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zoom RSS 「コミュニケーション断念のすすめ」メモ

<<   作成日時 : 2014/01/18 14:52   >>

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「コミュニケーション断念のすすめ」メモ
信田さよ子著

どこかのSNSで誰かがこの本のことを書いていて、おもしろそうだったので、すぐに大田区の図書館で探したらあった。即座に予約して借りて読んだ。「読むべき」と思ってる本は他にもいっぱいあるんだけど。しかし、どうしてこの本を借りようと思ったのか、全然覚えてないなぁ。

WEB連載の書籍化とのこと。

基本的には軽いのですぐに読めた。 とはいうものの、軽めの文章の中に「へえっ」って思わせるような記載が散りばめられていて、侮れない。

本の内容紹介は以下
なぜバッシングが起こるのか? なぜお笑い番組が隆盛しお笑い芸人がもてるのか?
なぜ絆やコミュニケーションが人を苦しめるのか?

答えのヒントは家族にあります。


軽く読めるし、いろいろおもしろいところは少なくないのだが、同時に少なくない違和感も残った。

問われているのは「コミュニケーションの断念」ではなくて、「コミュニケーションと呼ばれているがコミュニケーションとはいえないようなものを拒否することじゃないかなぁ。



以下、違和感の部分を中心に引用しながら
コミュニケーションということばのいかがわしさ

 力関係による抑圧や暴力が日常的な家族において、はたしてコミュニケーションとは何だろう。それを言うのは力の大きい方であることも。私に疑念を起こさせる。
 コミュニケーションということばのいかがわしさは、自立ということばと同様である。すでに失われてしまっているのに、あたかも金科玉条であるかのように敬われている。 略
 ・・・
 家族に必要なものは、形骸化したスローガンのようなことばでなく、むしろそれらを破壊し、それらを禁じ手とし、断念するところから生まれるのでは・・・7p



若者たちは、おもしろいから笑うのでなく、集団のなかで生き残るために、標的としていじめられないために、必死で笑う。34p
これがにわかには信じられないのだが、事実だとしたら、それこそコミュニケーションが難しいと思うのだが、ぼくは断念したくないなぁ、
これに続けて信田さんは笑いが日本で対人関係の最大のツールであることを否定的に書くのだが、それって悪いことじゃないような気もするのだ。
で、ぼくのまわりでは笑いが少なくて、なんか寂しいし、アジアとかを旅行していたときはもっと笑いがあったと思うんだけどなぁ。

54-55pで信田さんは以下のように書く。
 私はカウンセリングにおいて、コミュニケーションという言葉を注意深く用いるようにしている。なぜなら、このことばは、力ある立場の人に利するように、都合よく用いられているからだ。そして肝心のことを隠蔽してしまう危険性があるからだ。
 コミュニケーションには、「聞く」と「話す」という二つの側面がある。そのことが見過ごされたまま、このことばはまるで社会の相違であるかのように・・
やはり、コミュニケーションが問題なのではなく、コミュニケーションという名を借りた別の何かが問題なのではないだろうか。

ただ、家族のなかで対話を拒否されたときに与えられた規範に従ってそれを求めるのではなく、断念することから得られるものは確かにあるかもしれない。基本的にはそんなことが書かれているのだということは、64pなどから読みとれる。
DVや引きこもり、摂食障害では確かにそれは有効だと思う。
コミュニケーションを断念することと同時に「絆を断つ」ことが。

確かにDVや引きこもり、摂食障害などでのコミュニケーションを断念したり、絆を断つことの重要さはもっと強調されるべきかもしれない。

そして、信田さんは片山さつき議員らの生活保護バッシングを見て
「ああ、彼らは日本人というものをとことんよく知ってるな」
と書く(101p)。日本人の嫉妬の特質として、上に向かわずに下に向かい、自分より下位にあるべきだと考えている人間がのうのうとしている(ように見える)のは許せないのだという。

自分より下の位置にいる(と思ってる)人たちがみじめな状態ではないということを不当に思う。115p とも書かれている。

ただ、程度の問題で、たとえば、生活保護を受けている人たちの暮らし向きについて、ある部分が(というのが全体として見てしまいがちなのだが)、生活保護を受けいていない自分より優雅に見えたら、やはり納得できないと言うのは、ある程度普通の感情なんじゃないかとも思う。

