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zoom RSS 『障害者のリアルx東大生のリアル』メモ

<<   作成日時 : 2017/04/24 06:22   >>

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野澤 和弘編著  「障害者のリアルに迫る」東大ゼミ著

東大新聞の記事
障害者は生き苦しい、東大生だって生き苦しい
http://www.todaishimbun.org/real_of_disabled20170420/
を読むとだいたいのことはわかる。
この記事がいつまであるかは不明。

『破壊者のまなざし』
というタイトルで野沢さんが紹介している竹村利道さん。「ワークスみらい高知」を2004年に立ち上げ
彼の発言は胸に刻んでおいた方がいいだろう。
「共生社会だとかノーマライゼーションだとか言葉だけきれいなことを表現しても、多くの支援事業所が障害者に生活できないような賃金しか払っていない。国から補助金をもらって自分たち職員は生活しているのに、障害者には数千円とか1万円程度しか払っていない。・・・。職員が工夫も能力もないために障害者に十分な工賃を提供できないくせに、何でも国の責任にしている。それっておかしくないか。私たちはそんな事業者には絶対なりたくない」90p


野沢さんは彼の現在を以下のように紹介している。
 ワークスみらい高知を設立してから10年以上過ぎるが、その過激な言動や仕事に対する妥協のなさはいささかも変わらない。むしろ鋭利な刃物を思わせる言葉にますます磨きが掛かってきたようにも思える。竹村さん自身がどこまで意識しているのかわからないが、「破壊者」の刃先が向けられているのは古くから形成されてきた障害者支援に携わる人々の思想や文化とも重なるものがある。


野沢さん、微妙な表現を使い、かつ竹村さんの言葉を借りて、よく読むと、けっこうきついことを言ってる。

94pで21世紀に入って、「措置制度」から「契約制度」に切り替わったころから、「リベラル福祉勢力が社会的発言力を強めていく」と野沢さんは書く。それまでのパターナリスティックな福祉ではだめだという声は確かに聞こえるようになってきたかもしれないが、まだまだだ。上記で竹村さんの言葉を借りて野沢さんが批判しているような古い障害者支援の思想や文化が幅をきかせているのも事実で、メインストリームがいまだにそちらに引きずられていることこそが問題なんじゃないかと思う。ただ、ぼくなんかが自立支援協議会で役割を与えられたりしているのも、この野沢さんの指摘の正しさを証明しているのかもしれないけど。

上記の竹村さんがもっとはっきり言いきっていることを野沢さんは重ねて引用している。これだけ重ねるところを見ると、竹村さんに仮託して言いたいことを言っているのは間違いないか。竹村さんのこんな言葉引用してある。
「障害者の生活が厳しいのは支援者である職員や施設経営者のせいである。自分たちの無能さや怠慢を棚に上げて政府にばかり責任転嫁するな」95p

この前半部分、確かにそういう面もあると思う。施設での作業での収益(それが工賃につながるのだけど)に興味がなさそうな施設は多い。現実に収益を求めることとサービス提供が矛盾する場面はあるが、それは例外で、もっと稼ごうと思えば、なんとかなるのに、リスクを恐れて仕事を受けようとしない事業所は多いし、自らの事業所での工賃をあげる努力はまだできるはずなのに、と思えることも多い。しかし、それだけではないだろう。政府の責任もあるはずだ。両方にきっちり批判していくことが問われているのだと思う。

これに、野沢さんは以下のように付け加える。
自立支援法批判をしてきたすべての勢力に真っ向から刃を突き付けているのである

こんな風に書かれると、野沢さんに対して「あなたはどこにいるのか」と問いたくなる。
確かに自立支援法への反対者にはさまざまな傾向の人が呉越同舟で存在していた。そのこと自体への批判を行うのは容易だが、「自立支援法批判をしてきたすべての勢力」とまとめるのは乱暴すぎるのではないか?自立支援法がさまざまな問題を抱えていたのは事実であり、だからこそ、裁判での和解などもあっただらおうし、その後の制度改革委員会なでの活発な議論もあった。それをすべて水に流すようなことを他人に言わせて、コメントしないのはどうかと思う。

