特権、特典
  ・It was the boss's prerogative to go on vacation at any time. : いつでも休暇をとれるのが上司の特権だった。
2〔命令や判断を下す〕権利、権限
  ・It's the President's prerogative to nominate whoever judges he likes. : 誰でも自分の好きな裁判官を指名できるのは大統領の権限である。
3 〔君主や政府の持つ〕大権、特権
4 優位性、卓越性
5〔人に優位性を与える〕天賦の才能}
【形】特権の、特権を持つ

読み込んでいくと、わからないことがいっぱいでてくる。
例えば、「軍事力の展開の正当化は絶えざる例外状態に依拠する」っていうのは確かにこの前にも出てきたけれども、
on a state of permanent exception って、permanentだったら、もうそれはexceptionじゃないんじゃないか。何が通常の状態で何にとっての例外なんだろう。

あるいは「課税はますます特殊かつ局地的な切迫した要求と結びついたものとなっている」ってあるんだけど、これは何を指してる? 例えば日本では課税はいつだって役人や大企業の利権と結びついていて、切迫した要求をもっている手助けが必要な人のところにはまわらないじゃないか。ここでいう局地的な切迫した要求って何だろう。

そして、軍事力の展開に関しては確かに国民国家の指揮権を越えたところの意志に従わざるを得ないような情況は作られているけれども、課税は国民国家の枠をまったく超えてはいないように思う。課税と<帝国>の主権はどう結びつくんだろう。そういえば、トービン税という考え方は国民国家というよりも<帝国>的な権力に近いようにも思うし、炭素税というのも国民国家のレベルだけで実行されてもあまり意味がないかもしれない。ともあれ、「課税が周縁的な位置を占める」ってどういうことなんだろう。

とか、わかんないところにこだわっていても読書は進まないので、飛ばす。


ところで、

We could even say that the process itself is virtual and that its power resides in the power of the virtual.

この部分がどのように訳されているか
これを読んでくれてる人に少し考えてみて欲しい。





































この本ではこんな風に訳されている。
===
私たちは、そのようなプロセスそのものが潜在的なものであり、しかもその権力は、潜在的なものの力のうちにあるとすら言えるかもしれない。 61p
===
日本ではバーチャル・リアリティで有名なこのバーチャルという言葉、とりあえず英辞郎で調べてみる。(この英辞郎だよりっていうのもけっこう危ないと感じる部分も少なくないんだけど)

virtual
【形】
1 実質上の、事実上の、実際上の、実質的な◆実体・事実ではないが「本質」を示すもの。
2 仮の、仮想の、虚の、虚像の
3 ネットワーク上の

1の意味をぜんぜん知らなくて、2か3の意味だけで理解してきたのだけれども、こんな使い方もあるらしい。
virtual admission 事実上の承認[承諾]
virtual all-out triumph 事実上の全面勝利



それにしてもvirtualに潜在という訳語をあてるのは、かなり苦労した結果なんじゃないだろうか。それともちゃんとした辞書にはそういう使い方も掲載されてるんだろうか?


この訳をバーチャルというカタカナ言葉に置き換えてみる。
===
私たちは、そのようなプロセスそのものがバーチャルなものであり、しかもその権力は、バーチャルなものの力のうちにあるとすら言えるかもしれない。
===

ともあれ、ここでのそのプロセスというのは<帝国>を構成していくプロセスだろう。

そのプロセスがバーチャルだという。

このあとにこんな文章がでてくる。
One could nonetheless object at this point that even while being virtual and acting at the margins, the process of constructing imperial sovereignty is in many respects very real!

この本では以下のような訳語があてられる。
===
しかしながら、この時点で、次のような異議が唱えられるかもしれない。――すなわち、<帝国>の主権を構築するプロセスは、たとえそれが潜在的なものであり、周辺で活動しているものであったとしても、多くの点できわめて現実的なものなのだ! 
===
その後に、ネグリ・ハートはこの事実を肯定する。virtualでありながら、very real だという。

この virtual を使ったさきほどの文章の virtual の部分を「◆実体・事実ではないが「本質」を示すもの」という言葉をあてたら、少しわかりやすくなるのか。
===
私たちは、そのようなプロセスそのものが実体・事実ではないが「本質」を示すものであり、しかもその権力は、実体・事実ではないが「本質」を示すものの力のうちにあるとすら言えるかもしれない。
===

