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zoom RSS コンタサル短編集メモ

<<   作成日時 : 2013/09/08 09:04   >>

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コンタサル短編集メモ

どこかで知り合いのSNSでラテンアメリカ入門なら、まずこれというような話を聞いて、図書館で思わずリクエストしたんだけど、返却しなければならず全部は読めなかった。読んだのは表題の「悪魔の涎」と解説だけ。


本の正式なタイトルは
コンタサル短編集
悪魔の涎・追い求める男
他八篇
岩波文庫

解説を読んで「リアリズム」の問題を再び考えさせられた。


「悪魔の涎」はもう、うんざりするくらい饒舌な語り口。そして、パリの話だ。これもラテンアメリカ文学なのかどうか。でも、その饒舌さにだんだんはまっていく。やはり、おもしろい。


解説、けっこう興味深い。

コンタサルとボルヘスを比較して、以下のように書かれている。
両者ともブッキッシュな人間だとしながら、対照的だという。
ボルヘスは一見どれほど異様でも、ある秩序のもとにこの世界を読みとろうとし、それゆえに個人の感情や心理、意識を顧みないが、コンサタルは個々に潜む狂気・夢・妄想・幻想が外的な世界とせめぎあうところに目を向ける、と。
そして、以下のようにまとめる。
ボルヘスの作品が外部の世界をそっくりそのまま内部に収めた光り輝く球体のようなものであるとすれば、コンサタルの作品は闇に閉ざされた人間の意識の深奥から照り返すあやしげな一条の光にもなぞらえられるだろう。287p


また、彼があるエッセイの中で述べているという以下が引用されている。
「僕がこれまで書いてきた短編は、そのほとんどが幻想的なジャンル(ほかに適当な名称がないので、こう呼ばざるをえないのだが)に属しており、あのまやかしのリアリズムとは対立している。18世紀の哲学的、科学的楽観主義によれば、この世界はさまざまな法則、原理、原因と結果の関係、きわめて明確な心理学、きちんと作成された地勢図といったものの体系によって、多少とも調和のとれた形で支配されているとのことだが、一切がそうした世界の中で記述し、説明できると思いこんでいるのが、僕の言うまやかしのリアリズムである。」294p

ここは、かれの思想をわりと明確に述べている部分なのだろう。

ここだけの引用なので、文脈がよくわからないのだが、リアリズム自体がまやかしなのか、それとも、まやかしのリアリズムとほんもののリアリズムがあるのか。解説者の理解は前者であるようだ。

そして、ここを「へぇ〜」と思って読んだ。戦後の文化冷戦の文脈でリアリズムが、アメリカの圧倒的な物量を用いられる中で敗北していくという「文化冷戦」のストーリーを思い出したからだ。結局、その「文化冷戦」は読んでおらず、その本が日本語になっているのかどうかさえ知らないのだが。

この解説の著者(名前は明記されていないが、最後まで読むと訳者の木村栄(旧字)一さんが書いているとわかる)によると、コンサタルは
「理性の絶対的な支配に対して反旗をひるがえし、人間感情の重要性を訴えたロマン主義や夢の全能性をうたったシュルレアリスムに親近感を覚えている」
と書いているという。しかし、この理解、平板すぎるような気がする。リアリズムは単なる「理性の絶対的な支配」に服従するものではないと思うし、「夢の全能性をうたったシュルレアリスム」という理解も表面的すぎるように思う。このようなジャンル分けこそが不毛なんじゃないかなぁと想う。でも、その理解が一般的なのかもしれないとも思う。

そして、この解説によると、リアリズムは18世紀の理性主義に基礎を置いているらしい。だから現実的なモノだけに目を向けるのは仕方ないとした上で、コンタサルはそれに対して異を唱えると書かれている。

リアリズムは現実に目を向け、それを忠実に描きながら、しかし、その向こうにあるものにアプローチするのではないかと思ったりもするのだが。

しかし、コンタサルは写真を例に、こんなふうにもいう。
「写真家、あるいは短編作家は、意味深いイメージなり出来事を選び出すと、それだけを写すか、語ることになる。その場合、イメージ、あるいは出来事はそれ自体価値のあるものであり、しかも、写真なり短編の中で映像、もしくは言葉によって語られている挿話をはるかに越えたところに存在するあるものへと、見る人、読む人の知性と感受性を向かわせる一連の導入口、刺激剤としての役割を果たし得るようなものでなければならない」292p
これって、そのままリアリズムにも当てはまるような気がするのだが、どうなのだろう。これこそリアリズムじゃないかと思ってしまったのだけど。


そして、学生時代「社会主義リアリズム」の絵画が嫌いだったことを思い出した。
「糞社会主義リアリズム」とか呼んでいたなぁ。
文化冷戦というような思考が出始めた頃から、もしかしたら唾棄すべきものばかりでもないかもしれないと思い始めていたのだが、そもそも美術史の勉強などまったくしたことがないので、ここまで書いてきたような話はまったく常識ハズレのものなのかもしれない。

だいたい、リアリズムとリアリストの関係だって、よくわかってないぞ>俺。



リアリズムとそれに対抗するものをめぐる系譜とか、もう少しだけでもちゃんとフォローしたほうがいいかもしれないなと、いま思った。。

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