それは、税金を投入されている東京電力などの企業の役員たちが高収入や非常に高額な退職金を得ているのに感じる感覚と近いものがあるように感じる。

あと、へ〜と思ったのが、「働かざるもの食うべからず」という聖書の言葉の本来の文脈の紹介。実はこれ、「働きたくない者は食べてはならない」が、「働かなくても働けない人は食べてもよい」という文脈で使われているのだという。(101p)

さらに4章の最後の方にある韓流ブームと日本人の優越意識がつながっているという指摘が興味深い。日本人が優越意識を持っているからだという。139p〜
のどに刺さった小骨

 日本の女性たちがなぜ、男性性を誇示する韓流アイドルに熱狂できるのか。
 そこには、日本と韓国が、かつて宗主国と植民地だったという歴史的事実が深く横たわっていると思う。そこから派生する、日本と韓国の複雑な関係性を無視することはできない。

その意識とは、のどにチクリと小骨が刺さっているような感覚であり、その加害感覚は消えることはないのだが、それが屈折した意識として横たわっている。同時に日本がアジアでは一番という優越意識もあり、その優越意識が韓流ブームとつながっているという。
 なかなか複雑な話だなぁと思う。以下のように説明される。
思い切って身もふたもなく韓流ドラマに出演する男性俳優に熱中できるのは、そこに大いなる安心感があるからだ。自分たちがどこかで抱いている優越感と上から目線が許されているからこそ、思う存分対象を享受できるのだ。見上げる視線(仰角)ではなく、俯角であるからこそ、自分がひざまずくことができる。(142-143p)

ほんとにそうかなぁと思う。これはどうなんだろう。身近な韓流ファンに聞いてみようと思う。

そして、この後に加害者としてのチクリという感覚への説明がある。(何であれ )ハマるためにはプラスの要素だけでなく、スパイスのような、プラスの感覚とは相反する負の感情要素が必要なのだ、という。そこでその「のどに刺さった小骨」がスパイスにあたるというのだ。さらにいくつかの例で、その韓国との近くて遠い複雑な関係性を示し、それが感情の触れ幅を大きくし、「このように幾重にも畳み込まれた重層的な感覚」が痛覚、苦み、葛藤といった負の感覚をもたらし、嗜癖させ、こうして私たちは「墜ちる」のである、と信田さんは書く。148-149p

かなり本人の個人的な経験から語られていると思うのだが、あの単純な韓国ドラマのストーリーに酔う人たちは本当にそんな複雑な感情をいだいているのか、にわかには信じられないと思う。確かに説明としてはおもしろいのだけど。

続いて、AKB48ファンの中年男性について、「鼻持ちならない見下し感が漂っている」と酷評する。論理というよりも生理的にいやだと。これはちょっとかわいそうな感じ。そこから、「なぜ、気持ち悪いのか」が展開される。150p〜


 話はコミュニケーション論に戻る。
158pの最初の方では、コミュニケーションと呼べないコミュニケーションの不毛さが書かれている。で、この本がわかりにくいのは、例えば嗜癖のある家族への対応として、本来のコミュニケーションも含めて断念する必要があること、と、主に男や力をもった側がコミュニケーションを語るとき、それがコミュニケーション足りえていない、という二つのことを混同して書かれているので、わかりにくのではないか、と思った。

そして、この『第4章 コミュニケーションなき安全地帯』の最後の文章は以下
 オタク男性を中心としたコミュニケーション断念の象徴がAKB48であり、秋葉原ならば、女性たちにとってのそれは韓流であり、新大久保なのである。
これも言い過ぎ感 大だなぁ。

『第五章 「自分が否定されない世界」を確保しよう』の最後の節のタイトルは

『息苦しさから逃げ出すために』
ここでも、問題をかかえた家族のコミュニケーション復活の手立てとして、パラドクシカルに、まず第一歩はコミュニケーションを断念することだと繰り返される。169p

そして、周囲がどう思うかとか、相手の人がどう受け止めるか、同意してくれるかどか、などを気にせずに、自分が感じたことをIメッセージとして、表出すればいいという。そうすれば、そこに他者が現れると。逆に「世間は・・・」とか「主人が・・・」とか言っていれば、そこに他者は現れない。その他者の不在が意見が異なる他者の存在の否定につながり、自分より楽に生きている人をひきずりおろすことにつながる(170p)、と信田さんは書くのだが、本当にそうかなぁ。


本文のいちばん最後で、「自立、人間性、コミュニケーション」などが、言葉の賞味期限切れだというのだが、それもちょっと言いすぎなんじゃないかな。


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