大沼淳一さんの『新型コロナウイルスが明らかにしたもの』 (ワクチンをどう見るかも含む) 

知り合いの大沼さんが3月の終わりころに書いて、5月の情報を加えたもの。

ワクチンを受けたほうがいいのか、どうか悩んでいたら、別の知り合いが送ってくれました。

最後の方にワクチンを受けるかどうか、考える材料があります。許可をもらったので転載します。


新型コロナウイルスが明らかにしたもの

大沼淳一

 新型コロナウイルス(COVID-19)が中国・武漢市で確認されてから16か月ほどが過ぎました。今や流行域は全世界に拡大し、感染者数は12700万人(2021327日現在)、死者数278万人(人口77億人に対して)、まさにパンデミック(世界的大流行)です。日本では感染者数46.8万人、死者数9050人です。人口100万人当たりにすると、世界の感染者数は16300人(死者数357人)、日本は3709人(死者数72人)ですから、世界と比べると人口比で感染者数も死者数も約5分の1です。PCR検査数が先進国中最低レベルであるなど、安倍・菅政権のコロナ対策は最悪だったにもかかわらずこの程度で済んでいるのは、なんらかの原因があるのだと思われますがはっきりしていません。人や動物の間で感染症を引き起こす常在性(あるいは旧型)コロナウイルスのうち風邪ウイルスによる交差免疫(※1)や世界でも珍しいBCG接種の存続などが可能性として挙げられています(iPS細胞でノーベル賞をもらった山中伸弥氏はこれをファクターエックスと呼んでいます)。

 100年前(19181920年)に流行したスペイン風邪では死者数4000万人超(当時の世界人口は18億人)でした。それほどひどいことにはならないかもしれませんが、流行期間はまだ2年間ほど、あるいはそれ以上の継続を覚悟しなければならないでしょう。前述のとおり世界の感染者数の人口比はわずかに1.6%程度ですから、検査漏れの無症状者などを加えた実質感染率もせいぜい3%程度でしょう。すなわち集団免疫が成立するためにはまだまだ時間がかかるのです。ワクチンが救世主になる可能性はありますが、過度の期待は禁物です。なにしろ開発期間が短く治験実験も手抜きの突貫工事ワクチンですから、副反応が心配です。アナフィラキシーショックや血栓症など急性の副反応については少しずつデータが出てきていますが、晩発性副反応については長い期間の観察が必要です。せっかく獲得した免疫がどのくらい継続するのかも未知数です。新型コロナウイルスと同じ一本鎖のRNAウイルスであるHIVウイルス(エイズを発症させる),コロナウイルスの一種であるマーズ(MERS)やサーズ(SARS)でもワクチン開発は失敗しています。

 「コロナとの戦いに勝つ」とか「コロナを克服する」とか、政治家たちの掛け声は勇ましいのですが、ちょっとピンボケです。ヒトを含めた生物とウイルスとの親戚付き合いは30数億年、生命誕生以来続いてきたらしいのです。この付き合いの中で生物はウイルス由来の遺伝子を獲得し、進化の原動力になってきたとされています。そもそも私たち人間のDNAのうち3分の1から半分くらいはウイルスからもらったものだとされているのです。ヒトなど哺乳類の胎児を守る胎盤のシステムでは、レトロウィルス由来の遺伝子が機能しています。新型コロナウイルスに感染する時、ヒトの細胞膜表面にあるACE2という受容体にコロナウイルス表面の突起(スパイクたんぱく質)が融合し、ゲノム(遺伝子)はするりと細胞内に入り込むことができます。ウイルスが持っている鍵とヒト細胞の錠前が適合するようになっているのです。