バーチャルだけどリアルだっていうのはどういうことかという問題を考える。(そもそも英語がよくわからないのに英文を引用するところに無理があるんだけど、)意味が通らないのは始めは訳が間違っているんじゃないかと思っていた。しかし、どうもそうじゃなさそうな感じがしてきて(これについても根拠はあまりない)、以下はすごく大胆な仮説なんだけど、ここでこの英文自体が間違ってるんじゃないかと思えてくる。さっき紹介した唱えられるかもしれない異議は、バーチャルだとしてもリアルだろっていう異議だったんだけど、本当は、<帝国>の主権を構築するプロセスはバーチャルじゃなくてリアルなんじゃないかという反論でだったのではないだろうか。
こう考えると前後関係がすっきりするんだけどなぁ。

で、ここでネグリ・ハートはそのリアルだって事実は否定しないんだけど、俺たちがここで言いたいのは普通の主権じゃなくて、特殊な主権なんだっていうような言い方をして、その特殊性を説明する。

この説明の中で再びわかんない言葉がでてくるので、以下に辞書から引用。
===
いき【閾】
1 門の内と外をくぎる境目の木。また、境目。敷居。2 心理学で、ある感覚や同種の刺激の相違を感知できるか否かの境目。また、その刺激量。→刺激閾(しげきいき) →弁別閾(べんべついき)[類語]境
いき‐か【閾下】
刺激が小さくて生体に反応の起こらない状態。意識していない状態。
いきか‐ちかく【閾下知覚】
閾下の刺激によって生じる知覚。この心理的効果を広告などに利用することがある。→サブリミナル‐アド
いき‐ち【閾値】
生体の感覚に興奮を生じさせるために必要な刺激の最小値。
===

前にもいつだったか、この言葉がわかんなくて調べたことがあったようなおぼろげな記憶がある。こんな言葉使うなって言いたくなる。

<帝国>の主権のThe virtuality and discontinuityは実効性を小さくするものではなく、その逆で、<帝国>の主権装置を強化するのにやくだつのだそうだ。


で、やっと佳境に入っていく。ここまででひっぱりすぎた。

==
<帝国>の構成は、何らかの契約や条約にもとづくメカニズムを土台にしては行われないし、何らかの連合を経て行われるわけでもない。<帝国>の規範性の源泉は、新しい機械、すなわち新しい経済的−産業的−コミュニケーション的な機械――要するに、グローバル化された生政治的機械――から生まれたものなのだ。
==

<帝国>の生成における合理性は、法的伝統という観点からはあまりあっきりとは見て取れないが、産業経営の歴史やテクノロジーの政治的使用のなかに見て取れる。

この先に書いてあるヴェーバーの定式を取り上げた部分は興味深いが時間がないので略。

ちょっとはずれた部分のみメモ
==
ネオ・ヴェーバー主義的な視座を特徴づける論理は
数学的というより機能的
would be functional rather than mathematical

帰納的または演繹的ではなくリゾーム的波動的
rhizomatic and undulatory rather than inductive or deductive


んで、やっとこの節の結語部分
===
<帝国>の権力諸関係が解釈する基本的な対象は
そのシステムの生産力
新しい生政治的な経済的・制度的システム

<帝国>の秩序は、
その蓄積とグローバルに拡大する権力にもとづいて形成されたものであるばかりか、
よりいっそう深く自己を展開させ、生まれ変わり、そして世界的規模に張りめぐらされた生政治的な格子の隅々にまで自己を拡大していく能力にもとづいて形成された。

<帝国>とその生権力の体制においては、経済的生産と政治的構成はますます一致する傾向にある
==

ここまでは<帝国>ってこんなにすごいって話なんだけど、こいつとどう立ち向かうかっていう話はまだでてこない。






上記の記事が「面白いかも」って思ったら、この下にある「人気blogランキングへ」というのをクリックしてください。
人気blogランキングへ

クリックしてくれた人数のランキングです。クリックするとランキングのサイトに飛び、うんざりするような排外主義ブログのタイトルの山を見ることになります。こんなランキングに登録するバカバカしさを感じないわけでもないんですが、・・・
でも、クリックしてもらえるとうれしかったりもします。

人気blogランキングへ

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文

トップ頁の右上に広告が入るようになっちゃいました。それがいやな人はさらに追加してお金を払いなさいとのこと。というわけで、この広告クリックしないでください(なんて、けなげな抵抗)。==============ブログ内ウェブ検索

ブログ内 を検索
<帝国> 読書メモ 6(「1-2生政治的生産」の後半) 今日、考えたこと/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる