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zoom RSS ラミスさんの『戦争するってどんなこと?』について季刊ピープルズプランに書いたもの

<<   作成日時 : 2017/11/12 11:47   >>

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画像季刊ピープルズプランに書いた書評というより読書メモ

書いた原稿が残っていたので、こっちにも掲載。

掲載された雑誌は
http://www.peoples-plan.org/jp/modules/tinyd0/index.php?id=71



戦争するってどんなこと?メモ

 この本は「中学生の質問箱」というシリーズ。ぼくが中学生の頃、これを読んで理解できたかな、と考えてみる。たぶん出来なかったかな、覚えちゃいないけど。という風に中学生にはちょっとハードルが高いと思えるような感じはある。身近に生の中学生がいたら、読ませてみたい。どんな風に読んでくれるだろう。 

 季刊ピープルズ・プランに「中学生の質問箱」の書評はないでしょ、と思われるかもしれない。しかし、これがなかなかに深い。まず、考えてみて欲しい。あなたなら、中学生に「戦争するってどんなこと?」と問われたら、どう答える?
 ぼくなら、どう答えるだろう。

 この本でラミスさんは、それぞれの章で戦争に関する問いを以下のように立てて、答える。

弟1章「日本は戦争できないの?」
第2章「戦争ってどんなことするの?」
第3章「どうして戦争はなくならないの?」
第4章「日本が戦争できる国になったらどうなるの?」
第5章「沖縄から考えるってどういうこと?」
第6章「軍事力で国は守れないの?」

 こんな風に6つの章に分けられ、おそらくそれなりに賢明な中学生なら理解できるような言葉で書かれている。そして、第5章の沖縄の話では太田雅秀元知事が沖縄戦の体験を語っている。この本は市川はるみさんが数日間ラミスさんへインタビューしたものを出版可能な文章にまとめたもの、とのことで、質問に答える形になっている。そこで、日本という国家は、いまの憲法のもとでは戦争ができないと考えるのが普通の解釈であること(現実はそうなっておらず、さらに悪い方向へ進もうとしているけれども)とか、軍隊や戦争が人を壊すことの悲惨だが具体的な話が描かれている。ラミスさんの海兵隊経験も織り交ぜながら。

 戦争をしないですませる非暴力の抵抗の方法もいくつか紹介されている。インドの独立時にイギリスへの非協力でイギリスを追い込み、独立を導いた例(ただ、このインドの話はここでは非協力で追い込んだと書かれているだけなのでどのようにイギリスが追い込まれていったのかということはわかりにくい)やアメリカの公民権運動で人種差別をしているバス会社をボイコットしバス会社が法律を変えさせた例。プエルトルコのヴィエケスで米軍の演習場を追い出した例、そして辺野古や高江の例。第一次世界大戦後にフランスとベルギーに占領されたドイツのルール地方の例。その3年前のワイマール共和国で帝政に戻そうとしたクーデターをはねのけた例。そして、ノルウェーやデンマークでのナチスへの抵抗の例。このような非暴力の例の提示は従来のこの手の本になかった非暴力の具体性の提示だと思う。

 そう、このように非暴力の抵抗で政府を変えることに成功した例はある。そんなこと無理だと思っている若者に可能性を提示する意味は大きい。

 「しかし」とぼくは思ってしまう。安倍政権の集団自衛権を認めて戦争できるようにするという憲法解釈の変更や、原発の再稼働や、大企業を優遇して減税し庶民から税金をしぼりとりどんどん格差を拡大させる経済政策があっても、結局、自民党がいちばん票を集めてしまう。もちろん、獲得した票数と議席の数の違いというひどい選挙制度の問題はあるにしても、それでも比較優位であることは間違いない。そんな風に多くの人が自ら従属や戦争の方を選んでしまう現状がある。小さな非暴力のデモは日常的に行われていても、それはあまり報道されない。

 そんななかで中学生が(あるいは「も」)非暴力の抵抗が可能で有効だと考えるのは非常に難しいのではないだろうか。前述したような例はあるものの、それを日本に住む私たちが選べて結果を出せるとは、少なくとも現状では沖縄以外では考えにくい。こんな現実に中学生たちも気付いているような気がする。この現実を変えるために何ができるか、非暴力の抵抗をどのように広げることができるのか、っていうか、それ以上に、この現実が変えるべきモノだと、どうしたら気付いてもらえるだろう。こんなにひどい状況の中でも多くの人が自民党に投票することが続く現実の中で。この本は、その問いに答えるための本ではないがそんなところにも触れて欲しかったとは思う。もちろん、それはラミスさんだけではなく社会運動に関わる私たち全体が問われている課題なのだけれども。

 そして、日本くらいの規模の国で、交戦権や軍隊を放棄すると宣言している国は歴史を振り返っても他になく、そのとおりに放棄している国は日本を含めても、いまだに存在しないという厳然とした事実がある。一定の規模をもった国民国家と交戦権や軍隊は歴史的にいつでも、どこでもセットでついてきた。だからこそ、日本くらいの大きさの国がそれを持たないという選択をするという理想(宣言)は、いわゆる「現実主義者」にずっと鼻で笑われてきた。この本でラミスさんが指摘しているように現実には軍隊を持つことの方が戦争の危機を呼び寄せているのだが、世界中の国が戦争を前提に軍隊を持つという現実のなか、戦争は減らず、軍事産業は莫大な利益を上げ続け、数えられないくらいの人が殺され続けている。

 しかし、逆に、だからこそ、もし日本がその理想を本気で追い求めようとするなら、それはすごく困難だけれども、すばらしいことだということはこの本でも、もっと強調されてよかったのかもしれない。それは21世紀の歴史を拓いていく先端であるとさえ言えるだろう。

 そう、ここで書かれていないことをさらに思いつく。いま、軍事に使われるお金を治療可能な病気で死ぬ人や、飢えで命を落とす人のために有効に使うことができれば、その数は劇的に減るはず。戦火を交える地域の人々が銃や砲弾に使うお金を、相互の理解のために使っても、できることはたくさんあるはず。「戦争を準備するのが積極的平和主義だ」などという逆転した馬鹿げた議論も登場の余地がなくなるだろう。

 どう考えても向かうべき方向は明確なのだ(とぼくは思う)。しかし、世界はなかなかこの方向に向かわない、その理由をちゃんと見ていかなければならない。なぜ、人はいつまでも愚かな殺し合いをやめることができないのか。なぜ、そのような愚かな方向を選ぶ安倍政権が支持を得続けるのか。儲かればそれでいいというロジックもそこに働いているのだろう。しかし、アベノミクスとかいう経済政策で金持ちは確かに増えたようだが、貧乏人はいつまでも貧乏なままという以上に貧乏が増え続けている。そんな貧乏人の多くも安倍政権に投票する。確かにじゃあどうすればというのが見えない。いまのようでない社会を作るためのプロセスをひとりでも多くの人と共有するために何が必要なのか、この本がそんなことを考えるきっかけになってくれたらいな。そんなことを考えながら、この本を閉じた。
〜〜〜

P.S.
ラミスさんとの沖縄をめぐる文通、ラミスさんからの手紙はもらているのに、紹介できないまま、時間が過ぎてます。

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