先日古い知人から、新型コロナウイルスに感染して2か月半の入院を余儀なくされ、投与された薬剤で大腸炎を起こしてそれがつらかったという話を聞きました。筆者が会った初めての感染体験者でした。ウイルスの増殖を阻害する薬剤は腸内細菌をも根絶やしにするのでしょう。私たちは腸管の中において多様でかつ大量の細菌と共生しています。排泄される便の半分ほどは腸内で増殖した細菌類だということです。ところが、世の中には抗菌グッズが氾濫し、様々な日用品などに抗菌仕様のラベルが貼られています。このように過剰な清潔とは対照的に、家畜とともに暮らすアーミッシュ(※2)の人々には花粉症やアトピーなどのアレルギー疾患が極めて少ないという報告があります。ウイルスや細菌を根絶して安心安全な暮らしを求めようという発想は改める必要があります。また、そのことを煽るようなコマーシャルの氾濫にはブレーキが必要だと思います。ただし、ウイルスが進化の歴史を共に歩んできた親戚だとしても、今回のような致死的な作用をする新型コロナウイルスへの警戒心を解くことはできません。

新型コロナウイルスの起源について最も有力な仮説は、コウモリです。19981999年にマレーシア・シンガポールで大量発生した人獣共通感染症ニパウイルスは、ヒトに感染すると致死率4070%の脳炎を起こしました。その起源もコウモリから豚を経由してヒトに感染したというものでした。新型コロナウイルスも、人間の経済活動が拡大し、生態系を破壊し、野生生物の生存領域を侵食してしまったことからもたらされた一種の反作用だという指摘がありますが同感です。

エイズを発症させるHIVウイルスの起源には諸説がありましたが、アフリカ中部に棲むチンパンジーで決着したと思います。このウイルスの遺伝子型がクラスター解析などで詳しく調べられていて、世界的なパンデミックとなったHIV-ⅠウイルスはツェゴチンパンジーのSIVウイルスと近縁であることが明らかになったからです。(J. ペパン「エイズの起源」みすず書房 参照)ウイルス遺伝子の変異確率から計算される分子時計によれば、チンパンジーからヒトへの感染は1920年代初頭だったと推測されています。この地域では昔からチンパンジーを捕獲して食べる習慣があったにもかかわらず、1920年ごろまでアウトブレーク(集団感染)を引き起こす感染症とならなかったのは、ウイルスが家族内でとどまって、家族の消滅によって感染症として広がらなかったからだと考えられています。その歯止めが外れたのは、1920年代にベルギーとフランスが競って鉄道建設をした工事現場の出現でした。大西洋岸とアフリカ中央部のスタンレービルやレオポルドビルを結ぶ鉄道です。大量のアフリカ人労働者の雇用があり、売春宿が誕生し性的交渉機会が増加しました。さらに感染を加速したのは眠り病などアフリカの多様な風土病に怯えたヨーロッパ人による滅茶苦茶な予防注射です。劇薬のヒ素系薬剤やアンチモン化合物である吐()(しゅ)(せき)などの大規模な静脈注射を行ったのでした。第2次世界大戦後に日本で行われた予防接種やツベルクリン検査などでも消毒なしの回し打ちがB型肝炎ウイルスの大量感染を招きましたが、それと同じことがアフリカで起きてHIVウイルスの感染が拡がったのでしょう。また、注射液の毒性ゆえの犠牲者が出ました。挙句の果てに、実は予防効果がなかったことがのちに判明した薬剤もありました。医原性感染は性交渉の10倍以上の感染力があるとされています。なお、この時代に採血された血液標本からHIVウイルスが検出されています。その後、アフリカ各地で起きた内乱や先進国や国連の介入などを契機としてHIVウイルスは出アフリカを果たし、全世界へと広がっていったのでした。HIVウイルスを世界中に拡散させた最大の原因は植民地政策とその管理システムにあったと言えるでしょう。

スペイン風邪を広げたのは第一次世界大戦でした。感染者多数を含むアメリカの部隊がヨーロッパの戦線に派遣されたからです。これに対して今回の新型コロナウイルスをパンデミックにしたのは、一言でいうならグローバリゼーションだということができるでしょう。物資と人がすごい勢いで移動して、地球環境は悲鳴を上げています。ウイルスもあっという間に運ばれていきました。コロナ禍を奇貨として文明を見直し、物質とエネルギーの大量消費から脱却し地域分散型脱成長経済への道を目指したいものです。


1交差免疫:類似性の高い抗原に対し免疫を示すこと。

2アーミッシュ:アメリカ合衆国ペンシルベニア州やカナダなどに住むドイツ系移民のキリスト教のグループ。移民当時の生活様式を保持し、農耕や牧畜によって自給自足の生活をしていることで知られている。

(市民放射能測定センター・Cラボ運営委員)


<質問に答えて>

Q1『地域分散型脱成長経済』とは、どういった社会なのでしょうか?