次の東大生の文章で、彼は一度事業に失敗していて、それが「障害者ブランド」だったことが記載されている(98p)。野沢さんの文章の中にも、竹村さんは商品やサービスに障害者が関わっていることを売りにしないというフレーズが何度か出てくる。ぼくはそれを品質が劣るのとの言い訳に使うのは反対だが、売りにしているし、売りにしていいと思う。なんでも売りにして、売れるものは売る。障害者が製造工程にかかわり、それが障害者の就労の支援になっているものを購入するのはエシカルな行為でもあるのではないか? 逆に、ちゃんと障害者を雇用していない企業から物を買わないという選択肢もあっていいと思う。

サービス等利用計画の自由記述欄に使われているキーワードで最も多いのは「安定」と「継続」という記述とのこと。これは何の調査か気になるが、ありそうな話ではある。野沢さんは「挑戦」「冒険」「飛躍」あるいは「逸脱」して痛い目にあうこともあっていいのではないかと書く。それを求めているのが触法の人などを受け入れるGHを運営している牧野賢一さんだというのだった。110-111p

199pでは熊谷晋一郎さんの話が紹介されている。
他人の欲望を欲望していては、完全には満たされないと思うんです。自分の欲望をみつけることが、課題なんじゃないかと思います。

自ら感じている欲望がほんとうに自分自身のものかどうか、これを識別するのはかなり困難が伴う作業だと思う。そもそも、すべての欲望は関係性の中で構築されたものではないか? その欲望の構築のされ方によって、それが自分のものか、他者のものかという線をどこかに引くことができるのだろうか?

メモを書きながら、見つけたところ、もう少し見落とすところだったが、ここは大事な話だと気づいた
野澤さんの書いたエピローグから 
福祉でなくてもいいのだ。世界はこの先、想像もできないくらいに変わる。既存の価値観が破壊され、まったく新しい価値に世界が塗り替えられる日がやってくる。障害者のリアルに触発され、自らの内なる既成概念を揺すぶられている彼らが、就職とともに既成の「安定」という磁場に引きずり込まれていくのが、私にはもどかしかったのだ。 209p

これが書かれた文脈を離れて、このフレーズはぼくが障害者の運動などにかかわるモチベーションと重なると思った。既存の価値観を変えたいと考えて、社会運動を続けてきたのだった。「こうあって欲しい」という社会を実現するために。そして、それを考えたときに、「障害」という切り口はとても重要で、そこから見えてくることこそが、こうあってほしいと思う新しい社会を形成する新しい価値観につながると考えてきた。ヴェーバーがいうところの転轍機の話だ。もちろん、いまの状況は厳しく、既存の価値観のもっとも悪い部分だけが抜き出され、拡大されて行っているようにも思える。そんな絶望的な状況を絶望的だと認識したうえで、それでも希望を語りたい、障害者について考えることは、そんな話をするための大事な切り口になりえると思ってきたし、いまでも思っている。

ちなみに、野澤さんのこの文章が書かれた文脈は以下
ゼミの運営などを経て、メーカーに普通に就職していく大森さんに野澤さんが依頼した「あとがき」の文章を掲載したあとで書かれたもの。野澤さんは普通に会社に入っていこうとする大森さんを渋谷の居酒屋で、熱海でのプロジェクトに誘う。「3年待ってください」という彼に「待てない」と答える。3年経てば、新しい職場も居心地がよくなり抜けられなくなる、というのだった。

そういうことはあるだろうと思う。野澤さんは100も承知で書いているだろうが、大森さんの人生は大森さんが決める。そして、彼がメインストリームのメーカーの中で何を実現できるか、楽しみにしてみたいと思う。


追記
【「このゼミで初めて息が吸えた」とこのゼミに関わった東大生のほとんどが感じたことだと思う】(210p)と編集後記に書かれていて、みんな窒息状態なんだなと思う。そして、息が吸えるということに気が付いていなかったのかもしれない、とも思う。「障害」という切り口で息が吸えるようになった彼や彼女はこれからどう生きていくのかな?野澤さんが書いているように、再び、メインストリームの価値観に解消されていくということもあるかもしれない。でも、そこで出会った時間を彼らは忘れることはできないはずだ。それがいまのようでない、こうあって欲しいと思える社会をつくっていくための何かきっかけになってほしい、そんな風に思った。





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