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zoom RSS <「美しさ」の揺らぎの中で> 小沢節子さん

<<   作成日時 : 2009/03/22 08:42   >>

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美術運動史研究会ニュースNo.101(2009.3.15)に掲載された小沢節子さんの
==
「美しさ」の揺らぎの中で
原爆の表象をめぐる四つの断片
==
を読む。(送ってくれた方に感謝)

以下は、ぼくのとても主観的な感想なので、内容を知りたい方はぜひ発行者に問い合わせて現物をとりよせて読んでみてください。(いま、検索したらGoogle でもYahoo でも Baiduでも連絡先の記載はありませんでした。このニュースがどこまでオープンなのかぼくもわからないので、どうしてもという方はぼくに連絡してください。)

で、内容に入る

小沢さんはここで「ひろしま/ヨコスカ 石内都展」(目黒美術館)にまず言及し、石内がこれらの作品にはメッセージ性や社会性などはないと発言していることを紹介しながらも、作者からの「生の痕跡であることを思い出して欲しい」という意図に触れる。
そのうえで、展示を前にして「戸惑いを覚えた」と書く。

そして、その戸惑いを以下のように言語化する。
===
・・。新たな原爆の表象を打ち出しつつも、あまりにも自明な美しさに回収されかねないこの展示を、どのように受け止めればよいのだろう。この戸惑いのまわりを行きつ、戻りつしているうちに、それが原爆の絵画的表象をめぐる私自身の課題と無縁ではないことに気づいた。
===
と。

ここから <二、美しさに抗いつつ>に移る。

その先の文章を読むと、小沢さんは前述の石内の発言が原爆の図・丸木美術館で行われたことにインスパイアされているようだ。ぼくにとても興味深かったのは以下の記述。
丸木俊・位里の「原爆の図」について以下のように書く。
===
・・・、《原爆の図》は「美しい」のかも知れない。作者たちは、美しさをめざして《原爆の図》を描いたわけではないのに、彼らの画家としての表現は《原爆の図》に美しさをもたらした。そして、それが《原爆の図》が今に残る理由の一つでもあろう。だが、結果として美しさを描きつつも、自分たちが描いてしまうその美しさに対して、作者たちが抗いつづけたこともまた、事実である。
 たとえば、なぜ、丸木位里は《原爆の図》第一部「幽霊」や第二部「火」に黒々と墨を流したのか――7年前の拙著(「原爆の図」描かれた<記憶>、語られた<絵画>)では、必ずしも明確に論じることはできなかったが、それは美しさの拒否、性格には、原爆体験が美しく表象されることへの抵抗にほかならないだろう。・・・
===

この先に書かれている《原爆の図》が12部「とうろう流し」で終わらせなかったことの意味への問いも興味深い。さして、この「二、美しさに抗いつつ」を以下のように閉じる。

===
・・・。だが、共同制作においては、夫妻はそうした個々の芸術的追求とは異なる次元の課題を自分たちに課していたように思われる。彼らが美しさをめぐる矛盾のなかで原爆を表象しつづけたダイナミズムは、《原爆の図》や丸木夫妻の画業を考える切り口であることを再確認した。
===

このダイナミズムがふたりの「画業を考える切り口であることを再確認した」と小沢さんは抑えた書き方をするのだが、その「美をめぐる矛盾」というのは、単なるひとつの切り口ではなく、《原爆の図》を考える上でかなり重要な切り口なのではないだろうか。丸木俊は原爆で殺された人びとを美しく描きたいと語り、実際、美しく描く。しかし、完成した《原爆の図》はただ美しいわけではない。その緊張感が、この絵と向き合うものを包み込む独特の空気を作っているのではないか。それが、この絵画が、これと向き合うものの魂に響く、あるいは魂をつかみとられるような力と、なんらか作用している、もっといえば、その力の源泉と通じているようにも思う。

小沢さんのこの文章、<三、トラウマ論と絵画> <四、美しさの希求と彼女たちの「地獄」>と続くのだが、今日は力尽きたのでここまで。

そう、いま最初に戻って、この文章のサブタイトルが「四つの断片」となっていることに改めて気づく。これを「断片」と呼んでしまっていいものかと思う。それぞれは確かにそんなに長くはないが(だからぼくにも読めたんだけど)・・・。


そうそう、小沢さんが「四つの断片」と呼ぶ、その一つめのタイトルを書いていなかったので書き足しておこう。「一、美しい遺品たち」







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