ぼくは脱成長左派として経済を考えてた(つもりだよ)(ほんの紹介22回目)

たこの木通信(2019年12月)に掲載してもらった原稿

ぼくは脱成長左派として経済を考えてた(つもりだよ)
(ほんの紹介22回目)

 いままでとは毛色の違う本について、それへの違和感を書く。『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう』。ブレイディみかこさん、松尾匡さん、北田暁大さんという三人の鼎談。簡単に書いてしまえば、ちゃんとお金を使って、景気を良くして、分配されるようにしよう、という主張。脱成長派への正面からの批判だ。

「もう経済成長はいらない、それを追い求めるのはやめたほうがいい」と思ってきた私にいきなりのカウンターパンチだ。大好きなブレイディさんから。

ぼく自身が経済のことを軽く見ていた部分はあるかもしれない。この本で目を覚まさせられた部分は小さくない。

しかし、今回はこの本の紹介ではなくて、反論・違和感を書く

経済成長がなければ、景気が良くなければ、困っている人にお金が振り分けられないことこそが問題なんじゃないか。それがなくても、ちゃんと困っている人たちにお金が回り、普通に食べて行ける仕組みが「経済」の問題として必要だとぼくは思うが、この本は違う。

福祉や教育に関わる人が足りていない現実がある。そこへちゃんとお金をかけることが求められている。その仕事が好きでも、低賃金や労働条件の悪さが人を寄せ付けなくしているから。だから、そこにはちゃんとお金を使って欲しい。そういう政策の結果として、GDPが増えることを否定するわけではない。この本でも経済成長が大事だという。でも、大事なのは経済成長じゃなくてディーセントな暮らしができること。経済成長≒GDPが増えることじゃないと思うわけだ。違う説明もあるけど。

ふと思った。この本には左派は経済に無関心すぎると書いてあるのだが、これは経済の問題を追い求めてきた労働組合が見えなくなっているということからくる言説ではないか。ほとんどの労働組合ではいまでも経済問題つまり給料アップがメインのテーマのはず。

ぼくも、もっと経済のことが語られなければならないと思う。お金は大事だし、お金がないことがいろんな問題を引き起こしている。保育士やヘルパーが不足するのは給料が安いからだし、そうなってしまう仕組みがあるからだ。また、非正規で安い時給で働かざるを得ない人が大勢いるのも問題だと思う。それらは、そうならない仕組みを作ることが可能なはずだし、ちゃんとお金が回る仕組みを作るべきだと思う。そこまでの主張はたぶん、この本の著者と同じなのだけど、だから経済成長が必要と言われると違和感が残るのだった。

そして、地球はこんな状態でCO2を減らさなければいけない状況がある。グレタさんが明確にいったように「経済成長」とか言ってる場合じゃないと思うのだが、この本は違う。

さらに、行き過ぎた富裕層が生まれるような状態はフェアじゃないんじゃないかとも思う。お金や資産を右から左に動かすだけでお金を増やしている人だけが大儲けしているというような経済成長はもうやめたほうがいいとぼくは思うのだけど、そうは書かれていない。

北田さんはさらに「年長世代の左派が率先して若者に「縮め」などと言ってる場合ではない」(25p)と言うのだけど、金持ちには「縮め」というが、縮めようがない若者に「縮め」なんてほとんど誰も言ってない。無理だし。

お金が増えなくてもシェアが増えて、新しい洋服がどんどん捨てられるのをやめたり、使えるパソコンが捨てられたり、食べ物がそのまま捨てられたりすることがなくなることが大事なんじゃないかと思う。そこではどんどん新品を買うことと比べてGDPは増えない。

ただね、みんながちゃんと食べていけるようにしよう、いまの政権はひどいからダメ、っていうふうなところはこの著者たちとも一致している。意見の違いを喧嘩するんじゃなくて、議論していくことが大事なんだと思っている。 


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グレタ・トゥンベリさん演説全文 
「すべての未来世代の目はあなたたちに注がれている」

23日、米ニューヨークで、国連の「気候行動サミット」で話すグレタ・トゥンベリさん=ゲッティ・共同

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 私たちはあなたたちを注意深く見ている。それが、私のメッセージだ。

 こんなことは、完全に間違いだ。私はここに立っているべきではない。私は海の反対側で学校に戻っているべきだ。それなのにあなたたちは、私たち若者のところに希望を求めてやってくる。(そんなことが)よくもできるものだ。あなたたちは空っぽの言葉で、私の夢と子ども時代を奪い去った。でも私は運が良い方だ。人々は苦しみ、死にかけ、生態系全体が崩壊しかけている。私たちは絶滅に差し掛かっているのに、あなたたちが話すのは金のことと、永遠の経済成長というおとぎ話だけ。何ということだ。

 過去三十年以上、科学は極めて明瞭であり続けた。必要な政策も解決策もまだ見当たらないのに、目を背け、ここに来て「十分やっている」なんてよくも言えるものだ。あなたたちは私たちの声を聞き、緊急性を理解したと言う。でもどれだけ悲しみと怒りを感じようと、私はそれを信じたくない。なぜなら、もし本当に状況を理解し、それでも座視し続けているとしたなら、あなたたちは悪だからだ。そんなことを信じられない。

 十年間で(温室効果ガスの)排出量を半減するというよくある考え方では、(気温上昇を)一・五度に抑えられる可能性が50%しかなく、人類が制御できない不可逆的な連鎖反応を引き起こす恐れがある。

 あなたたちは50%で満足かもしれない。でもこの数字は(後戻りできない変化が起こる)転換点のほか、(永久凍土が溶けることなどで温暖化が進む)ほとんどのフィードバック・ループ、有害な大気汚染による温暖化、公平性や気候の正義といった側面を考慮していない。この数字はあなたたちが空気中に出した何千億トンもの二酸化炭素(CО2)を、私たちの世代が、(現時点で)ほとんど存在していない技術で吸収することを当てにしている。だから、50%の危険性は私たちには全く受け入れられない。私たちはその結果と共に生きていかなければならない。

 地球の気温上昇を一・五度に抑える確率を67%にするには、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最善の見立てでは、二〇一八年一月一日時点で世界に残されたCО2排出許容量は四千二百億トンだった。現在では三千五百億トンを下回った。よくも従来通りの取り組みと技術的な解決策で何とかなるなんて装うことができたものだ。現状の排出レベルでは、残されたCО2排出許容量に八年半もたたずに達してしまう。

 現在、これらの数字に沿って作られた解決策や計画は全くない。なぜなら、これらの数字は都合が悪すぎるからだ。そしてあなたたちはまだ、このようなことを口にできるほど成熟していない。

 あなたたちには失望した。しかし若者たちはあなたたちの裏切り行為に気付き始めている。全ての未来世代の目はあなたたちに注がれている。私たちを失望させる選択をすれば、決して許さない。あなたたちを逃がさない。まさに今、ここに私たちは一線を引く。世界は目を覚ましつつある。変化が訪れようとしている。あなたたちが好むと好まざるとにかかわらず。

 ありがとう。

(ニューヨーク・共同)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201909/CK2019092502100025.html から

(太字強調部分は引用者)

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