また、それを目指すために私たち個人がしなければならないことは具体的にどんなことですか。

A1 結論に差し掛かったところで紙数が尽きてしまいましたので、結論だけを書くことになってしまいましたから無理からぬご質問です。しかし、詳しく説明するとしたら長い回答になってしまいそうですので次の機会があれば改めて書いてみたいと思います。ここではエコロジカルフットプリント(以下エコフットと略記)の話にとどめておきます。エコフットは、人間が廃棄物放出やエネルギー浪費、土地改変などで地球環境にどれだけ迷惑をかけているかの指標です。現在の世界人口は78億人ですが、すでに地球1.7個分の負荷をかけています。世界がアメリカ並みの負荷をかけるとすると地球が5個分必要です。日本並みだと2.8個です。(エコフットは環境省の環境白書にさえ取り上げられています)すなわち、もうこれ以上エネルギーや物質の消費と廃棄物の排出を増やしてはいけないし、大幅に減らさなければならないわけですが、現在行われていることは増加のペースをなんとか落とそうとしているにすぎません。とりわけ、先進国の責任は重大です。その意味では、現在スローガンとして掲げられているSDGs(持続可能な発展目標)はまやかしだというしかないでしょう。成長しない経済というのは「より速く、より大きく、より広く」とは真逆のシステムです。質素な暮らしになることは間違いありません。その時、みんなが平等に質素にならなければなりません。そのような社会をみんなで納得ずくで目指していきたいものです。絵空事のように思われるかもしれませんが、大真面目でこのような世の中を目指す道しるべを研究している人が少なからず登場していますので調べてみてください。

筆者自身は、このような質素な暮らしを先取りしているつもりですが、そのような個人的な心掛けで世の中が変わるわけではありません。でも、多くの人々が価値観の転換をして質素に分かち合う暮らしをするようになることが政治を変える必要条件の一つです。「あんたみたいな暮らしをみんながしたらモノが売れなくなって、世の中真っ暗になる」と言われたことがあります。しかし、地球環境と共生する社会というのはそういう世の中なのだと思います。そうなった時に差別や不公平のない、そして自由と人権が守られる社会が同時に実現する必要があります。決してエコファシズムになってはいけません。


Q2 グローバル化はダメなのでしょうか?

A2 資本主義というシステムの根源は、中心による辺境からの収奪です。ここ10年、長期低金利あるいはゼロ金利時代が続いています。経済学者の水野和夫さんは、これがグローバリゼーションを前提とした資本主義の終焉なのだと述べています。投資をして利益を上げて利子が払えるわけですが、グローバリゼーションの果てに、ついに地球上には投資すべき辺境が無くなったのだというのです。

資本主義が発明される以前にも、大航海時代のグローバリゼーションは、ヨーロッパ各国が羅針盤を手にしてアフリカやアメリカに進出して、収奪を繰り返しました。現代では、それほど露骨ではないですが、例えば「百円ショップ」で売られている品物は、途上国の労働者の労働価値を不当に収奪しています。それを便利がっている私たちもまた収奪の片棒を担いでいることになります。

美しく語られた「国際分業」が日本の里山や林業、中山間地帯の農業を破壊しました。せっかくの美田が休耕田になっています。工業先進国として工業製品を大量に輸出するために農林水産物を低関税で大量輸入した結果です。国土の68%を占める森林や農耕地を最大限に生かす社会、それは「地域分散型社会」なのだと思うのです。


