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<<   作成日時 : 2016/06/19 11:57   >>

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映画「月光」
http://gekko-movie.com/

以下は 映画プログラムの萩野亮さんの文章から
・・・。鉛のように鈍い、重い痛切さ、言葉を失う光景がいくつも脳裏を擦過して、わたしは思わず目を瞑ってしまう。
 ・・・強靭な覚悟のもとに作られたことを端々からうかがわせるこのフィルムは、見るものの覚悟も問うている。
・・・この映画から目をそむけることは、彼女たちの痛みから目をそむけることだ。なかったかのようにされてきた彼女たちの存在に、その傷口に、思いをいたらせるために、この映画は見過ごされてはならない。「彼女たち」とは、作中のふたりの主人公を指すばかりではない。現在と過去のすべての性暴力の被害者たちを指している(そしてもちろん、性暴力の被害者は女性のみではない)。
・・・ほかでもない男性であるわたしの身を、『月光』という作品は引き裂くように苛んだ。・・・否定できない己の欲望を、わたしは恥じずにはいられなかったし、・・・」


この萩野享さんという1982年生まれの映画批評家のことをぼくは知らない。しかし、ぼくより相当若い彼の上記の文章はぼくの感想をほぼ言い当てていた。さらに続けて彼は「男性であることの恥」という問題について語る。「男の性をもつだけで恥じなければならないのか」と自問する。これはこの前で言及されているプレーモ・レーヴィの「人間であることの恥」から導かれている。そして以下のように書かれている。
もし「アウシュビッツ」のあとも人間が人間でありつづけられたとするなら、それは過去の大罪と被害者たちの存在を、忘却しないかぎりのことであったに違いない。だから、男性が恥じることなく男性であり続けるためには、性暴力の罪の深さと、彼女たちの烈しい苦しみを、見過ごすことがあってはならない。

ここも正論だと思う。さらに言えば、男性一般というより自分の問題として(ここでも著者は自分の問題として書いているのだろうが)、問い続ける必要があるのだろう。
しかし、忘れがちなのが人間だ。どの瞬間も性暴力の罪の深さを意識し続けるということが可能なのか、とも思う。必要な場面で思い出せればいいのだけど・・・。

萩野さんはされに続けて、映画のシーンとしての「美しさ」について書く。それを云わずにはいられない、と。確かに、数々の美しシーンがテーマとしての性暴力を際立たせているのだろう。

カメラと靴に言及されるが、そこは飛ばす。

そして、ラストシーンについて書かれ、このエッセイは閉じる。
「救い」というにはあまりにもこころもとないそれらのシーンは、けれども彼女たちが絶望を抱えながらなお生きてゆくことを暗示させてゆるがなかった。
 ぼくは「彼女たちが絶望を抱えながらなお生きてゆくこと」をゆるぎなく暗示させているとは感じられなかった。そこにあったのは、製作者の生き続けて欲しいという希望。そうあって欲しいという祈りににも似た感情ではないか、

この映画プログラムの最初の文章は杉山春さんが書いていて、そこではこの見続けるのが辛い作品を
「見終わった時、苦しみをスっと抜け出している自分がいた。それは思いがけないことだった」
と書く。他方で萩野さんは
「わたしはもう帰ることができないと思った。スクリーンを見上げながら、鉛のような何かを抱えたまま、わたしはどうすれいいのかわからなかった。映画が幕を閉じて灯りが点り、なんとか立ち上がることができたのは、結末部分において・・・」
と書く。
萩野さんが書いているように、そのラストシーンは【「救い」というにはあまりにもこころもとない】。その後の困難は容易に想像できる。プログラムに文章をよせた二人が映画を見たあとのことに言及しているのは偶然ではないだろう。ずっしり重みのあるこの映画を見終わって、「どうなのだ」と映画が問いを投げかけているようにも思う。ぼくも萩野さんと同様に「スっと抜け出し」たりすることなどできず、なんとか立ち上がって映画館をでることになった。
監督はプログラムに掲載されている対談の最後でこんなふうに言っている。
結局自分自身の弱いところや脆いところと向き合って曝け出してこそ、観てくれた人を突き動かすものが作れるんだと思います。


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