Q3「治験実験も手抜きの突貫工事」について、普通のワクチン承認の工程と今回のコロナの治験はどれくらい違うのでしょうか。

 A3 一般にワクチン開発には10年単位の時間がかかるとされています。インフルエンザワクチンのように、すでに実績のあるワクチンでも、新しい型のインフルエンザが現れた場合それに対応したワクチン製品化には56年を要するというのが、2000年代の厚労省検討会での製薬会社側の回答でした。1960年代に開発されたムンプス(流行性耳下腺炎)のワクチンは過去最速だったとされていますが、4年かかっています。これに対して、今回はたった1年間で実用化されてしまいました。これまでのワクチン開発では基礎研究、非臨床試験、臨床試験が順を追って行われてきましたが、今回はほぼ同時並行で進められました。当然に外れのリスクがあるわけですが、大量の公的資金を投入して開発企業のリスクを回避したようです。審査期間も圧倒的に短縮されました。このあたりの前のめり体制に筆者は危惧を感じました。

その他に、画期的な短期間開発を可能にした要因として、ワクチン開発がうまくいかなかったSARSMERSに関する経験知が大いに役立ったことと、今回のCOVID-19が変異の少ないウィルスだったという幸運が手伝ったことが指摘されています。


Q4 ワクチンを高齢の母に接種させるべきか悩んでいます。完全にコロナに感染しなくなるわけではなく、あくまで重症化させない為のワクチンと聞いていますし、知り合いの看護師さんが接種後、40度以上の高熱を出し中々熱が下がらなかったと聞き不安です。接種するかは周りのことも考えて決断しなくてはと思います。お考えをお聞かせください。

A4 リスクの受容に模範解答はありません。個人の状況にもよるでしょう。ただ、個々人が判断するための基礎的な情報は必要です。

 低線量被ばくによる健康リスクについて考えてみましょう。福島原発事故が起きる前は、ICRP(国際放射線防護委員会)勧告を受けて、日本の公衆の被ばく限度は1mSv(ミリシーベルト)/年でした。これは、1mSvの被曝をすると、その後の50年間に10万人中5人ががん死するリスクです。翌年も1年間に1mSvの被曝をすれば、さらに10万人中5人ががん死するリスクを負います。ところが、福島事故が起きてしまって政府はこの被ばく限度を年間20mSvに引き上げました。避難指示地域が20mSv/年を下回ったところでは、避難指示が解除され賠償金や住宅補助が打ち切られて、汚染地への帰還の圧力がかけられています。オリンピック招致のために、当時の安倍首相が「福島原発は安全にコントロールされている」と噓をついた後も、20mSv/年のままです。これは、10万人中100人ががん死するリスクです。

 有害化学物質の規制基準、環境基準を決めるときは、10万人~100万人中1人のガンリスク相当のところで基準が設定されていますから、20mSv/年はとんでもない基準です。1mSv/年でも高すぎます。福島事故以前(実は、事故を起していない原発では今でも)、原発の敷地境界での放射線量率管理目標は0.05mSv/年なのです。すなわち、100万人中2.5人の発がんリスクです。

 これでリスクに関する相場観を持っていただけたかと思います。ワクチンの副反応は、ワクチンの種類や接種した国によってかなり違うようです。医療関係者への接種がようやく始まった日本では、39日時点で、約107千人の医療従事者がこのワクチンを接種し、接種後にアナフィラキシーがみられたのは計17人で、全員女性だったそうです。インフルエンザワクチンと比べるとかなり高い数字ですが、幸い死者は出ていないようです。(※)

 健康な人に摂取するわけですから、ワクチンのリスクは十分に低くなければなりません。死亡リスクは100万人中1人以下であるべきだと思います。一方、感染者のうち70歳以上では、死亡率は78%と高率です。このリスクとの天秤で、ワクチン接種のリスクを受容すべきか、拒否すべきかを判断することになります。(大沼)

             56日時点では、新型コロナウイルスのワクチン接種423万回のうち、接種後に39人の死亡が確認されています。すべてがワクチンのせいだとは言えないでしょうが、約10万人に1人の死亡確率は低いとは言えません。


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